宅建1000本ノック
  改正法一問一答2007 

税法その他  税法の改正点  固定資産税 (地方税法)

 住宅のバリアフリー改修促進税制 (固定資産税)


次の記述は,○か×か。

1.地方税法附則16条1項及び2項に定める固定資産税のバリアフリー改修促進税制は,その適用があるべき旨の申告をした時点で,高齢者,障害者が居住していない家屋についても,その適用を受けることができる場合がある。

2.固定資産税のバリアフリー改修促進税制は,新築住宅の減額(地方税法附則16条1項,2項)や耐震改修工事の減額(地方税法附則16条8項)と,重ねて適用することができる。

3.固定資産税のバリアフリー改修促進税制は,高齢者,障害者が居住している賃貸住宅でも適用される。

4.高齢者等居住改修住宅に対して課する固定資産税については,当該改修工事の完了した翌年度から3年度分に限って,1戸あたり120平方メートルまでの特定居住用部分についての税額が2分の1減額される。

【正解】

× × × ×

●バリアフリー改修工事に関する固定資産税の減額
  平成19年4月1日から平成22年3月31日までの間に,平成19年1月1目以前から存している家屋 (区分所有に係るものも含む) のうち高齢者,障害者その他の政令で定める者が居住するもの(賃貸住宅を除く。) について政令で定めるバリアフリー改修工事を行い,当該改修工事の費用から補助金等 (介護保険の住宅改修費等を含む。) を除いた費用が30万円以上の場合において,当該改修工事完了の翌年度分に限り,当該家屋 (1戸当たり100平方メートル相当分までに限る) に係る固定資産税の税額の3分の1が減額される(地方税法附則16条11項,12項)

 なお,この特例は,新築住宅の減額(地方税法附則16条1項,2項)耐震改修工事の減額(地方税法附則16条8項)とは,併用できない(地方税法附則16条11項,12項)

1.地方税法附則16条1項及び2項に定める固定資産税のバリアフリー改修促進税制は,その適用があるべき旨の申告をした時点で,高齢者,障害者が居住していない家屋についても,その適用を受けることができる場合がある。

【正解:×

◆高齢者等居住改修住宅

 バリアフリー改修工事に係る固定資産税の減額は,政令で定める改修工事をしただけでは適用を受けることはできず,適用を受けるべき旨の申告をした時点で,高齢者,障害者その他の政令で定める者が現に居住している場合に(高齢者等居住改修住宅),工事完了の翌年度分に限り,適用されます。

 適用を受けるべき旨の申告をした時点で,高齢者,障害者が居住していない家屋は,適用を受けることはできません。

2.固定資産税のバリアフリー改修促進税制は,新築住宅の減額(地方税法附則16条1項,2項)や耐震改修工事の減額(地方税法附則16条8項)と,重ねて適用することができる。

【正解:×

◆新築住宅の減額,耐震改修の減額とは併用できない

 バリアフリー改修工事に係る固定資産税の減額は,新築住宅の減額,耐震改修工事の減額とも,重ねて適用することはできません。

適用関係を具体的に整理すると,次のようになります(適用要件を満たしているものとする)。

    新築住宅の減額  バリアフリーの減額
 
(高齢者等が居住)
 耐震改修の減額
平成19年1月2日以降に

新築された住宅

 適用される  適用されない  適用されない
平成19年1月1日以前に
新築された住宅で,平成
19年度が新たに課税される
年度であるもの
 選択適用  選択適用  適用されない
昭和57年以前から所在する

住宅

 適用されない  選択適用  選択適用
上記以外  適用されない  適用される  適用されない

 

3.固定資産税のバリアフリー改修促進税制は,高齢者,障害者が居住している賃貸住宅でも適用される。

【正解:×

◆賃貸住宅には適用できない

 バリアフリー改修工事に係る固定資産税の減額は,賃貸住宅に適用することはできません。

4.高齢者等居住改修住宅に対して課する固定資産税については,当該改修工事の完了した翌年度から3年度分に限って,1戸あたり120平方メートルまでの特定居住用部分についての税額が2分の1減額される。

