Brush Up! 権利の変動篇
不動産登記 地目の変更 改正対応
地目の変更の登記に関する次の記述は,○か,×か。 |
1.「地目が変更したときは,表題部所有者又は所有権の登記名義人は,1ヵ月以内に地目の変更の登記を申請しなければならない。」 |
2.「一筆の土地の一部について地目の変更があったときは,表題部所有者又は所有権の登記名義人は,土地の分筆の登記及び地目の変更の登記を申請しなければならない。」 |
3.「共有名義の土地の地目変更の登記は,共有者全員で申請しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 |
○ | ○ | × |
1.「地目が変更したときは,表題部所有者又は所有権の登記名義人は,1ヵ月以内に地目の変更の登記を申請しなければならない。」(土地家屋調査士・昭和54年) |
【正解:○】 ◆地目・地積の変更は申請義務 地目の変更の登記とは,土地の利用目的が変更された場合に,表題部の地目を現況に合致させるための登記です。 地目や地積が変更したときは,表題部に記載された所有者又は所有権の登記名義人は,変更の日から1ヵ月以内に地目の変更の登記を申請しなければなりません。(不動産登記法・37条1項) 1ヵ月以内に申請しない場合は,10万円以下の過料に処せられます。(不動産登記法・136条) |
2.「一筆の土地の一部について地目の変更があったときは,表題部所有者又は所有権の登記名義人は,土地の分筆の登記及び地目の変更の登記を申請しなければならない。」(平成2年・問15・肢1) |
【正解:○】 ◆分筆登記した上で地目の変更の登記 土地の一部分だけの地目の変更をすることはできません。 ・土地の分筆の登記をしてから一方の土地に地目の変更の申請を行う(分筆の登記+地目の変更登記), ・土地の分筆の登記及び表示の変更の登記を申請を同一の申請書で同時に行う(土地一部地目変更・分筆登記) このどちらかの手順で行うことになります。 ▼土地の一部が地目変更したときは登記官が職権で分筆の登記をすることもできますが,土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人には,地目の変更の登記の申請義務が課せられているので(法37条1項),変更の日から1ヵ月以内に一部地目変更による分筆の登記を申請する義務があるとされています。 |
3.「共有名義の土地の地目変更の登記は,共有者全員で申請しなければならない。」(平成8年・問15・肢2) |
【正解:×】 ◆共有の土地の地目の変更 共有の土地の地目の変更の登記申請は,共有物の保存行為に属しており,共有者の1人から単独で申請することができます。(民法252条但書) → 共有 したがって,共有者全員で申請しなくてもよいのです。 |
●類題 |
「共有に属する土地の地目が変更した場合には,共有者の1人が単独で地目の変更の登記をすることができる。」(土地家屋調査士・昭和56年) |
【正解:○】 |
●コラム●不動産登記の問題が難しく感じられる原因 |
・もともと不動産登記のいい本がないと言われています。司法書士や土地家屋調査士の受験者でさえもそうなのですから宅建では推して知るべし。 ・不動産登記の出題範囲そのものが広大。本体の不動産登記法・登記令・登記規則だけではなく,不動産登記事務取扱準則や先例なども出題される。→ 対策としては,過去に出題されたものとそれに関連する未出題のものにとどめるしかない。 ・基本書の不動産登記のところは,過去問のダイジェスト的なものにとどまるため,虫食い状態の記述になる。基本書によっては実際の出題とかなり落差がある場合がある。 ・宅建試験での出題歴自体が一つの項目を徐々に難化してきたというものではなく,それまでその項目では入門・基礎レベルの出題がなかったのにいきなり細かい知識を要求してくる場合がある。(したがって過去問集によっては,その問題を理解するのに本来は必要な入門・基礎レベルの説明をしないで簡単な解説のみを述べているだけのものがある。) |