宅建1000本ノック
  改正法一問一答2007 

税法その他  税法の改正点  所得税

特定の居住用財産に係る買換えの長期譲渡所得の課税の特例 

住宅借入金等特別控除 (控除期間15年の特例 の創設/ 増改築等の範囲の改正)

特定増改築等住宅借入金特別控除の創設


次の記述は,○か×か。

1.平成19年4月1日以降に居住用財産を譲渡する場合に,特定の居住用財産に係る買換えの長期譲渡所得の課税の特例 (租税特別措置法第36条の2第1項) の適用を受けるときは,買換資産となる家屋 (区分所有に係るものを除く) の居住部分の床面積は50平方メートル以上280平方メートル以下でなければならない。

2.個人が平成19年中に,その取得等の日から6月以内に自己の居住の用に供して,控除期間を15年とする住宅借入金等特別控除の控除額に係る特例 (租税特別措置法第41条第3項及び同条第4項) の適用を受ける場合,各年の控除率は,1年目から10年目までは住宅借入金等の年末残高 (2,500万円以下の部分。以下同じ。) の 0.6%,11年目から15年目までは住宅借入金等の年末残高の 0.4% である。

3.住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除 (租税特別措置法第41条) の適用対象となる増改築には,高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための一定の改修工事 (「特定増改築等」という) も含まれる。

4.住宅のバリアフリー改修促進税制(特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例,租税特別措置法第41条の3の2)の適用を受ける場合は,住宅ローン控除(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除,租税特別措置法第41条) の適用を受けることはできない。

【正解】

×

1.平成19年4月1日以降に居住用財産を譲渡する場合に,特定の居住用財産に係る買換えの長期譲渡所得の課税の特例 (租税特別措置法第36条の2第1項) の適用を受けるときは,買換資産となる家屋 (区分所有に係るものを除く) の居住部分の床面積は50平方メートル以上280平方メートル以下でなければならない。

【正解:×

◆買換資産の床面積要件の上限280平方メートルを撤廃 

 改正前,買換資産となる家屋の居住部分の床面積は50平方メートル以上280平方メートル以下でなければなりませんでしたが,

 改正により,平成19年4月1日以降に居住用財産を譲渡する場合に,特定の居住用財産に係る買換えの長期譲渡所得の課税の特例 を受けるときは,買換資産の家屋 (区分所有に係るものを除く) の床面積の上限が撤廃されました (租税特別措置法第36条の2第1項,施行令24条の2第3項1号イ)

 ⇒ その家屋の敷地に供する土地または土地の上にある権利の取得については 500平方メートル以下

平成19年3月31日までに
居住用財産を譲渡
買換資産となる家屋の居住部分の床面積は
 50平方メートル以上280平方メートル以下
平成19年4月1日以降に
居住用財産を譲渡
買換資産となる家屋の居住部分の床面積は
 50平方メートル以上 (上限なし)

2.個人が平成19年中に,その取得等の日から6月以内に自己の居住の用に供して,控除期間を15年とする住宅借入金等特別控除の控除額に係る特例 (租税特別措置法第41条第3項及び同条第4項) の適用を受ける場合,各年の控除率は,1年目から10年目までは住宅借入金等の年末残高 (2,500万円以下の部分。以下同じ。) の 0.6%,11年目から15年目までは住宅借入金等の年末残高の 0.4% である。

【正解:

◆住宅借入金等特別控除の控除額に係る特例 (控除期間15年の特例)

 新設された「控除期間を15年とする特例※1」は,従来の控除期間10年とするものとの選択適用であり,どちらか一方しか適用を受けられません。※2

 新設の特例では,控除期間,各年の控除率が異なるだけで,所得制限(合計所得金額3,000万円)住宅借入金等の年末残高(2,500万円以下の部分)控除期間中の最高控除額200万円については従来の制度と同じです。

 居住年  控除期間  住宅借入金等の年末残高  各年の控除率
 平成19年  15年間  2,500万円以下の部分 1年目〜10年目 0.6%

11年目〜15年目 0.4%

 10年間 1年目〜6年目 1.0%

7年目〜10年目 0.5%

※1 税源移譲 (住民税の一律10%など) に伴って,住宅ローン減税効果を確保するために,創設された。

※2 2以上の住宅の取得等をし,同一年中に居住の用に供した場合,住宅借入金等の金額の全てについて,従来の控除期間10年または控除期間15年の特例のどちらか一方を選択しなければならない。

3.住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除 (租税特別措置法第41条) の適用対象となる増改築には,高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための一定の改修工事 (「特定増改築等」という) も含まれる。

【正解:

◆増改築の範囲の改正

 増改築費用について住宅借入金がある場合も,住宅ローン控除 (住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除) の適用を受けることができます。

 平成19年の改正により,高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための修繕又は模様替 (「特定増改築等」,バリアフリー改修工事)の費用 (工事費用100万円超が要件)もその適用対象になりました(租税特別措置法施行令26条19項5号)

平成18年の改正により,地震に対する安全性に係る基準に適合させるための修繕又は模様替も,住宅ローン控除の対象となる増改築となっています(租税特別措置法施行令26条19項4号)

4.所得税の住宅のバリアフリー改修促進税制 (特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例,租税特別措置法第41条の3の2)の適用を受ける場合は,住宅ローン控除 (住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除,租税特別措置法第41条) の適用を受けることはできない。

【正解:

◆バリアフリー改修促進税制・所得税

 上でみた肢3のバリアフリー改修工事費用についての住宅ローン控除 (租税特別措置法第41条) とは別に,所得税の「住宅のバリアフリー改修促進税制 」(租税特別措置法第41条の3の2)が創設されました。

 「住宅ローン控除」と所得税の「住宅のバリアフリー改修促進税制」は,どちらか一方の選択適用です。 工事費用住宅借入金等の額によって選択することができるようになっています。

   増改築の住宅ローン控除  バリアフリー改修促進税制
所得制限  合計所得金額3,000万円以下  合計所得金額3,000万円以下
工事費用の要件  100万円以上  30万円以上
控除期間  10年間 (または,15年間)  5年間
ローンの償還期間  10年以上  5年以上
ローンの年末残高  2.500万円  バリアフリー改修工事 200万円 

 (バリアフリー以外の改修工事の部分
 と合わせて1,000万円)

所得税の「住宅のバリアフリー改修促進税制 」の控除率は,バリアフリー改修工事 200万円以内のものについては2%,住宅借入金等1,000万円分からバリアフリー改修工事分を差し引いた残額については1%です。

●バリアフリー改修促進税制の適用を受けられる者

1) 50歳以上の居住者

2) 介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定を受けている居住者

3) 介護保険法第19条第2項に規定する要支援認定を受けている居住者

4) 所得税法第2条第1項第28号に規定する障害者に該当する居住者

5) 居住者の親族(当該親族が65歳以上である者又は1〜4のいずれかに該当する者である場合に限る。) と同居を常況としている者

 <参考> 国土交通省 住宅のバリアフリー改修促進税制


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