宅建試験
法改正情報
レポートNo.17
  都市計画法−国立大学法人等

<注意>

 平成18年の都市計画法改正ににより,国・都道府県・指定都市・中核市・特例市・事務処理市町村の開発行為も,原則として開発許可が必要になりました。(国の機関・都道府県等と都道府県知事との協議が成立することをもって,開発許可があったものとみなされる。)

また,病院,社会福祉施設,学校(幼稚園,小学校,中学校,高校) の建築のための開発行為も,改正により,開発許可が必要になっています。

 このページは,国立大学法人設置当時の解説なので,平成20年以降の宅建試験では余り意味のないものになっています。

●国立大学法人法施行令(平成15年12月3日政令第478号)
(平成16年4月1日施行)

国立大学法人法(平成15年7月16日法律第112号)により,国立大学は平成16年4月1日に
国立大学法人によって設置されるものとなりました。
このため,過去問で出題されていたものに扱いの一部変更があります。⇒平成13年問18肢4
のついたもののみ覚えてください。そのほかは参考程度です。

●開発許可
国立大学は,これまで開発許可は不要でしたが(都市計画法29条1項4号),設置主体が平成16年4月1日に「国立大学法人」(国立大学法人と大学共同利用機関法人を『国立大学法人等』という)に移行したため,国立大学法人等は,都市計画区域及び準都市計画区域内等において,開発行為をしようとするときは原則として開発許可が必要になりました。(都市計画法29条1項・2項,35条の2)
〔法人化前にすでに着手していた開発行為は従来どおり国が行う開発行為とみなして許可は不要。〕→国立大学法人法施行令附則17条(都市計画法の適用に関する経過措置)

ただし,国立大学法人等が行おうとする「附属病院や附属学校の建設のための開発行為」については,病院や学校は公益上必要な施設のため,従来どおり開発許可は不要です。(都市計画法29条1項3号)

 国立大学法人等の扱いは法令により異なっています。
   ⇒ 国として扱う(国立大学法人法施行令22条)
     独立行政法人として扱う(国立大学法人法施行令23条)

●建築許可(国立大学法人法・施行令22条28号)
国立大学法人等が開発許可を受けた開発区域内で予定建築物以外の建築物を新築する等の場合は従来どおり許可は不要で,都道府県知事等との協議の成立をもって足ります(都市計画法42条2項)

重要● ただし,国立大学法人等が,市街化調整区域のうち開発許可を受けていない区域において建築等を行う場合は都道府県知事の許可が必要になります。(都市計画法43条1項5号,施行令34条1号)←変更点

国立大学法人等が,都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内市街地開発事業予定区域内都市計画事業地内で,建築物の建築等を行う際には,従来どおり許可は不要で,都道府県知事等との協議の成立をもって足ります(都市計画法53条2項,57条の3第1項,2条の2第2項),65条3項)

国立大学法人等が,地区計画の区域内において建築物の建築などを行うときには,従来どおり届出は必要ない。(都市計画法58条の2第1項第3項)

国立大学法人法・施行令・第22条28号

●参考程度・その他,国立大学法人化に伴い,扱いが変わったもの
・地域森林計画の対象になっている民有林の開発行為について国立大学は許可不要だったものが,国立大学法人等は開発許可が必要になった。(森林法・10条の2)

・道路の占用及びその変更について国立大学法人等は許可が必要になった。〔改正前は国立大学は協議が必要だった〕(道路法32条)

・特別区域内,特別保護区域内における新築・増築等の行為について国立大学法人等は許可が必要になった。〔改正前は国立大学は協議が必要だった〕(自然公園法56条1項)

※この他にもありますが,過去問で出題された法令の代表的なものにとどめました。

●宅地造成等規制法・国立大学法人等を国とみなして準用するため従来どおりの扱い
国立大学法人等が宅地造成工事規制区域内で行う造成工事については,従来どおり許可は不要で,都道府県知事等との協議の成立をもって足ります。(宅地造成等規制法11条)

●建築基準法・国立大学法人等を国とみなして準用するため従来どおりの扱い

 国立大学法人法・施行令・第22条10号参照

・建築基準法第18条(同法第87条第1項 、第87条の2、第88条第1項から第3項まで及び第90条第3項において準用する場合を含む。)〔国,都道府県,建築主事を置く市町村の建築物に対する確認,検査又は是正措置に対する特例〕

 ⇒ 国立大学法人等には,建築確認(6条から7条の6まで),違反建築物・保安上危険または衛生上有害な建築物に対する措置(9条から10条まで),工事中の特殊建築物に対する措置(90条の2)の規定は適用しない。

●参考程度・国立大学法人等を国とみなして準用するため従来どおり許可不要

 国立大学法人法・施行令・第22条参照

・河川法〔工事等〕

・港湾法〔港湾区域内の水域の水面の占用〕

・地すべり等防止法〔地すべり防止工事についての承認は不要〕

・急傾斜地の崩壊による災害防止法〔急傾斜地崩壊危険区域での施設の設置など〕

※この他にもありますが,過去問で出題された法令の代表的なものにとどめました。

参考 文部科学省:「国立大学法人法等の施行について」(通知)(平成15年12月19日)

公立大学は,地方独立行政法人法21条によって法人化。
21条 地方独立行政法人は,次に掲げる業務のうち定款で定めるものを行う。
2  大学の設置及び管理を行うこと。

(第7章 公立大学法人に関する特例)
第68条(名称の特例)一般地方独立行政法人で第21条第2号に掲げる業務を行うもの(以下この章において「公立大学法人」という。)は,第4条第1項の規定にかかわらず,その名称中に,地方独立行政法人という文字に代えて,公立大学法人という文字を用いなければならない。

2 公立大学法人でない者は,その名称中に,公立大学法人という文字を用いてはならない。

附則・第1条  この法律は,平成16年4月1日から施行する。

「地方独立行政法人法」付帯決議
1.地方公共団体が地方独立行政法人を設置するか否かについてはあくまでも地方公共団体の自主的な判断を尊重すること。

地方独立行政法人法(平成15年7月16日法律第118号)の施行によって,公立大学を
法人化することが可能となった。その第1号として,平成16年4月に,『公立大学法人 国際教養大学』(秋田県河辺郡雄和町)。

平成16年では,『自治体を設置者にする公立大学』と,『公立大学法人を設置者にする大学』の2種類がある。これまでの公立大学の全てが法人化されたわけではない。

※地方独立行政法人を都道府県・市町村とみなして準用するものについては,地方独立行政法人法・施行令第13条に規定があるが省略する。〔港湾法・海岸法・地すべり等防止法・急傾斜地の崩壊による災害防止法などの一部が準用される。この施行令では,都市計画法・建築基準法での準用規定は記されていない。〕

都道府県・指定都市・中核市・特例市・事務処理市町村が設置した公立大学
 国・都道府県・指定都市・中核市・特例市・事務処理市町村が行う開発行為は許可不要(29条1項4号)となっているので,都道府県・指定都市・中核市・特例市・事務処理市町村が設置した公立大学が開発行為をしようとするときには,開発許可は不要です。


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