試験対策
分析 |
出題の概略―宅建との相違点 |
マンション管理士、管理業務主任者の試験は、2回しか出題実績がなく、出題方法・出題内容も確定しているとはいえません。 |
●試験の基準(管理適正化法・施行規則) |
管理適正化法・第7条 (試験)
試験は、マンション管理士として必要な知識について行う。 施行規則・第1条 (試験の基準) マンション管理士試験は、管理組合の運営その他マンションの管理に関する専門的知識を有するかどうかを判定することに基準を置くものとする。 施行規則・第2条 (試験の内容) 前条の基準によって試験すべき事項は、おおむね次のとおりである。 一 マンションの管理に関する法令及び実務に関すること(第四号に掲げるものを除く。)。 二 管理組合の運営の円滑化に関すること。 三 マンションの建物及び附属施設の形質及び構造に関すること。 四 マンションの管理の適正化の推進に関する法律 に関すること。 |
●試験委員(管理適正化法・施行規則) |
管理適正化法・第16条 (試験委員) 指定試験機関は、試験事務を行う場合において、マンション管理士として必要な知識を有するかどうかの判定に関する事務については、マンション管理士試験委員(以下この節において「試験委員」という。)に行わせなければならない。 2 指定試験機関は、試験委員を選任しようとするときは、国土交通省令で定める要件を備える者のうちから選任しなければならない。 3 指定試験機関は、試験委員を選任したときは、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣にその旨を届け出なければならない。試験委員に変更があったときも、同様とする。 4 第13条第2項の規定は、試験委員の解任について準用する。 施行規則・第16条 (試験委員の要件) 法第16条第2項 の国土交通省令で定める要件は、次の各号のいずれかに該当する者であることとする。 一 学校教育法 (昭和22年法律第26号)による大学において民事法学、行政法学、会計学又は建築学を担当する教授又は助教授の職にあり、又はあった者その他これらの者に相当する知識及び経験を有する者 二 国又は地方公共団体の職員又は職員であった者で、第二条各号に掲げる事項について専門的な知識を有するもの |
宅建試験の特色は、浅く広くと広範囲であること、また、各範囲とも他の資格試験範囲と
重なっていて、宅地建物の取引に関連する一般的な出題であることが挙げられます。
マンション管理士試験の特色は、複合問題が多い、マンションの法令・規約・管理・施設
に特化した出題であることなどが挙げられます。
平成13年の出題が今後も続くかどうかはわかりません。ただ、平成13年に出題のなかっ
た「地盤」、「土砂災害防止法などの土地に関する災害防止」、「都市災害対策」、
「建築物の耐震改修の促進に関する法律」、「借地借家法」、「不動産の鑑定・評価」、
「保険」、「管理組合の税務」などは、マンションの管理に関連するため、出題は今後
あり得ると思われます。(管理組合の税務、耐震改修促進法は管理業務主任者で出題)
◇税法関連では、固定資産減価償却耐用年数が出題されています。(問42肢4)
〔平成10年に、鉄筋コンクリート造のマンション60年→47年に法改正されたことが出題。〕
▼宅建試験との比較
●権利の変動分野
宅建試験の出題 | マンション管理士試験での出題 | |
民法 | 10問-11問 | 単独3問〔14,15,16〕、複合2問〔1,21,〕
複合=区分所有法〔1〕・宅建業法〔21〕 |
借地借家法 | 2問 | 単独出題はないが、民法で賃貸借が出題〔14〕 |
不動産登記法 | 1問―2問 | 単独1問〔18〕、複合2問〔4、17〕
複合=区分所有法〔4,17〕 |
区分所有法 | 1問 | 単独12問、複合6問〔1,4,17,28,30,39〕
複合=民法〔1〕、不動産登記法〔4,17〕、規約〔28,30〕 リフォーム〔39〕 ほかに、被災区分所有法 1問〔13〕 |
