宅建1000本ノック
  改正法一問一答2004 

税法その他 不当景品類及び不当表示防止法


不当景品類及び不当表示防止法によれば,次の記述は,○か×か。

1.「商品又は役務の品質,規格その他の内容について,実際のものよりも著しく優良であると示し,又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示すことにより,不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示は禁止されている。」

2.「公正取引委員会は,商品又は役務の品質,規格その他の内容について著しく優良であると示す表示につき,期間を定めて,事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるが,この求めに対して,事業者が当該資料を提出しない場合には,不当表示とみなされる。」

3.「排除命令は,公正取引委員会の認定した事実及びこれに対する法令の適用を記載した排除命令書の謄本を送達して行う。」

4.「都道府県知事は,不当な表示があると認めるときは,当該事業者に対し,その行為の取りやめ,訂正広告,再発防止のために必要な事項その他必要な事項を指示することができるが,その指示は,当該違反行為が既になくなっている場合においては,することができない。

【正解】

×

1.「商品又は役務の品質,規格その他の内容について,実際のものよりも著しく優良であると示し,又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示すことにより,不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示は禁止されている。」

【正解:

「実際のものよりも著しく優良である」,「事実に相違して他の業者に係わるものよりも著しく優良である」と示すことで不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

 改正前は「実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるため,不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示」でしたが,この「一般消費者に誤認されること」が4条1項1号の要件から外されました。⇒2号・3号では従来どおり誤認という文言は変わっていないことに注意。

 これにより,公正取引委員会自体が表示どおりの効果・性能がないことを立証する必要がなくなりました。立証するためには,専門機関の鑑定等をしなければならず,多大な時間や費用がかかるケースもあるからです。

●改正後の4条1項
事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号に掲げる表示をしてはならない。

一 商品又は役務の品質,規格その他の内容について,一般消費者に対し,実際のものよりも著しく優良であると示し,又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示すことにより,不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

二 商品又は役務の価格その他の取引条件について,実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため,不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

三 前2号に掲げるもののほか,商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって,不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの

2.「公正取引委員会は,商品又は役務の品質,規格その他の内容について著しく優良であると示す表示につき,期間を定めて,事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるが,この求めに対して,事業者が当該資料を提出しない場合には,不当表示とみなされる。」

【正解:

◆表示の根拠となる資料を提出しないときは不当表示になる

 公正取引委員会は,「実際のものよりも著しく優良であると示し,又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す」不当表示であるかについて判断するために必要と認めるときは,その表示をした事業者に対し,期間を定めて,当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます

 この場合に,当該事業者が合理的な根拠を示す資料を提出しないときは,その表示は不当表示とみなされ,排除命令の対象になります(4条2項)

●4条2項
公正取引委員会は,前項第1号に該当する表示か否かを判断するため必要があると認めるときは,当該表示をした事業者に対し,期間を定めて,当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において,当該事業者が当該資料を提出しないときは,第6条第1項〔排除命令〕及び第7条の規定の適用については,当該表示は同号に該当する表示〔不当表示〕とみなす

3.「排除命令は,公正取引委員会の認定した事実及びこれに対する法令の適用を記載した排除命令書の謄本を送達して行う。」

【正解:

◆排除命令は排除命令書の謄本を送達して行う

 本肢の記述のとおりです。

 排除命令は,公正取引委員会の認定した事実及びこれに対する法令の適用を記載した排除命令書の謄本を送達して行います(6条2項)

 改正前は「公正取引委員会は,排除命令をしたときは,公正取引委員会規則で定めるところにより,告示しなければならない」となっていましたが,迅速に処理するために告示の規定は削除され,関連する手続が整備されました。

●6条
第6条(排除命令) 公正取引委員会は,第3条の規定による制限若しくは禁止(景品類の制限及び禁止)又は第4条第1項の規定に違反する行為(不当な表示)があるときは,当該事業者に対し,その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができるその命令は,当該違反行為が既になくなつている場合においても,することができる。

2 前項の規定による命令(以下「排除命令」という。)は,公正取引委員会の認定した事実及びこれに対する法令の適用を記載した排除命令書の謄本を送達して行う

3 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第69条の3から第69条の5までの規定は,前項の送達について準用する。

●8条1項

第8条(審判手続等) 排除命令に不服がある者は,公正取引委員会規則で定めるところにより,排除命令書の謄本の送達があつた日から30日以内に,公正取引委員会に対し,当該命令に係る行為について,審判手続の開始を請求することができる。

4.「都道府県知事は,不当な表示があると認めるときは,当該事業者に対し,その行為の取りやめ,訂正広告,再発防止のために必要な事項その他必要な事項を指示することができるが,その指示は,当該違反行為が既になくなっている場合においては,することができない。

【正解:×

◆都道府県知事の指示対象の拡大

 改正前は,都道府県知事が不当表示などを行った事業者に対して指示できるのは「違反行為の差し止め」,「訂正広告」だけでしたが,改正により,「再発防止のための必要事項」,「事業者がとった措置等の報告」も指示できるようになりました。

 また,公正取引委員会の排除命令と同様に,都道府県知事も,違反行為終了後も指示することができるようになりました(9条の2)

 したがって,本肢は誤りの記述です。

●都道府県知事の指示 9条の2

第9条の2(都道府県知事の指示) 

 都道府県知事は,第3条の規定による制限若しくは禁止(景品類の制限及び禁止)又は第4条第1項の規定に違反する行為(不当な表示)があると認めるときは,当該事業者に対し,その行為の取りやめ若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を指示することができる。その指示は,当該違反行為が既になくなつている場合においても,することができる。

●9条の4第1項

第9条の4(報告の徴収及び立入検査等)

 都道府県知事は,第9条の2の規定による指示又は前条第1項の規定による請求を行なうため必要があると認めるときは,当該事業者若しくはその者とその事業に関して関係のある事業者に対し景品類若しくは表示に関する報告をさせ,又はその職員に,当該事業者若しくはその者とその事業に関して関係のある事業者の事務所,事業所その他その事業を行なう場所に立ち入り,帳簿書類その他の物件を検査させ,若しくは関係者に質問させることができる


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