宅建試験
法改正情報
レポートNo.01
  '06法改正の展望

●主な改正の概要

 法改正はある日突然施行されるのではありません。学習を始める際に改正の見通しをつけておけば無駄な心配をしなくてすみます。  なお,平成17年までの宅建試験では,その年の4月1日現在の法令を基準とするとされてきており,平成18年も例年通り,4月1日現在の法令によるものと思われます。

【1000本ノック・改正法・一問一答】 ⇒ 06年の改正の予想問題はメルマガに掲載します。

●宅地建物取引業法 
■重要事項説明の追加

 1) 耐震診断・アスべスト検査を受けているかどうか (検討中)。

 2) 特例容積率適用地区 (平成17年6月1日施行)
 ・特定行政庁による特例容積率の限度の指定 (建築基準法57条の2 第3項)
 ・特例容積率適用地区内の建築物の高さの最高限度 (建築基準法57条の4)

 3) 景観地区,準景観地区 (平成17年6月1日施行)
 景観地区
 ・建築物の高さの最高限度又は最低限度(建築基準法68条1項)
 ・壁面の位置の制限 (建築基準法68条2項)
 ・建築物の敷地面積の最低限度 (建築基準法68条3項)

 準景観地区 
 ・準景観地区内で条例が定めた建築物の高さ,壁面の位置その他の建築物の構造
  又は敷地に関して必要な制限 (建築基準法68条の9)

■33条及び36条の法令に基づく許可等の処分 

 1) 景観地区・準景観地区 (宅建業法施行令2条の5第5号の4)

 広告開始時期の制限(宅建業法33条)契約締結等の時期の制限(宅建業法36条)での法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものに以下の景観法の規定に基づく処分等が追加されました。(平成17年6月1日施行)

建築物の形態意匠の制限
 景観地区内の建築物の形態意匠は、都市計画に定められた建築物の形態意匠の制限に適合するものでなければならない。ただし、政令で定める他の法令の規定により義務付けられた建築物又はその部分の形態意匠にあっては、この限りでない。(景観法62条)

計画の認定
 景観地区内において建築物の建築等をしようとする者は、あらかじめ、その計画が、都市計画に定められた建築物の形態意匠の制限に適合するものであることについて、申請書を提出して市町村長の認定を受けなければならない。(当該認定を受けた建築物の計画を変更して建築等をしようとする場合も、同じ。)(景観法63条)

景観地区内の工作物の形態意匠等の条例での制限 (景観法72条1項)

景観地区内の開発行為等の制限 (景観法73条1項)
 市町村は、景観地区内において、都市計画法に規定する開発行為その他政令で定める行為について、政令で定める基準に従い、条例で、良好な景観を形成するため必要な規制をすることができる。

準景観地区内の建築物又は工作物の制限 (景観法75条1項)

地区計画等の区域内における建築物等の形態意匠の制限
 地区計画で形態意匠の制限が定められている区域での建築物については,条例で定めた形態意匠の制限に適合するものでなければならない。 (景観法76条1項)

 2) 特例容積率適用地区 (宅建業法施行令2条の5第2号)

 特例容積率適用地区に関する都市計画で建築物の高さの最高限度が定められたときには,建築物の高さは当該最高限度以下でなければなりませんが,特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについてはこの規定は適用されません。 (建築基準法57条の4第1項)

 この例外措置といえる特定行政庁の許可が,広告開始時期の制限(宅建業法33条)契約締結等の時期の制限(宅建業法36条)での法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものとして追加されました。(平成17年6月1日施行)

■登録実務講習 (従来の実務講習)

 従来「実務講習」といわれてきた実務経験2年に代わるものの位置づけが改正された。(宅地建物取引業法施行規則13条の16)

 改正前宅地又は建物の取引に関する実務についての講習であつて、国土交通大臣が指定するものを修了した者

 改正後宅地又は建物の取引に関する実務についての講習であつて、国土交通大臣の登録を受けたもの(「登録実務講習」)を修了した者

●改正前

(法第18条第1項 の国土交通大臣が実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者)

第13条の16  法第18条第1項 の規定により国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めた者は、次のいずれかに該当する者とする。

一  宅地又は建物の取引に関する実務についての講習であつて、国土交通大臣が指定するものを修了した者

二  国、地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の出資により設立された法人において宅地又は建物の取得又は処分の業務に従事した期間が通算して二年以上である者

三  国土交通大臣が前二号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者

●改正後

(法第18条第1項 の国土交通大臣が実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者)

第13条の16  法第18条第1項 の規定により国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めた者は、次のいずれかに該当する者とする。

一  宅地又は建物の取引に関する実務についての講習であつて、次条から第13条の19までの規定により国土交通大臣の登録を受けたもの(以下「登録実務講習」という。)を修了した者

二  国、地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の出資により設立された法人において宅地又は建物の取得又は処分の業務に従事した期間が通算して二年以上である者

三  国土交通大臣が前二号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者

●都市計画法 2005.6.1施行
■都市計画法   (平成17年6月1日施行)

