法令上の制限 基礎編
開発許可に関する問題0
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正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
●開発許可制度の目的 |
建築物や特定工作物が虫食い的に立地され、「無秩序な市街地の拡散」「不良市街地の形成」ができるスプロール現象になると、都市の住環境にはさまざまな障害が生じ、都市計画にも支障が出てきます。
都市計画法による開発許可制度は、市街化の要因となる開発行為を規制・誘導することによって、スプロール化を防止し、段階的、計画的に市街化を図ることを目的としています。 |
開発許可のフローチャート法改正 |
1.建築物の建築・特定工作物の建設のための土地区画の形質の変更か?
No → 開発行為ではないので、開発許可不要 2.法29条の開発許可不要の例外に該当するか? Yes → 開発許可不要 3.市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域・準都市計画区域・両区域外のどれにあたるか? 建築物か、特定工作物か? 規模はどのくらいか? → 開発許可の要否の決定 4.法33条の開発許可基準を満たしているか? 市街化調整区域の開発許可基準(法34条)を満たしているか? → 開発行為の許可・不許可 |
次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。 |
1.「建築物の建築を行わない青空駐車場の用に供する目的で行う土地の区画
形質の変更については、その規模が1 ha 以上のものであっても、開発許可を
受ける必要はない。」
【正解:○】 「開発行為」とは、主として ・建築物の建築 ・特定工作物の建設 の用に供する目的で行う土地区画の形質の変更を言います。(都市計画法第4条12項) これは規模には関係ありません。本問では「1 ha」という数字が出てきますが、 この開発行為の定義から見ると 建築物の建築を行わない青空駐車場 となっているので、(本問の設定では) 開発行為にはなりません。 要するに、建築物の建築・特定工作物の建設を伴わない土地区画の形質の 変更は開発行為ではないのです。 このように受験者を戸惑わせようと数字が出てくることがあるので、数字が出てきても 必ずしも、アタマの中に入っている数値の公式を使って解くとは限りません。 |
開発許可を必要とする開発行為の規模の区域による基準法改正 | |
三大都市圏の市街化区域のうち、一定の区域 | 500平方メートル以上 |
上記以外の市街化区域 | 1,000平方メートル以上
※都道府県知事は、市街化の状況 |
非線引き区域
準都市計画区域 |
3,000平方メートル以上
※都道府県知事は、市街化の状況 |
市街化調整区域 | どんな規模でも開発許可が必要 |
両区域外
(都市計画区域でも、準都市計画区域でもない) |
1 ha以上 |
2.「建築物の建築の用に供することを目的とする土地の区画形質の変更で、
非常災害のため必要な応急措置として行うものについても、一定の場合には、
開発許可を受ける必要がある。」
【正解:×】 本問は、肢1とは違い、建築物の建築のため、開発許可が不要になっているかが 問題を解くキー・ポイントです。これは、都市計画法29条に定められています。 非常災害で必要な応急措置として行われる開発行為は、開発許可不要になって います。(法29条10号) |
●開発許可と基準 | ||||||||
▼市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域
都市計画区域及び準都市計画区域外
▼市街化調整区域
|
法29条で定める開発許可不要となる場合 |
市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、その規模がそれぞれの区域の区分に応じて政令で定める規模未満であるもの。法改正 ▼市街化区域…原則1,000平方メートル未満は許可不要。 1) 三大都市圏の市街化区域のうち、一定の区域では500平方メートル未満。 2) 都道府県知事は、市街化の状況により、都道府県の規則で300平方メートル以上の一定の範囲内で別に定めることができる。 (指定都市にあってはその市の規則) ▼区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き)、準都市計画区域内 …どちらも、3,000平方メートル未満。 ※都道府県知事は、市街化の状況により、都道府県の規則で300平方メートル以上の一定の範囲内で別に定めることができる。(指定都市にあってはその市の規則) ▼都市計画区域及び準都市計画区域外の区域(両区域外)・・・1 ha 未満 |