●法令上の制限
宅建試験の出題 | マンション管理士試験での出題 | |
都市計画法 | 3問 | 1問〔27〕 |
建築基準法 | 2問-3問 | 2問〔25,26〕 |
諸法令 | 国土法 1問
農地法 1問 区画整理法 1問 宅地造成等規制 地すべり・急傾斜 |
平成13年には、出題なし |
マンション施設
制限法令 |
出題なし | 3問
水道法〔22〕、消防法〔24〕、 自動車の保管場所の確保等に関する法律〔23〕 |
●土地・建物・設備
宅建試験の出題 | マンション管理士試験での出題 | |
土地 | 1問 | 出題なし |
建物 | 1問 | 4問
マンションの構造方式〔37〕、排水設備〔38〕、 リフォームの総合問題〔39〕、設備〔40〕 |
メンテナンス | 出題なし | 5問
維持保全〔41,42〕、長期修繕計画〔43〕 調査診断・改修設計〔44〕、大規模修繕・工事監理〔45〕 ⇔建築物の耐震改修の促進に関する法律 |
●宅建業法・住宅の品質確保・不動産の関連知識
宅建試験の出題 | マンション管理士試験での出題 | |
宅建業法 | 16問 | 2問 単独1問〔20〕、複合1問〔21〕
複合=宅建業法〔21〕 |
住宅品確法 | 出題なし | 1問 瑕疵担保責任〔18〕 |
住宅金融公庫 | 1問 | 出題なし |
不動産の鑑定評価 | 1問 | 出題なし |
不動産の需給統計 | 1問 | 出題なし |
不動産の税法 | 3問 | 出題なし |
景品表示法 | 1問 | 出題なし |
●マンション管理士固有の範囲
宅建試験の出題 | マンション管理士試験での出題 | |
標準規約 | 出題なし | 5問 単独2問〔12,29〕、複合3問〔28,30,42〕
複合=区分所有法〔28,30〕 単棟型〔12,29,30〕、団地型〔28,42〕 |
管理委託契約 | 出題なし | 1問〔31〕 |
会計 | 出題なし | 2問
管理組合の決算〔35〕、滞納防止〔36〕 |
管理適正化法 | 出題なし | 5問〔46-50〕 |
▼マンション管理士試験の全体構成
マンションの管理適正化法・施行規則での試験範囲
一 マンションの管理に関する法令及び実務に関すること(第四号に掲げるものを除く)
二 管理組合の運営の円滑化に関すること。
三 マンションの建物及び附属施設の形質及び構造に関すること。
四 マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること。
分類 | 内訳 |
区分所有法等 |
区分所有法〔1-11,17〕,中高層管理規約〔12〕,被災マンション法〔13〕, 民法〔14-16〕, 不動産登記法〔17-18〕, |
販売 |
住宅品質確保法〔19〕,宅建業法〔20-21〕 |
設備・施設 |
設備・施設の管理法令〔22-27〕 |
管理組合 |
管理組合の運営〔28-36〕、 集会の決議・理事長・理事会〔28〕、総会の運営〔29〕、 管理組合の業務〔30〕、 管理委託契約〔31〕、 管理に関する訴訟〔32-33〕、ペットの飼育〔34〕、 決算〔35〕、管理費の滞納防止〔36〕 |
設備・
維持保全 |
設備〔37-40〕、維持保全・修繕・改修設計〔41-45〕、 |
管理適正化法 |
管理適正化法〔46-50〕 |
この中には、統計の平成11年マンション総合調査〔41〕なども出題されています。
■総合判断―宅建とは一部ダブっていても、出題のしかたは、異なります。したがって、
宅建の学習は、民法や法令に慣れている意味でやや有利という程度。
区分所有法などの判例研究の必要があり、宅建との温度差はかなりあると
思われます。→ 平成13年本試験問題
宅建試験では単発的な知識が多く出題されていますが、マンション管理士
の試験では、区分所有法・標準規約・管理組合の運営などが中心の複合
問題であり、区分所有法・規約の集中学習が必要でしょう。