Brush Up! 権利の変動篇
抵当権の基本確認番外 抵当権と登記の問題2
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
× | ○ | × | × | × | × |
抵当権の登記に関する次の記述は、○か、×か。 |
1.「抵当権設定の登記のある土地の分筆の登記を申請する場合,抵当権者の分筆に
関する承諾を証する情報又はその者に対抗することができる裁判があったことを証する
情報を,申請情報と併せて提供しなければならない。」H6-15-2
【正解:×】 ◆抵当権設定登記のある土地の分筆 抵当権設定の登記のある土地の分筆の登記を申請する場合(分筆後の土地の全てに抵当権が存続するものとする。),抵当権者の承諾書やその者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を申請情報に併せて提供する必要はありません。 抵当権の登記がされている土地の分筆の登記がされると,その抵当権は分筆後の土地それぞれに及んで,分割後の数筆の土地が同一の債権を担保することになり,共同担保関係が生じます。 ▼分筆の登記で,添付情報として,抵当権者の承諾を証する情報(抵当権の登記名義人が抵当権を消滅させることを承諾したことを証する当該登記名義人が作成した情報)又は当該登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供するのは分筆された土地の一筆ないし数筆について抵当権が存続しないで消滅する場合です。(不動産登記法・40条,登記規則・104条1項)
註 : 抵当権者の承諾を証する情報 |
2.「抵当権の登記がある土地の分筆の登記を申請する場合において,分割後の数筆の
土地にその抵当権が存続するときは,申請情報と併せて共同担保目録を添付情報として
提供しなければならない。なお,登記申請しようとする登記所は,共同担保目録について
不動産登記法附則第3条の指定を受けていない登記所(共担未指定登記所)であると
する。」H12-15-3
【正解:○】
◆抵当権設定登記のある土地の分筆
抵当権の登記がある土地の分筆の登記を申請するのが,共同担保目録について不動産登記法附則第3条の指定を受けていない登記所(共担未指定登記所)の場合は, 担保権(抵当権・質権・先取特権)の登記がある土地の分筆登記申請をする場合,分筆後の数筆の土地にその担保権が存続するときは,申請書に共同担保目録を添付しなければいけません。(不動産登記規則附則第9条(共同担保目録)3号,旧・不動産登記法・81条の4・第2項) 抵当権の登記がされている土地の分筆の登記がされると,その抵当権は分筆後の土地それぞれに及んで,分割後の数筆の土地が同一の債権を担保することになり,共同担保関係が生じるためです。(旧・第81条の4第2項) 不動産登記規則の末尾、附則第九条(共同担保目録)の欄に、平成17年3月7日からの施行として経過規定が記載されています。不動産登記規則166条〜169条」 |
3.「抵当権設定の登記のある2個の建物については、その抵当権設定登記の登記原因、
その日付、登記の目的及び受付番号が同じであっても、合併の登記をすることができない
。」H6-15-3
【正解:×】
◆抵当権のある建物の合併−原則としてはできないが
「所有権の登記」以外の「権利に関する登記」のある建物については,原則として合併登記はできません。(本肢では,抵当権が設定されているので,本来ならば合併はできない。) しかし,例外的に,その抵当権設定登記の登記原因,その日付,登記の目的及び受付番号が同じであれば,合併後の建物を目的とする一個の担保物権等にしても不都合にはならないため,合併の登記をすることができます。(不動産登記規則・131条) ▼抵当権設定のある複数の土地の合筆についても同じことが言えます。(不動産登記規則・105条2号) ▼「所有権の登記」以外の「権利に関する登記」のある土地どうしの合筆は原則としてできませんが(不動産登記法・41条6号),承役地についてする地役権の登記がある場合(不動産登記規則・105条1号)や,担保権設定登記の登記原因,その日付,登記の目的及び受付番号が同一のものが登記されている場合であれば,合筆の登記をすることができます(不動産登記規則・105条2号)。 |
●参考問題 |
1.「所有者が同一人である接続した2筆のそれぞれの土地について、抵当権設定の登記がされている場合であっても、それが同一の債権を担保するためのものであるときには、その合筆の登記を申請することができる。」昭和54 |
【正解:×】 本問はヒッカケ問題です。 上の問題で見たように、原則として、抵当権設定の登記のある複数の土地について、合筆の登記はできませんが(不動産登記法・41条6項)、例外的に、その抵当権設定登記の登記原因、その日付、登記の目的及び受付番号が同じであれば、合筆の登記をすることができました(不動産登記規則・105条2号)。 しかし、本問での「同一の債権を担保するためのものであるとき」という表現だけでは、上記すべてを満たしているとは言えないため、×になります。 ▼合筆のできない場合として知っておく必要のあるものとして、このほかに、「所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合併はできない」(不動産登記法・41条5項)という条文があります。 |
4.「抵当権の設定の登記がされている建物の滅失の登記は、その抵当権の登記を抹消
した後でなければ申請することができない。」H8-15-4
【正解:×】
滅失した建物に抵当権が設定されているからといって,抵当権の登記を抹消をする必要はなく,滅失の登記の申請で足ります。(抵当権の設定されている建物が滅失すれば、抵当権は消滅するからです。) 建物が滅失したとき,表題部所有者または所有権の登記名義人は, 1ヵ月以内に,建物の滅失の登記を申請しなければいけません。(不動産登記法・57条)H1-15-2出題 |
5. 「所有権の登記の抹消を申請する場合において,その抹消につき登記上利害関係を
有する抵当権者がいるときは,申請情報と併せて抵当権者の承諾を証する情報及び
抵当権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供することを要する。」
H5-16-4
【正解:×】
所有権の登記の抹消は,所有権の移転登記がない場合に限り,所有権の登記名義人が単独で申請することができます(不動産登記法・77条)。 抹消登記をするのに足る登記原因の有無は登記官には判断,審査できません。そのため,所有権の登記の抹消を申請する場合において,その抹消につき登記上利害関係を有する第三者がいるときは,その承諾を証する情報があるときに限り,登記申請をすることができることになっています(不動産登記法・68条)。 登記名義人が所有権の登記の抹消を申請するには,申請情報のほかに, ・「登記上利害関係のある第三者の承諾を証する当該第三者が作成した情報」(このほかに,登記原因証明情報,登記識別情報も必要。登記令・8条1項5号) の“いずれか”を提供するのが申請の要件になっています(登記令・7条1項6号,別表26項・添付情報へ)。 本肢は一見すると正しそうな問題文ですが,「抵当権者の承諾を証する情報」をもらったのに,さらに「抵当権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報」までは必要ナイ,と気がつくでしょう。つまり,本設問では、 <抵当権者の承諾を証する情報 となっていることから×になります。 |
6. 「抵当権の設定の登記がなされている物件については、当該登記を抹消しないと、
所有権移転の登記をすることができない。」昭和45
【正解:×】
抵当権の設定の登記がなされていても、所有権移転登記を申請し、登記することはできます。 抵当権の設定の登記は、その物件に抵当権が設定されていることを第三者に対抗するためのものであり、その物件の所有権移転登記を排斥するものではありません。 ▼乙区欄を見れば、物件を買う人も、抵当権が設定されているのはわかります。 |