Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
相続の過去問アーカイブス 平成元年・問11 相続人の範囲・法定相続分
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
Xは,9,000万円の遺産を残して死亡した。Xには,配偶者YとYとの間の子Aがある。XとYとの間には,Aのほかに子Bもいたが,BはX死亡の前に既に死亡しており,その子bが残されている。さらに,Xには,非嫡出子Cもいる。また,Aには子aがおり,AはX死亡後直ちに相続を放棄した。この場合の民法の規定に基づく法定相続人に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 |
1.「Yが6,000万円,Cが3,000万円の相続分を取得する。」 |
2.「Yが4,500万円,bが4,500万円の相続分を取得する。」 |
3.「Yが4,500万円,bが3,000万円,Cが1,500万円の相続分を取得する。」 |
4.「Yが4,500万円,aが1,800万円,bが1,800万円,Cが900万円の相続分を取得する。」 |
【正解:3】 ◇相続人の範囲の決定 Y―――――X――――――――――某 Bが死亡していますが、Bの子bがBを代襲してXの相続人になります。 Aの子aは、Aが相続放棄しているので代襲相続人にはなれません。 従って、Xの相続人となる者は、配偶者Y、Bの代襲相続人b、被嫡出子Cの3人。
▼代襲相続 被相続人の死亡以前に、相続人となるはずの「子」・「兄弟姉妹」が相続権を失ったとき(死亡・廃除・欠格事由)に、その者(被代襲者)の直系卑属(相続人となるはずの者が兄弟姉妹のときはその子に限る)がその者に代わって相続すること。(ただし、代襲相続人は被相続人の直系卑属でなければならないことに注意。)→ 被相続人の死亡以前に、相続人となるはずの「子」・「兄弟姉妹」が相続権を失ったとき(死亡・廃除・欠格事由)に、その者の直系卑属(相続人となるはずの者が兄弟姉妹のときはその子に限る)がその者に代わって相続代襲相続
→ Aは相続放棄しているので、Aの子aは代襲相続しない。 したがって、Xの相続人となる者は、配偶者Y、Bの代襲相続人b、被嫡出子Cの3人になる。この平成元年の問題は、相続人がY、b、Cになっている選択肢は3だけなので、相続人の範囲がわかれば、正答がわかる。この問題の解答作業はこれで終わる。 ◇法定相続分の計算−念のため 配偶者Y : 配偶者1/2 より、9,000万円×1/2=4,500万円 Bの代襲相続人b : Aが相続放棄しているので、嫡出子はBの1人のみとして計算。 9,000万円×1/3=3,000万円 (b : C = 2 : 1 として、1/2×2/3=1/3 とする比を使って解く方法もあります。) 被嫡出子C : 下記の公式(1)より、非嫡出子1人あたりの相続分率は、1/6 9,000万円×1/6=1,500万円 『子全体から嫡出子の分を引く』引き算、もしくは、『嫡出子の半分』でも (b : C = 2 : 1 として、1/2×1/3=1/6 とする比を使って解く方法もあります。) |
●嫡出子と非嫡出子の相続分率の公式 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
嫡出子 m人、非嫡出子 n人がいる場合の、 嫡出子・非嫡出子の1人が相続する法定相続分率は、以下の公式で計算します。 (1) 被相続人の配偶者がいる場合 相続人 : 妻、嫡出子 m人、非嫡出子 n人
(2) 被相続人の配偶者がいない場合 相続人 : 嫡出子 m人、非嫡出子 n人
(1),(2)とも、m = 0, または n = 0 のような特殊な場合でも成り立つ。 → この公式の求め方は、こちらを見てください。 |