Brush Up! 権利の変動篇
不動産登記 合筆の登記 改正対応
●メッセージ |
合筆の登記の出題は,以下の二つに限られます。
・添付情報 (これまでは,合筆前の土地の登記識別情報のみが出題。) |
合筆の登記に関する次の記述のうち,不動産登記法の規定によれば,○か,×か。 |
1.「所有権の登記がある二筆の土地の合筆登記を申請する場合には,申請書に合併前のいずれか一筆の土地の所有権の登記の登記済証を添付しなければならない。」 |
2.「地目が田である土地と地目が宅地である土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」 |
3.「所有権の登記のない土地と所有権の登記のある土地との合筆の登記は,申請することができない。」 |
4.「所有権の登記名義人が異なる土地を合併して共有地とする合筆の登記をすることはできない。」 |
5.「承役地である地役権の登記がある土地と地役権の登記がない土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」 |
6.「抵当権の登記がある土地と抵当権の登記がない土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」 |
7.「所有者が同一人である接続した二筆のそれぞれの土地について,抵当権設定の登記がなされている場合であっても,それが同一債権を担保するためのものであるときには,その合筆の登記を申請することができる。」 |
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【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ | × |
1.「所有権の登記がある二筆の土地の合筆登記を申請する場合には,申請情報と併せて,合併前のいずれか一筆の土地の所有権の登記の登記識別情報を提供しなければならない。」(平成10年・問14) |
【正解:○】 ◆合筆登記に必要なもの 数筆の土地を一筆の土地に合筆登記すること(同一名義で登記されている隣接する複数の土地を,一つの土地にすること)は,権利の移転登記の場合とは異なり,いわば形式的な登記であり,合筆前の土地の所有権の登記名義人であることを形式的に確認するため,合併前のいずれか一筆の土地の所有権の登記名義人の登記識別情報を提供すればOKです(登記令・8条2項1号) |
●類題 |
1.「所有権の登記のある土地について合筆の登記を申請する場合,申請情報と併せて提供すべき登記識別情報は,合筆前の土地のいずれか1筆のもので足りる。」(平成6年・問15) |
【正解:○】 |
2.「所有権の登記のある二筆の土地の合筆の登記の申請書には,合併前の双方の土地の所有権の登記の登記識別情報を添付しなければならない。」(平成2年・問15) |
【正解:×】 |
●表示に関する登記申請で,登記識別情報が必要な場合 |
表示に関する登記で,登記識別情報が必要なのは,以下の三つです(登記令・8条1項1号〜3号,同2項)。
・所有権の登記がある土地の合筆の登記⇒合筆に係る土地のうちいずれか一筆の土地の所有権の登記名義人の登記識別情報 ・所有権の登記がある建物の合体の登記⇒合体に係る建物のうちいずれか一個の建物の所有権の登記名義人の登記識別情報 ・所有権の登記がある建物の合併の登記⇒合併に係る建物のうちいずれか一個の建物の所有権の登記名義人の登記識別情報 |
2.「地目が田である土地と地目が宅地である土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」(平成11年・問11) |
【正解:○】 ◆合筆禁止−地目の異なる土地 地目や地番築が相互に異なる場合は合筆の登記をすることはできません。(法41条2号) ▼登記簿上の地目が同じであったとしても現況の地目が異なる場合も合併はできません。 |
●類題 |
「登記簿上の地目は同一であっても,現況の地目が異なる土地の合併の登記は,することができない。」(土地家屋調査士・昭和61) |
【正解:○】法81条の2第4項 |
●合筆の登記ができない場合 |
(1) 物理的状況 ・接続していない土地 (2) 表題部 ・地目が異なる (登記簿上の地目が同じでも現況の地目が異なる) (3) 権利関係 ●所有権の登記のない土地と所有権の登記のある土地との合併 ●登記名義人が異なる (登記名義人の異なる土地を合併して共有地とすることも含む) ●「所有権の登記」以外の「権利の登記」がある土地 <例外> ・抵当権設定登記の登記原因と登記原因の日付,登記の目的,受付番号が同じならば,合併(合筆)することができる。 |
3.「所有権の登記のない土地と所有権の登記のある土地との合筆の登記は,申請することができない。」(平成2年・問15) |
【正解:○】 ◆合筆禁止−所有権の登記のある土地とない土地 所有権の登記のある土地と所有権の登記のない土地は合筆の登記はできません。(法41条5号) □所有権の登記のない土地・・・表題部に所有者名があり,所有権保存登記がなされ ・甲土地の表題部に記載された所有者と乙土地の所有権保存登記の登記名義人が同一でも土地の合併はできない。 (表題部に所有者として記載されていても,権利の登記は任意なので,実際の所有者が表題部に記載されている所有者と異なる場合があり得る。) |
