宅建1000本ノック
  改正法一問一答2005 

不動産登記法 登記完了証,登記識別情報,事前通知


次の記述は,○か×か。

1.「電子申請のできない登記所では,登記が完了したとき,登記識別情報の代わり に登記完了証が,登記義務者・登記権利者の双方に交付される。 」

2.「登記識別情報を提供できないときは,登記申請することはできない。」

【正解】

× ×

オンライン指定庁⇒ http://www.moj.go.jp/MINJI/minji72.html

登記識別情報 ⇒ http://www.moj.go.jp/MINJI/minji76.html

1.「電子申請のできない登記所では,登記が完了したとき,登記識別情報の代わり に登記完了証が,登記義務者・登記権利者の双方に交付される。 」

【正解:×

◆登記完了証

  電子申請のできない登記所では,登記が完了したときに登記名義人となった申請人に登記済証が交付 されます(不動産登記法附則6条3項,登記規則附則15条3項)。また,電子申請のできない登記所では,登記完了証は交付されません。

 オンライン指定庁では,登記済証の登記が完了したことを証明する機能を代替するものとして, 登記完了証が交付されます(登記規則・181条)。   

 (⇔ 登記識別情報は,原則として,登記名義人となった申請人に通知されることと対比してください。)

1) 登記完了証は,権利に関する登記では,登記権利者と登記義務者の双方に交付しなければならないことに注意してください(登記規則181条)

2) 権利に関する登記では,登記権利者と登記義務者が複数いる場合は,登記権利者と登記義務者それぞれ各1人に登記完了証を交付します。

3) 登記識別情報では,通知を希望しない場合には通知されませんが, 登記完了証は必ず交付されることにも注意してください。

オンライン指定庁

 登記完了証 ⇒ 登記が完了すれば, 登記官は必ず交付しなければならない。           (登記が完了したときは全ての登記申請で交付される。)   

 登記識別情報 ⇒  登記名義人となる申請人が通知を希望しないときは通知されない。(申請人が登記名義人になる登記申請でのみ,通知されるので,全ての登記申請で通知される わけではない。) 

対比

 登記完了証 ⇒ オンラインの指定庁でのみ交付される。  

 登記済証  ⇒ 電子申請のできない登記所(ブック庁,コンピュータ庁) でのみ交付される。

 

●登記識別情報

 登記識別情報は,電子申請のできるオンライン指定庁(附則6条1項の指定が あった登記所)で最低限1回はその不動産について登記していなければありえないものです。  

登記識別情報は,登記名義人となる申請人に対してのみ交付され,権利に関する登記だけでなく,表示に関する登記でも交付されることに注意。  

 ⇒ 申請された登記が完了しても,全ての登記申請で,登記識別情報が通知されるわけではありません

 登記識別情報が通知されるのは,その登記によって申請人が登記名義人となる場合に限られます(不動産登記法・21条)

登記識別情報は原則として,登記名義人となる申請人に対して通知されますが,以下のように例外があります(登記規則・62条1項,2項)。   

法定代理人によって申請している場合は,その法定代理人に対して登記識別情報が通知される。   (未成年者の法定代理人等。)   

申請人が法人の場合は,その法人の代表者に登記識別情報が通知される。   

登記識別情報の通知を受けるための特別な委任を受けた代理人がある場合には,その代理人に対して登記識別情報が通知される。   (司法書士等が登記識別情報を受け取ることの委任を受けた場合)

登記識別情報は,通知を希望しない場合には通知されません。(不動産登記法21条但書)  

 ⇒ あらかじめ申請情報で,通知を希望しない旨の申出をした場合に限られます。

登記識別情報の通知を受けるべき者が官庁・公署である場合は,原則として,登記識別情報は通知を要しない(通知しない)とされています。   (登記規則・64条1項4号)

 ⇒ あらかじめ申請情報で,通知を希望する旨の申出をした場合には 通知されます。

いったん通知を受けても,登記名義人又はその相続人その他の一般承継人 は,登記官に対し,通知を受けた登記識別情報について失効の申出をすること ができます(登記規則65条1項)

