Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
制限行為能力者に関する問題
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
○ | ○ | × | ○ | × |
1.「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について,その者の
従兄弟は,家庭裁判所に対し,その者の後見開始の審判を請求することができる。」
【正解:○】 ◆後見開始の審判−誰が請求できるか 後見開始の審判の請求は、親族では四親等内の親族ができます。
▼親族の定義(725条)
▼後見開始の請求をすることができる者
▼成年後見人は,家庭裁判所が職権で選任しますが(843条1項),必要に応じて複数人を選任でき,法人を選任することも可能です。(843条3項,4項) |
●参考問題 |
後見開始の審判の請求権者でない者は次のうちどれか。(昭和49年)
1.本人 |
【正解:4】
利害関係人は,請求できません。成年後見制度とは,本人のための制度であり,利害関係者のための制度ではないからです。(7条) |
2.「成年被後見人の法律行為は,日常生活に関する行為を除き,後見人の同意の有無
にかかわらず,すべて取消すことができる。」
【正解:○】 ◆成年後見人−取消権・追認権→ 同意権はない 成年後見人の行為は、「日常生活に関する行為を除き」、たとえ一方的に利益を受ける行為であっても、また、後見人の同意を得た行為でも、すべて取消すことができます 成年後見人が事前に同意を与えたとしても、その行為等が、成年被後見人本人によって単独で有効にできるとは限らないからです。 そのため、成年後見人には『同意権』は与えられていません。 |
3.「保佐開始の審判においては,浪費者とみなされた場合も,被保佐人として保佐人を
付せられる。」
【正解:×】 ◆浪費者は,改正により,被保佐人の要件から削除 民法の平成12年の改正施行前は、浪費者であることも準禁治産者たることの要件でしたが、現在では、被保佐人は、「精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者で、保佐開始の審判を受けた者」をいい、浪費者であることは、要件とされていません。(11条) |
4.「被保佐人が,保佐人の同意なしに相続したとき,その相続は取消すことができる。」
【正解:○】 ◆保佐人の同意を要する行為 相続であっても、一方的にプラスの財産を受けるとは限らず、借金というマイナスの財産のこともあり、相続はプラスマイナス財産に関係なく、保佐人の同意がなければ、取消すことができます。(13条1項6号) 同様に、贈与の場合であっても、負担付贈与(義務を伴う贈与)の場合もあり、保佐人の同意がなければ、取り消すことができます。(13条1項5号) |
5.「制限行為能力者の相手方が催告したとき,制限能力者側から1カ月以上の期間内
に確答なき場合は,すべて追認したものとみなされる。」
【正解:×】 ◆催告に確答なしは,二つに分かれる 制限行為能力者の相手方が、1カ月以上の期間を定めて催告したとき、成年被後見人と未成年者の場合は、催告の相手方は、法定代理人か行為能力を回復した本人なので、確答なしは黙認(追認)とみなされます。 しかし、被保佐人・被補助人「本人」に催告した場合は、「判断能力が著しく不十分(被補助人は「不十分」)」な者に催告しているので、その催告の意味自体を理解していないかも知れず、したがって、本人保護のため、確答なしは「追認を拒絶」したものとみなされます。但し、「行為能力を回復した本人」や「保佐人・補助人」へ催告した場合には、追認したものとみなされます。→制限行為能力者の相手方の催告の詳細
※後見監督人・保佐監督人・補助監督人の同意を要する場合を除く。 |
●関連問題 |
1.「Pが未成年者Qに対して建物を売却し,Qが成年に達した後,PがQに対し相当の期間を定めて催告したが,Qがその期間内に確答を発しなかったときは,Qは追認したものとみなされる。」 |
【正解:○】
Pが催告したときQは成年に達しているので,Qは能力を回復した本人の場合と同じになります。したがって,相当の期間(条文では『1ヵ月以上の期間』)内に確答を発していないときは,追認したものとみなされます。 |