【正解:×

◆改修工事完了の翌年度のみ,1戸当たり100平方メートル,3分の1減額

 バリアフリー改修工事に係る固定資産税の減額は,改修工事が完了した翌年度に限り,1戸当たり120平方メートルまでの部分についての固定資産税の税額の3分の1が減額されます。

 (誤) 翌年度から3年度分 ⇒ (正) 工事完了の翌年度分のみ

 (誤) 1戸あたり120平方メートル ⇒ (正)  1戸あたり100平方メートル

 (誤) 税額が2分の1減額 ⇒ (正) 税額が3分の1減額

●固定資産税の減額の適用の比較

 耐震改修の減額は,昭和 57 年1 月1 日以前から所在する住宅のうち平成18 年1 月1 日以降に政令で定める耐震改修が行われたものに適用される。

 バリアフリー改修の減額は,平成 19 年1 月1日以前から所在する住宅で高齢者、障害者その他の政令で定める者が居住するもののうち、政令で定めるバリアフリー改修工事が行われたものに適用される。

    新築住宅の減額  耐震改修の減額

(工事費30万円以上)

 バリアフリーの減額

(工事費30万円以上)

減額   2分の1  2分の1  3分の1
減額される
年度
 新たに固定資産税が
課される年度から
3年度分

(地上階数3以上の
中高層耐火建築物
では5年度分)

 改修工事完了の

 翌年度から3年度分

 (平成 21 年 12月31日まで
の間に完了した場合)

 改修工事完了の

 翌年度分のみ

減額対象   1戸当たり

 120平方メートルまで

 1戸当たり

 120平方メートルまで

 1戸当たり

 100平方メートルまで

賃貸住宅
への適用
 適用される  適用される  適用されない

●地方法附則 16条
11 市町村は、平成 19 年1 月1日以前から所在する住宅(区分所有に係る家屋以外の家屋で政令で定めるものに限る。)のうち、人の居住の用に供する部分(貸家の用に供する部分を除く。以下この項、次項及び第15 項において「特定居住用部分」という。)において同年4 月1 日から平成22 年3 月31 日までの間に高齢者、障害者その他の政令で定める者(以下この項、次項及び第15 項において「高齢者等」という。)の居住の安全性及び高齢者等に対する介助の容易性の向上に資する改修工事で政令で定めるもの(以下この項から第13 項までにおいて「改修工事」という。)が行われたもの(第15 項において「改修住宅」という。)であつて、特定居住用部分に高齢者等が居住しているもの(以下この項、第13 項及び第14 項において「高齢者等居住改修住宅」という。)に対して課する固定資産税については、第1項から第3項まで若しくは第5項から第8項までの規定の適用がある場合又は既にこの項の規定の適用を受けたことがある場合を除き当該改修工事が完了した日の属する年の翌年の1月1日(当該改修工事が完了した日が1月1日である場合には、同日。次項において同じ。)を賦課期日とする年度分の固定資産税に限り、当該高齢者等居住改修住宅に係る固定資産税額(特定居住用部分以外の部分を有する高齢者等居住改修住宅その他の政令で定める高齢者等居住改修住宅にあつては、この項の規定の適用を受ける部分に係る税額として政令で定めるところにより算定した額に限る。)の3分の1に相当する額を当該高齢者等居住改修住宅に係る固定資産税額から減額するものとする。

12  市町村は、平成19年1月1日以前から所在する区分所有に係る家屋の専有部分で政令で定めるもののうち、特定居住用部分において同年4月1日から平成22年3月31日までの間に改修工事が行われたもの(第15項において「改修専有部分」という。)であつて、特定居住用部分に高齢者等が居住しているもの(以下この項から第14項までにおいて「高齢者等居住改修専有部分」という。)の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律第2条第2項の区分所有者をいう。以下この項において同じ。)が当該高齢者等居住改修専有部分について納付する義務を負うものとされる固定資産税額については、当該区分所有に係る家屋に対して第1項から第3項まで若しくは第5項から第8項までの規定の適用がある場合又は当該高齢者等居住改修専有部分が既にこの項の規定の適用を受けたことがある場合を除き当該改修工事が完了した日の属する年の翌年の1月1日を賦課期日とする年度分の固定資産税額に限り、第352条第1項の規定により当該区分所有者が納付する義務を負うものとされる固定資産税額(特定居住用部分以外の部分を有する高齢者等居住改修専有部分その他の政令で定める高齢者等居住改修専有部分にあつては、この項の規定の適用を受ける部分に係る額として政令で定めるところにより算定した額に限る。)の3分の1に相当する額を同条第1項の規定により当該区分所有者が納付する義務を負うものとされる固定資産税額から減額するものとする。

