Brush Up! 権利の変動篇

契約総合の過去問アーカイブス 売買契約 昭和56年・問9


不動産の売買契約に関する次の記述のうち,民法上,誤っているのはどれか。
(昭和56年・問9)

1.「売買契約は,書面によらなければならない。」

2.「売買契約に関する費用は,当事者双方が平分してこれを負担する。」

3.「売買契約は,申込みと承諾によって成立する。」

4.「売買契約と同時に買戻しの特約をしたが,買戻しの期間を定めなかった場合,買戻しは5年以内に限ってすることができる。」

【正解】

×

1.「売買契約は,書面によらなければならない。」

3.「売買契約は,申込みと承諾によって成立する。」 (類:昭和53年)

1.【正解:×】, 3.【正解:

◆売買契約の定義

 売買契約は,当事者の一方(売主)がある財産権を相手方に移転することを約して,相手方(買主)がこれに代金を支払うことを約することによって成立する有償双務契約です。(555条)

 売買契約は,申込みと承諾による当事者の意思表示の合致によって成立する諾成契約で,契約書面によらなければならないという規定はありません。→ 1:×, 3:

 有償契約では担保責任、双務契約では危険負担・同時履行の抗弁権があり、売買契約は有償双務契約なので、どちらも適用されます。

現実売買

 目的物と代金をいきなり交換し合う、私たちにとっては日常的な売買。原則として民法上の売買の規定が適用される。〔例えば手付の規定は現実売買では適用されない。〕

2.「売買契約に関する費用は,当事者双方が平分してこれを負担する。」

【正解:

◆売買契約の費用負担

 売買契約に関する費用は当事者双方が平分して負担します。(558条)

 売買契約に関する費用とは、代金のみではなく、目的物の評価測量契約書作成など契約の締結に必要な費用を指します。

→ 判例では、不動産の売買での登記にかかる費用も、この558条の費用にあたるとしています。

4.「売買契約と同時に買戻しの特約をしたが,買戻しの期間を定めなかった場合,

買戻しは5年以内に限ってすることができる。」

【正解:

◆買戻しの期間を定めなかった場合は5年以内

 本肢がこの問題では実質的に問われているもの。

 買戻しの契約は、売買契約と同時に行われますが、買戻しの期間は10年を超えることができず、定めなかった場合は5年以内にしなければいけません。 (579,580条)

→ 買い戻しについては、こちらをご覧ください。


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