 ⇒登記識別情報が盗まれた場合に不正な登記申請に用いられることがない ようにするため。

登記識別情報を亡失した場合,再通知されません。

2.「登記識別情報を提供できないときは,登記申請することはできない。」

【正解:×

◆事前通知

 このような問題がでたら,何のために事前通知制度があるのかと思ってください。

 また,すべての登記申請で,登記識別情報 (登記済証) の提供が義務付けられているわけではありません。登記識別情報 (登記済証) の提供が義務付けられているのは,

 ・登記権利者及び登記義務者が権利に関する登記で共同申請する場合

 ・(共同申請以外のもので) 政令で定める登記申請をする場合

です(不動産登記法・22条,施行令8条)

表示の登記でも,以下の場合は,登記識別情報 (登記済証) の提供が必要です。

 ・所有権の登記がある土地の合筆の登記
 ・所有権の登記がある建物の合体の登記等
 ・所有権の登記がある建物の合併の登記

登記識別情報が通知されなかった場合申請人が登記識別情報 (登記済証) を提供することができないことについて正当な理由がある場合は,登記識別情報 (登記済証) を提供しなくても登記申請することができます。ただし,この場合,登記官は,事前通知をし登記義務者本人からの申出を受けた上で登記します。

●事前通知

 登記識別情報が提供されない場合は,次のような手順によって登記されます。
 (不動産登記法23条1項,登記規則70条)

 事前通知 = 登記官が,登記義務者(登記名義人)に対して,

        「これこれしかじかの登記申請がありました。
         本当に,あなたが登記申請したのであれば,
         その旨を
         この通知を発送した日から2週間以内※に
         登記所まで申し出てください。」

        と書面で郵送によって通知する。
        登記所からの通知は「本人限定受取郵便」。
        (法人は「書留郵便」)で行われます。

        (必ず登記記録での登記名義人の住所を宛先*にして発送する。
        登記義務者が「登記記録での住所ではなく,今は転居して
        いるので,こちらに送ってくれ」と申し出ることはできません。
        別人がなりすましている可能性があるからです。)

        *所有権に関する登記の申請については,
        登記済証(登記識別情報)の提供がされない登記申請で,かつ,
        当該登記申請前3カ月以内に住所の変更登記をしている場合は,
        登記記録上の前住所にも,登記の申請があった旨が通知される。

        (電子申請でも,なりすまし申請の可能性があるので,
         必ず郵送で送付されることに注意。)

        原則として,通知を発送した日から2週間以内。
         ただし,登記義務者が外国に住所を有するときは4週間以内。

         この期間内に申出がないときは登記官は,当該登記申請
         を却下しなければなりません(不動産登記法・25条10号)

  ↓

 登記義務者の申出 = 登記義務者が,

                 「はい,確かに私はその旨の登記申請をしました。
                 間違いありません。」

                と申し出る。 

  事前通知を受けて登記義務者が申し出る方法

     ⇒ 登記申請を,電子申請したのか書面で申請したのかによって分かれます。

   電子申請した  ⇒ 申請内容が真実である旨の情報に
                電子署名を行ったうえで登記所に送信します。         

   書面で申請した ⇒ 送付された通知の書面に
                申請内容が真実である旨を記載して記名,
                かつ,登記申請時の申請書・委任状に押印
                したものと同じ印鑑を用いて押印したものを
                登記所に提出します。

  ↓

 登記官が登記を実行する。

●事前通知を要しないとき

  登記識別情報 (または,登記済証) が提供されない場合でも,以下の方法で,本人確認情報が提供されれば,事前通知は行われません(不動産登記法70条4項,登記規則72条)。 

1 資格者代理人(司法書士・土地家屋調査士)によって登記申請がされた場合
  で,登記官が,申請人が登記義務者であることを確認する情報の提供を
  受けて,かつ,その内容を相当と認めたとき
(不動産登記法70条4項1号)

2 申請情報(資格代理人が代理で申請するときは委任状等の権限を証する情報)
  を記載した書面,又は記録した電磁的記録について,公証人から当該申請人
  が登記義務者であることを確認するために必要な認証がされ,かつ,登記官
  がその内容を相当と認めるとき
(不動産登記法70条4項2号)


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