13  前2項の規定は、高齢者等居住改修住宅又は高齢者等居住改修専有部分に係る固定資産税の納税義務者から、当該高齢者等居住改修住宅又は当該高齢者等居住改修専有部分に係る改修工事が完了した日から3月以内に、総務省令で定める書類を添付して、当該高齢者等居住改修住宅又は当該高齢者等居住改修専有部分につきこれらの規定の適用があるべき旨の申告がされた場合に限り、適用するものとする。

14  市町村長は、前項に規定する期間の経過後に同項の申告がされた場合において、当該期間内に申告がされなかつたことについてやむを得ない理由があると認めるときは、当該申告に係る高齢者等居住改修住宅又は高齢者等居住改修専有部分につき第11項又は第12項の規定を適用することができる。

15  第11項又は第12項の場合において、改修住宅又は改修専有部分の特定居住用部分に高齢者等が居住しているかどうかの判定は、第13項の申告の時の現況による

16  市町村は、第364条第3項若しくは第4項又は附則第15条の4に定めるもののほか、前各項の規定の適用を受ける土地又は家屋については、これらの規定により減額する税額を固定資産税の課税明細書に記載しなければならない。

参考●耐震基準適合住宅 (耐震改修工事をした家屋) の減額
8 市町村は、昭和 57 年1 月1 日以前から所在する住宅のうち平成18 年1 月1 日から平成27年 12 月 31 日までの間に政令で定める耐震改修(地震に対する安全性の向上を目的とした増築、改築、修繕又は模様替をいう。以下この項及び次項において同じ。)が行われたもので政令で定める基準に適合することにつき総務省令で定めるところにより証明がされたもの(以下この項から第 10項までにおいて「耐震基準適合住宅」という。)に対して課する固定資産税については、当該耐震改修が平成18年1月1日から平成21年12月31日までの間に完了した場合にあつては当該耐震改修が完了した日の属する年の翌年の1月1日(当該耐震改修が完了した日が 1 月 1日である場合には、同日。以下この項において同じ。)を賦課期日とする年度から3年度分、当該耐震改修が平成 22 年1 月1 日から平成24 年12 月31 日までの間に完了した場合にあつては当該耐震改修が完了した日の属する年の翌年の1 月1 日を賦課期日とする年度から 2年 度分、当該耐震改修が平成 25 年 1 月 1 日から平成27 年 12 月 31 日までの間に完了した場合にあつては当該耐震改修が完了した日の属する年の翌年の 1 月 1 日を賦課期日とする年度分の固定資産税に限り、当該耐震基準適合住宅に係る固定資産税額(区分所有に係る耐震基準適合住宅にあつてはこの項の規定の適用を受ける部分に係る税額として各区分所有者ごとに政令で定めるところにより算定した額の合算額とし、区分所有に係る耐震基準適合住宅以外の耐震基準適合住宅(人の居住の用に供する部分以外の部分を有する耐震基準適合住宅その他の政令で定める耐震基準適合住宅に限る。)にあつてはこの項の規定の適用を受ける部分に係る税額として政令で定めるところにより算定した額とする。)の2分の1に相当する額を当該耐震基準適合住宅に係る固定資産税額から減額するものとする。

 前項の規定は、耐震基準適合住宅に係る固定資産税の納税義務者から、当該耐震基準適合住宅に係る耐震改修が完了した日から3月以内に、当該市町村の条例で定めるところにより、当該耐震基準適合住宅につき同項の規定の適用があるべき旨の申告がされた場合に限り、適用するものとする。

10  市町村長は、前項に規定する期間の経過後に同項の申告がされた場合において、当該期間内に申告がされなかつたことについてやむを得ない理由があると認めるときは、当該申告に係る耐震基準適合住宅につき第8項の規定を適用することができる。


1000本ノック・改正法・一問一答シリーズに戻る

改正法レポートに戻る