景観地区 … 改正前の美観地区は景観地区とみなす

特例容積率適用地区…適正な配置・規模の公共施設を備えた土地の区域〔低層住居専用地域・工業専用地域を除いた用途地域内〕に,容積率の限度から見て未利用となっている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める。(都市計画法9条15項)

 ⇒ 〔改正前は商業地域のみに定められる特例容積率適用区域が適用地域を拡大〕           

 当該地区の市街地の環境を確保するため必要なときは<建築物の高さの最高限度>を定めることができる。(都市計画法8条3項二のホ)

地区計画…建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限等を地区整備計画に       定められるものとして追加。(都市計画法12条の5第6項)

特例容積率適用地区・・・建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律(平成16年6月2日法律第67号)

●建築基準法 2005.6.1施行
■建築基準法   (平成17年6月1日施行)

特例容積率適用地区…特例容積率適用地区内における容積率の緩和

   特定行政庁は,敷地ごとに,特例容積率の限度を指定する。(建築基準法57条3項)

景観地区…景観地区の都市計画で,建築物の高さの最高限度又は最低限度が定められたときは,当該最高限度以下又は当該最低限度以上でなければならない。(建築基準法68条1項)

準景観地区…市町村は,条例で建築物の高さ,壁面の位置などの建築物の構造または敷地に関して必要な制限を定めることができる。(建築基準法68条の9第2項)

準景観地区での建築確認…準景観地区では,市町村長が指定する区域を除いて,準都市計画区域と同じように,一般建築物にも建築確認が必要になった。(建築基準法6条1項4号)

準景観地区と知事指定区域の違い

1) 両区域外での知事指定区域での制限

 「都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域のうち,知事が指定する区域」で,地方公共団体条例で,制限ができるのは,以下のものです。(建築基準法68条の9第1項,施行令136条の2の9)

 容積率の最高限度,建ぺい率の最高限度,
 建築物の高さの最高限度,建築物の各部分の高さの制限(斜線制限),日影規制,
 接道義務,道路内の建築制限,私道の変更・廃止の制限

2) 準景観地区での制限

 景観法の施行に伴い,準景観地区でも,「市町村は,条例建築物の高さ壁面の位置などの建築物の構造または敷地に関して必要な制限を定めることができる。(建築基準法68条の9第2項)」と建築基準法が改正されました。

 準景観地区で制限ができるのは,

 建築物の高さの最高限度・最低限度壁面の位置の制限
 建築物の敷地面積の最低限度

の三つです。(建築基準法施行令136条の2の10)

「都市計画区域及び準都市計画区域外での一般建築物の建築確認の要否」や「都市計画区域及び準都市計画区域外でも集団規定が適用されるかどうか」については,過去問でも出題例があります。

●景観法 2005.6.1施行
●景観地区,準景観地区

 景観地区市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域内の土地の区域について、<市街地の良好な景観の形成を図るため>、都市計画に、『景観地区』を定めることができる。       (景観法61条1項)      

 都市計画では,以下のうち一を必ず定め,二〜四のうち必要なものを定める。
  一  建築物の形態意匠の制限
  二  建築物の高さの最高限度又は最低限度
  三  壁面の位置の制限
  四  建築物の敷地面積の最低限度

 準景観地区市町村は、都市計画区域及び準都市計画区域外の景観計画区域のうち、相当数の建築物の建築が行われ、現に良好な景観が形成されている一定の区域について、その景観の保全を図るため、 準景観地区を指定することができる。 (景観法74条1項)

●土地区画整理法 2005.10.24施行
 区画整理会社 … 土地区画整理事業の施行者に,土地の所有者等と民間事業者が共同で設立する株式会社又は有限会社(区画整理会社)が 追加された(土地区画整理法3条3項)

 区画整理会社は,その土地区画整理事業の施行について,都道府県知事の認可を受けなければならない。(土地区画整理法51条の2第1項)

区画整理会社施行の土地区画整理事業

 規準及び事業計画に関する宅地の所有者及び借地権者の同意

 第51条の2第1項に規定する認可を申請しようとする者は、規準及び事業計画について、施行地区となるべき区域内の宅地について所有権を有するすべての者及びその区域内の宅地について借地権を有するすべての者のそれぞれの3分の2以上の同意を得なければならない。この場合においては、同意した者が所有するその区域内の宅地の地積と同意した者が有する借地権の目的となつているその区域内の宅地の地積との合計が、その区域内の宅地の総地積と借地権の目的となつている宅地の総地積との合計の3分の2以上でなければならない。(土地区画整理法51条の6)

 換地計画に関する関係権利者の同意

 換地計画について都道府県知事の認可を申請しようとする場合も,上記と同じ関係権利者の同意を必要とする。(土地区画整理法88条1項)

 仮換地の指定

 区画整理会社は、第一項の規定により仮換地を指定し、又は仮換地について仮に権利の目的となるべき宅地若しくはその部分を指定しようとする場合においては、あらかじめ、その指定について、施行地区内の宅地について所有権を有するすべての者及びその区域内の宅地について借地権を有するすべての者のそれぞれの3分の2以上の同意を得なければならない。この場合においては、同意した者が所有するその区域内の宅地の地積と同意した者が有する借地権の目的となつているその区域内の宅地の地積との合計が、その区域内の宅地の総地積と借地権の目的となつている宅地の総地積との合計の3分の2以上でなければならない(土地区画整理法98条4項)

