税法その他 直前対策編

景品表示法 問題2

●景品表示法と表示規約、価格の表示

正解・解説


【正解】

× ×

× ×

不当景品類及び不当表示防止法に関する、次のそれぞれの記述は、○か、×か。

1.「不動産関係団体は、不動産の表示に関する事項について公正競争規約を

設定することができるが、この公正競争規約に違反した者に対しては、景品表示法

上の課徴金の納付が命じられる。」H6-31-1

【正解:×

◆公正取引協議会 ; 警告、50万円の違約金

 本設問では、「景品表示法上の課徴金の納付が命じられる」というのが×です。

 不動産の表示に関する公正競争規約 (以下、表示規約と略) による違約金が正しい記述です。

 不動産の規約を運用する不動産公正取引協議会(全国9地域にある)のこの表示規約は、不動産公正取引協議会の加盟(構成)団体に所属するインサイダー業者(会員業者)に適用されます。

 公正取引協議会は、当該違反行為を排除するために必要な措置を直ちに採るべきこと及び違反する行為を再び行ってはならないことを警告し、又は50万円以下の違約金を課すことができます。(表示規約27条1項)

<参考> 表示規約27条

2 事業者は、前項に規定する警告を受けたときは、当該警告の内容である措置を直ちに実施し、又は当該警告の内容に反する行為を行ってはならない

3 公正取引協議会は、事業者が前項の規定に違反していると認めるときは、当該事業者に対し、500万円以下の違約金を課し、公正取引協議会の構成員である資格を停止し、除名処分をし、又は消費者庁長官に対し、必要な措置を講ずるよう求めることができる。

<景品表示法第11条>

第11条 1 事業者又は事業者団体は、内閣府令で定めるところにより、景品類又は表示に 関する事項について、内閣総理大臣及び公正取引委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するための協定又は規約を締結し、又は改定することができる。これを変更しようとするときも、 同様とする。

2  内閣総理大臣及び公正取引委員会は、前項の協定又は規約が次の各号に適合すると認める場合でなければ、前項の認定をしてはならない。

 一 不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保するために適切なものであること。〔改正点〕

 二 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。

 三  不当に差別的でないこと。

 四  当該協定若しくは規約に参加し、又は当該協定若しくは規約から脱退することを不当に制限しないこと。

3  内閣総理大臣及び公正取引委員会は、第1項の認定を受けた協定又は規約が前項各号のいずれかに適合するものでなくなつたと認めるときは、当該認定を取り消さなければならない。

4 内閣総理大臣及び公正取引委員会は、第1項又は前項の規定による処分をしたときは、内閣府令で定めるところにより、告示しなければならない

2.「宅地建物取引業者が、広告代理業者に委託して作成した新聞折込みビラにより

不動産の販売広告を行った場合であっても、その内容が景品表示法に違反するもの

であれば、当該宅地建物取引業者が同法の規制を受けることになる。」 H7-32-3

【正解:

◆広告の委託

 広告の作成を委託したからといって、不当表示を免れることはできません。

 (景品表示法・4条) ⇒ 条文確認

3.「宅地建物取引業者が、30区画の一団の分譲宅地を販売する際、広告のスペー

スの関係からそのすべての宅地の価格を表示することが困難なときは、新聞折込ビラ

に最高価格、最低価格、最多価格帯及びそれぞれの区画数を表示すれば、すべて

の価格を表示しなくても、不当表示となるおそれはない。」H3-32-1

【正解:

最高価格、最低価格、最多価格帯及びそれぞれの区画数

 分譲共同住宅の広告について、広告スペースの関係からすべての住宅の価格を表示することが困難であるときは、最低価格、最高価格、最多価格帯及びそれらの戸数が表示してあれば、不当表示となることはない。H10-49-1 ○

4.「宅地建物取引業者は、宅地の造成工事の完了前において宅地の販売広告を

行う場合で、宅地建物取引業法第33条に規定する許可等の処分のほか、地方公共

団体の条例に規定する確認等の処分が必要なときは、これを受けた後でなければ

広告することはできない。」H12-47-3

【正解:

◆許可・確認の処分後に広告

 第5条 事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる許可等の処分で宅建業法第33条に定めるもの又は地方公共団体の条例に定める確認等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地若しくは建物の内容又は取引条件に関する広告その他の表示をしてはならない。

