Brush Up! 権利の変動編
区分建物の登記に関する問題1 区分建物の登記の基本と表示の登記
正解・解説
▼「区分所有建物」という用語は、「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(平成7年-1995年-)によって法律用語として初めて定義されました。この法律では、区分所有建物とは、「専有部分が属する一棟の建物」を意味します。 今後、本問題集では、区分建物と区分所有建物を分けることにし、区分建物は「1棟の建物を区分し、区分所有権の目的である建物」、区分所有建物は「専有部分が属する一棟の建物」とします。(宅建の過去問では、区分所有建物のことを1棟の建物と言っている場合があります。) 最近の宅建試験でも、「1棟の建物を区分し、区分所有権の目的である建物」は、「区分建物」という用語を用いるようになっています。 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | ○ |
区分建物についての登記に関する次の記述は○か、×か。 |
1.「区分建物の登記記録では,一棟の建物に属する各区分建物ごとに作成され,
表題部,権利部の甲区及び乙区が設けられる。」昭和60
【正解:○】
◆区分建物の登記記録−区分建物ごとに作成されることに注意 マンションの各専有部分(区分建物)はそれぞれ一個の独立した1つの建物なので、不動産番号も一棟の建物に属する各区分建物ごとに付され(登記規則90条)、一棟の建物に属する各区分建物ごとに、以下のように登記記録が作成されます(登記規則・4条3項,別表三・区分建物である建物の登記記録,登記規則197条2項3号,別記9号)。 登記記録は、各専有部分ごとに一つの登記記録 ▼敷地権登記のある建物の登記記録の構成
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2.「区分建物の床面積は、壁その他の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により
算出される。」H13-14-2
【正解:○】
◆区分建物の床面積=内側線で囲まれた部分の水平投影面積 不動産登記法上では、1棟の建物を区分した建物(区分建物)の床面積は、壁その他の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出されます。(不動産登記規則・115条) ▼区分所有法14条1項は、共用部分の持分割合を専有部分の床面積によると定め、3項ではその専有部分の床面積を「壁その他の内側線で囲まれた部分の水平投影面積」により算出すると定めたものです。 |
●参考問題 | ||||
1.「専有部分の床面積は、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により算出される。」昭和60 | ||||
【正解:×】 |
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2.「マンションの表示の登記においては、専有部分の床面積は壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出されるが、1棟の建物の各階ごとの床面積は壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により算出される。」 | ||||
【正解:○】 1棟の建物とは、専有部分が属する建物のことをいいます。 登記簿での、1棟の建物全体の各階ごとの床面積は、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により算出され、これが1棟の建物の表題部に記載されています。 専有部分の床面積の算定基準とは異なりますので、注意してください。
▼各階の専有部分の床面積の合計は、1棟の建物の各階ごとの床面積の合計とは一致しません。 ・専有部分の床面積と1棟の建物の各階の床面積の算定基準が異なること。 ・1棟の建物の各階の床面積には、共用部分の床面積も算入されていること。 主に、この2つの理由によります。 |
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3.「マンションの表示の登記において、一棟の建物の床面積は専有部分の床面積の合計と一致している。」 | ||||
【正解:×】上の参考問題2の解説参照。 |
3.「表題登記がされていない区分建物を建築者から取得した者は、当該区分建物の
表題登記を申請する義務はない。」H13-14-1
【正解:○】
◆表題登記は,原始取得者の義務 『表題登記がされていない区分建物』を建築者から購入したということは,購入する前に,すでに区分建物であったことを意味します。 区分建物の表題登記は,原始取得者〔その区分建物を建築・分譲した者〕が申請しなければいけません(不動産登記法48条1項)。 したがって,本肢での,区分建物を購入した者には表題登記の申請義務はありません。 ●対比● 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、所有権の保存の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない(不動産登記法74条2項)。 |
●参考問題 |
1.「区分建物の所有権の原始取得者からその所有権を取得した者は、区分建物の表題登記の申請をすることができない。」 |
【正解:○】 |
●建物の表題登記 |
(建物の表題登記の申請) 第47条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。 2 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。 (区分建物についての建物の表題登記の申請方法) 2 前項の場合において、当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる。 |
4.「区分建物の表題登記は、その1棟の建物に属する他の区分建物の表題登記
とともに申請しなければならない。」H8-16-1,昭和62
【正解:○】
◆区分建物の表題登記はまとめて 区分建物が属する一棟の建物が新築された場合,区分建物の表題登記は,原始取得者〔その区分建物を建築・分譲した者〕が,新築された一棟の建物に属する他の建物の表題登記と同時に申請しなければいけません(不動産登記法48条1項)。 |
●番外の過去問 |
1.「区分建物において,建物の名称があるときは、その名称は表題部に記載される。」 |
【正解:○】昭和60 各区分建物(専有部分)の表題部の「専有部分の建物の表示」にある「建物の名称」は、「○○マンション345号室」のような表記になっています。家屋番号とは別のものです。 |