●国土利用計画法の改正(平成17年7月29日公布)
総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律  (平成17年7月29日法律第89号)

 国土総合開発法国土形成計画法と改称して改正するため〔国土総合開発計画について,名称を国土形成計画に改め,「開発中心からの転換」と「地方の 計画への関与」を強めた。〕,国土利用計画法でも若干の改正が行われました。

改正後の国土利用計画法 赤字部分が改正部分

(目的) 第1条  この法律は、国土利用計画の策定に関し必要な事項について定めると ともに、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他土地利用 を調整するための措置を講ずることにより、国土形成計画法(昭和25年法律第205号)による措置と相まつて、総合的かつ計画的な国土の利用を図ることを目的とする。

第5条第6項  国土交通大臣は、第2項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、 全国計画を公表しなければならない。 (改正前は,「全国計画の要旨」)

総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律

附則 (平成17年7月29日法律第89号) 
(施行期日等)
第1条
  この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。

●不動産登記法の改正(平成17年4月13日公布)
●筆界特定

 筆界特定 … 一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、不動産登記法の定めるところにより、筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう。

不動産登記法等の一部を改正する法律 (平成17年4月13日法律第29号)

附則
第1条
  この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

●不動産の表示に関する公正競争規約の改正 2006.1.4施行
 運用基準なども改正。

◆改正 不動産の表示に関する公正競争規約(平成17年11月10日 公正取引委員会告示第23号)
  http://www.sfkoutori.or.jp/rengo_kai/index.html (平成18年1月4日施行)
  http://www.sfkoutori.or.jp/pdf/new_h_kiyaku.pdf

●地価公示法の改正 2006.4.1施行

■標準地の価格の判定等 (地価公示法2条1項)

 改正前    改正後
 2人以上の
 不動産鑑定士または
 不動産鑑定士補
 2人以上の不動産鑑定士

(標準地の価格の判定等)
第2条  土地鑑定委員会は、都市計画法 (昭和43年法律第100号)第4条第2項 に規定する都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域(国土利用計画法 (昭和49年法律第92号)第12条第1項 の規定により指定された規制区域を除く。以下「公示区域」という。)内の標準地について、毎年1回、国土交通省令で定めるところにより、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行つて、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示するものとする。

 このほかに,4条1項,5条1項,8条,24条1項,25条1項・2項,26条1項で条文中から,「不動産鑑定士補」がなくなった。

●税法の改正
●不動産取得税 

1) 標準税率の特例措置

・住宅・住宅用地の標準税率の特例措置の延長 本則4%→3%

 平成21年3月31日まで延長。

・商業地等の住宅用地以外の土地の標準税率の特例措置 本則4%→3%  

 平成21年3月31日まで延長。

・店舗,事務所,工場等の住宅以外の家屋の標準税率の特例措置 

 本則4%→3.5%  平成18年4月1日から平成21年3月31日まで

2) 宅地評価土地の課税標準を価格の1/2とする特例  平成21年3月31日まで延長。

3) 特例適用住宅用土地の不動産取得税の減額(住宅用土地の減額)

  平成20年3月31日まで延長。

4) 宅建業者の特例 平成20年3月31日まで延長。

 新築住宅を宅建業者等が取得したものとみなす日を1年に緩和する措置。  (本則6月)

 宅建業者が家屋を新築後1年以内に譲渡 → 家屋の取得者に課税

   宅建業者が1年以内に譲渡できなかった → 宅建業者等に課税

●登録免許税

1) 所有権移転登記★ 下記の青字部分に誤記があったため,訂正します。

 売買(土地)は,1%のまま (平成20年3月31日まで) ですが,下記のものが変わっています。

 売買(建物) (改正前)1% → (改正後)2%

 遺贈・贈与 (改正前)1% → (改正後)2%

 相続・合併 (改正前)0.2% → (改正後)0.4%

 法定相続人への遺贈 (改正前)0.2% → (改正後)0.4%

2) 所有権保存登記 (改正前)0.2% → (改正後)0.4%

3) 仮登記 所有権移転または所有権の移転請求権の保全 

       (改正前)0.5% → (改正後)1%

●所得税 既存住宅を耐震改修した場合の所得税の特別控除制度の創設  

●住宅ローン控除 年末残高4,000万円以下→年末残高3,000万円以下  

●住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例  

●固定資産税 耐震改修した場合の既存住宅の固定資産税の減額制度の創設  

●相続税 物納制度の改革 

●宅地造成等規制法の改正
 造成地が地震で崩壊すること〔盛土部が地すべりを起こすこと〕を防ぐために,宅地造成への耐震規準を導入する予定。ただし,平成18年の通常国会に改正案の提出になるので,平成18年4月1日までに改正が施行されるかどうかは不明。

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