Brush Up! 権利の変動篇

不動産登記 表示の登記 土地の地目 改正対応


不動産登記の対象に関する次の記述は,○か,×か。

1.「地目とは,不動産登記法にきめられた土地の区分で,不動産登記規則では,土地の主たる用途により,宅地,塩田,田,山林等21種目に区分されている。」

2.「地表面が水で覆われている土地であっても,私権の客体となり得る池沼・ため池は,土地の表示の登記をすることができる。」

3.「海面下に没する土地であっても,干潮時に陸地になる土地であれば,すべて土地の表示の登記をすることができる。」

【正解】

×

1.「地目とは,不動産登記法にきめられた土地の区分で,不動産登記規則では,土地の主たる用途により,宅地,塩田,田,山林等23種目に区分されている。」(類・昭和49年)

【正解:

◆地目

 地目は,土地の現況及び利用目的に重点を置き,部分的に僅少の差異の存するときでも,土地全体としての状況を観察して定めるものとされています。(準則68条)

 地目は,土地の主たる用途により,登記規則99条,準則68条では23種目の区分が指定されています。

 土地の表題部  所在,地番,地目,地積,

 所有者の氏名・住所 (所有権の登記がないとき)

 持分 (所有権の登記がなくて所有者が2名以上のとき)

●法令等の確認
不動産登記規則

第99条(地目) 地目は,土地の主たる用途により,,宅地,学校用地,鉄道用地,塩田,鉱泉地池沼山林牧場原野,墓地,境内地,運河用地水道用地用悪水路ため池,堤,井溝保安林公衆用道路,公園及び雑種地に区分して定めるものとする。

●類題

「地目は,土地の主たる用途によりその土地の現況を最もよく現わすことができるように適宜定めることができる。」

【正解:×

 地目は,準則で定められており,適宜定めることはできません。

2.「地表面が水で覆われている土地であっても,私権の客体となり得る池沼・ため池は,土地の表示の登記をすることができる。」(平成11年問12肢1)

【正解:

◆池沼・ため池

 登記できる土地とは,『私権の目的となり得る地表の一部』です。

 池沼・ため池は,私権の対象−取引の対象となり得るので登記することができます。(登記規則99条,準則68条8,17)

 準則や先例に拠れば,地目としての池沼やため池は次のようになっています。

 池沼 (灌漑用水でない水の貯溜池。発電用ダム用水池,
      海面の一部を区画し,コンクリートで築造した養魚場なども池沼として扱う。)

 ため池 (耕地灌漑用の用水貯溜池)

河川の流水下の土地(常時継続して水流の敷地になっている土地)私権の対象とはならないため登記することはできませんが,土地またはその一部が河川法の適用または準用される河川区域内のものになったときは河川管理者の嘱託によって「河川区域内の土地なる旨」の記載が地目欄になされます。(法43条)

 このほかにも地目欄には,「河川立体区域内」,「樹木帯区域内」,「特定樹木帯区域内」,「高規格堤防特別区域内」の土地である旨が記録されることがあります。(法43条1項)

 したがって,登記規則99条での23種目の区分以外にも,地目欄に記載されるものがあるということです。

3.「海面下に没する土地であっても,干潮時に陸地になる土地であれば,すべて土地の表示の登記をすることができる。」(平成11年問12肢2)

【正解:×

◆海面下に没する土地を登記することはできない

 登記先例としては,春分・秋分の満潮時に海面下に没する土地は,私人の所有権の対象にはならず,登記することはできないとされており,自然災害などで土地の全部または一部が海面下に没したときは,土地の滅失の登記または地積の変更の登記をすることになっています。〔一時的なものや,復元できる場合は除きます。〕(昭和33.4.11民三203号回答,昭和34.6.26民甲1287号回答など)

 大審院,最高裁の判例でも,海面下に没する土地は私人の所有権の対象にはならないとしたものがあります。(昭和61.12.16など)

●土地の表題登記

 土地の表題登記とは,登記記録が設けられていない土地について,登記記録の表題部に初めてされる登記のことです。

 具体的には,公有水面埋立法による埋立や干拓による土地を登記する場合や未登記の国有地を払下げによって登記する場合などがあります。(自然による埋立では海面隆起など)

●土地の表示の変更登記
 以下のものに変更があったときは,表題部に記載されている所有者または所有権の登記名義人1ヵ月以内に建物の表示の変更の登記を申請しなければなりません。(法37条1項)

 地目地積

●問題設定について

 平成11年問12では,『不動産登記の対象に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。』という設定でした。このように,『不動産登記法によれば』という設定ではない問題が宅建試験では多く出題されています。

 準則や先例を知らないと解けないものについては『○○に関する次の記述は〜』という設定になっていることを知っておく必要があります。要するに,このような場合は,不動産登記法・登記令・登記規則だけでは問題が解けないことがあります。

■登記所での記載例

【表題部】(土地の表示)  調整 昭和63年12月1日  地図番号  余白
【不動産番号】   
【所在】 港区六本木13丁目   余白
【1地番】 【2地目】 【3地積】平方メートル 【原因及び日付】 【登記の日付】
120番4 宅地     358 22 120番3から分筆 昭和51年7月19日
 余白  余白  余白    余白 昭和63年法務省第37号
附則第2条第2項の規定
により移記
昭和63年12月1日

註・『昭和63年法務省第37号附則第2条第2項の規定により移記 昭和63年12月1日』
というのは,従来の登記用紙から磁記ディスク(登記記録)に変わったことを示す。


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