4.「所有権の登記名義人が異なる土地を合併して共有地とする合筆の登記をすることはできない。」(平成11年・問11) |
【正解:○】 ◆合筆禁止−所有権の登記名義人が異なる土地 所有権の登記名義人が異なる土地は当然,常識的に土地の合併はできないと判断できます。以下のものもこれに準じて禁止されています。 ・持分の異なる共有地も土地の合併はできない。 例・甲地は A1/3,B2/3 とする共有の持分の登記があるが,乙地はAB共有の登記はあってもその持分の記載がない。 |
5.「承役地である地役権の登記がある土地と地役権の登記がない土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」(平成11年・問11) |
【正解:×】 ◆合筆できる−承役地の登記がある土地 『承役地である地役権の登記がある土地』と『地役権の登記がない土地』は,合筆の登記をすることができます (登記規則・105条1号)。 「所有権の登記」以外の「権利の登記」がある土地を合併(合筆)することは原則としてできませんが,次の場合は例外として合併できます。 ・承役地の登記がある場合 (登記規則・105条1号) ・抵当権設定登記の登記原因と登記原因の日付,登記の目的,受付番号が同じ場合 |
●類題 | ||||
「要役地についてする地役権の登記のある甲地と所有権の登記以外の権利に関する登記のない乙地との合筆の登記の申請は,することはできない。」(土地家屋調査士・平成8年) |
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【正解:○】
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6.「抵当権の登記がある土地と抵当権の登記がない土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」(土地家屋調査士・昭和57年・改) |
【正解:○】 ◆合筆のできない場合−抵当権の登記がある 抵当権の登記がある → 「所有権の登記」以外の「権利の登記」がある 抵当権の登記がある土地と抵当権の登記がない土地を合併する合筆の登記をすることはできません。 |
●類題 |
「合併しようとしている2筆の土地のうち1筆に抵当権の登記がある場合には,申請書に抵当権者の承諾書を添付しても,合筆の登記を申請することはできない。」(土地家屋調査士・昭和45年) |
【正解:○】 |
7.「所有者が同一人である接続した二筆のそれぞれの土地について,抵当権設定の登記がなされている場合であっても,それが同一債権を担保するためのものであるときには,その合筆の登記を申請することができる。」(昭和54年・問13) |
【正解:×】 ◆合筆のできない場合−抵当権の登記がある 関連出題・平成2年問15・平成11年問11 「所有権の登記」以外の「権利の登記」がある土地を合併(合筆)することは原則としてできませんが(不動産登記法・41条6号),次の場合は例外として合筆できます。 ・承役地の登記がある場合 (登記規則・105条1号) ・抵当権設定登記の登記原因と登記原因の日付,登記の目的,受付番号が同じ場合 本肢では,『同一債権を担保するための抵当権であるときには,合筆の登記を申請できる』となっていますが,同一債権を担保するものであっても必ずしも抵当権設定登記の登記原因と登記原因の日付,受付番号が同じとは限りませんから,×になります。 ▼抵当権設定のある建物の合併についても,抵当権設定登記の登記原因と登記原因の日付,登記の目的,受付番号が同じならば,合併することができます。(不動産登記法・56条5号,登記規則131条) → 出題・平成6年・問15 ▼「所有権の登記」以外の「権利の登記」のあるものについて,原則として合併できないのは建物でも同じです。 |
●類題 |
「同一の債権を担保する抵当権の目的となっている2筆の土地を合筆する登記は,常にすることはできない。」(土地家屋調査士・昭和48年) |
【正解:×】 |
●担保権設定登記の登記原因と登記原因の日付,登記の目的,受付番号が同じ場合 |
登記官は、甲土地を乙土地に合筆する合筆の登記をするときは, 甲土地及び乙土地の登記記録に登記の目的,申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一の担保権の登記があるときは, 乙土地の登記記録に当該登記が合筆後の土地の全部に関する旨を付記登記によって記録しなければならない(登記規則・107条5項)。 |
●地図を作成する場合−職権による分筆・合筆の登記 |
不動産登記法14条1項の地図を作成する場合に必要があるときは,登記官は,表題部所有者・所有権の登記名義人の異議がなければ,職権で分筆または合筆の登記をすることができます。(不動産登記法・39条3項) |