市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為。
→平成4・5・6・10・13 都市計画区域及び準都市計画区域外の区域(両区域外)でも、この規定は適用されます。法改正 |
公益上必要な建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為。
図書館・博物館・公民館・鉄道施設・変電所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物→平成9・12・13 |
都市計画事業の施行として行う開発行為。
土地区画理事業 →平成7・10・13 市街地再開発事業 住宅街区整備事業など |
公有水面立法の免許を受けた埋立地で、まだ工事の竣工許可の告示がない土地の開発行為 |
非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為 →平成元、8 |
通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定める開発行為 |
3.「開発許可の申請をした場合には、遅滞なく、許可又は不許可の処分が行わ
れるが、許可の処分の場合に限り、文書で申請者に通知される。」
【正解:×】 許可処分・不許可処分とも、必ず文書で申請者に通知することになっています。 (法35条1項・2項) 法33条の開発許可基準、法34条の市街化調整区域での開発許可基準を 調べておきましょう。(法33条→平成5・9・10・12、法34条→平成4・9・12) 法33条の許可基準は、開発目的別に、自己用・その他にわかれており、 自己用はさらに、居住用と業務用にわかれています。→ 33条基準 開発許可の申請、開発許可の流れもアタマにいれておく必要があります。 ◆許可になった場合 開発許可の申請→ 開発許可 → 工事開始〜工事完了 開発許可基準による審査 ↓ ↓ 工事完了届 開発登録簿 ↓ 検査 ↓ 適合 検査済証 ↓ 工事完了公告 ・開発許可申請の前にやっておくべきことも押さえておきましょう。→頻出 ・開発許可〜工事完了届の間の学習項目としては、 変更の許可・工事の廃止・地位の承継 などがあります。(頻出) ◆不許可になった場合 (不服申立)→平成6 法50条 不許可 → 審査請求 → 開発審査会 → 裁判所 (裁決) (処分の取消の訴え) 開発許可が不許可になったとき、申請者はまず、開発審査会に審査請求を します。(50条1項) 開発審査会は、受理日より2ヶ月以内に裁決をしなければなりません。(50条2項) 裁決を行うときには、あらかじめ、審査請求人・処分庁その他の関係人又は これらの者の代理人の出頭を求めて、公開による口頭審理を行わなければ いけません。(50条3項) 開発審査会の裁決の後でなければ、裁判所への処分取消の訴えはできません。(52条) |
開発行為と建築制限 | ||
開発許可あり | 工事完了公告前 | 予定建築物を含め、建築はできない。
【例外】 ・仮設建築物の建築、仮設特定工作物の建設 ・知事が支障がないと認めたとき。 ・開発行為に同意していない者が自己の権原に 基づいて建築物等を建築するとき |
工事完了公告後 | ・予定建築物・特定工作物以外の新築・新設不可。
(改築したり、用途を変更して予定建築物等以外の ものにしてはならない。) 【例外】 ・用途地域が定められているとき ・知事が利便の増進上、環境の保全上支障が ないと認めて許可したとき ≪開発区域外の土地の建築制限にも注意≫ ・市街化区域・非線引き区域 ・・規制ナシ。知事の許可不要。→平成6 ・市街化調整区域・・・知事の許可を受けなければ、 建築物の新築・改築・用途変更はできない。 |
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開発許可ナシ | 建築できない
【例外】 ・知事の許可がある場合など |
4.「開発許可を受けた開発行為に関する工事により設置された公共施設は、
他の法律に基づく管理者が別にあるときを除き、すべてその公共施設の存する
市町村の管理に属するものとされている。」
【正解:×】 ◎公共施設の管理を誰がするのかも、重要な項目です。 【原則】 開発行為に関する工事により設置された公共施設は工事完了予告日の翌日にすべてその公共施設の存する市町村の管理に属するものとされています。 【例外】 1.他の法律に基づく管理者が別にあるとき 2.開発許可の申請者に義務付けられている32条の事前の協議で、 ◎公共施設用地の帰属先も、重要項目です。 |