5.「宅地建物取引業者が、不動産の販売広告において販売済みの物件を掲載した

場合で、そのことにつき故意や過失がないときは、景品表示法上の不当表示になる

おそれはない。」H12-47-4

【正解:×

◆おとり広告のおそれ

 販売済みのものを載せたといことは、実際には取引できないものを取引できると

誤認させるものであるため、故意や過失がないというのは言い訳になりません。

6.「不動産の販売広告に係る甲物件の取引を顧客が申し出た場合に、甲物件に

案内することを拒否したり、甲物件の難点を指摘して取引に応じることなく顧客に

他の物件を勧めたときでも、甲物件が存在していれば、その広告は不当表示となる

おそれはない。」H11-47-2

【正解:×

◆おとり広告の禁止

 不動産のおとり広告に関する表示は、一般消費者に誤認されるおそれがあると認めて公正取引委員会が指定する表示 の中に入っており、不当表示の中でも最たるものです。

表示に関する公正競争規約

(おとり広告)
第21条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

(1) 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示

(2) 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示

(3) 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

売約済みの物件の広告を行い、顧客に対しては別の物件を勧めたとしても、売約済みの物件が実際に存在するのであれば、不当表示となることはない。H10-49-3 ×

宅地建物取引業者が、実際には存在しない物件について、新聞折込ビラで広告をしても、広告の物件と同程度の物件を準備しておれば、不当表示となるおそれはない。

H8-31-2 ×

宅地建物取引業者が、不動産取引について、自ら広告した物件の案内を拒否し、難点をことさらに指摘する等して、その物件の取引に応じることなく、顧客に他の物件を勧めた場合、不当表示となるおそれがある。 H5-31-2 ○

宅地建物取引業者が、実際には販売する意思のない建物について、新聞折込ビラで広告しても、不当表示となるおそれはない。H1-33-1 ×

7.「新築の建売住宅を販売する際、当該建売住宅の周辺地城で実際に販売され

た同規模の物件の販売価格を比較対照として用いて、それより若干安い当該建売

住宅の販売価格を並列して表示しても、不当表示となるおそれはない。」H9-47-4

【正解:×

◆不当な比較広告の禁止

 問題文からは、実際に販売された同規模の物件がどのようなものかは判断できません。

規模が同じでも、それだけでは、比較対照としては不十分です。

 同じ販売業者のものならば、二重価格とみなされる場合もあり、どちらにしても、

不当表示のおそれがあるものと考えられます。

表示に関する公正競争規約(不当な二重価格表示)
第20条 事業者は、物件の価格、賃料又は役務の対価について、二重価格表示(実際に販売する価格(以下「実売価格」という。)にこれよりも高い価格(以下「比較対照価格」という。)を併記する等の方法により、実売価格に比較対照価格を付すことをいう。)をする場合において、事実に相違する広告表示又は実際のもの若しくは競争事業者に係るものよりも有利であると誤認されるおそれのある広告表示をしてはならない。

8.「不動産の販売広告において、自己の販売する物件の価格等の取引条件が

競争事業者のものより有利である旨表示し、一般消費者を誘引して顧客を獲得し

ても、その取引条件の有利性についての具体的かつ客観的な根拠を広告に示し

ていれば、不当表示となるおそれはない。」H11-47-1

【正解:

◆比較広告 

表示に関する公正競争規約 (不当な比較広告)
第22条 事業者は、比較広告において、次に掲げる広告表示をしてはならない。

(1) 実証されていない、又は実証することができない事項を挙げて比較する表示
(2) 一般消費者の物件等の選択にとって重要でない事項を重要であるかのように強調して比較するもの及び比較する物件等を恣意的に選び出すなど不公正な基準によって比較する表示
(3) 一般消費者に対する具体的な情報ではなく、単に競争事業者又はその物件等を誹謗し又は中傷する表示 

9.「宅地建物取引業者が、不動産の販売広告において、割賦による支払条件に

ついての金利を表示する場合、アドオン方式による利率を記載しても、実質年率を

記載しないときは、不当表示となるおそれがある。」H5-31-3

【正解:

◆アドオン方式

 割賦による支払条件には、実質金利を表示することになっています。

 アドオン方式の利率表示だと、実質金利より低く表示されてしまいます。

 表示に関する公正競争規約では,割賦販売の条件について,実際のものよりも有利であると誤認されるおそれのある表示は禁止されており,実質年率を表示しなければならないとされています。

 アドオン方式による表示は見かけ上の金利が著しく低く見えるため,アドオン方式により金利を表示するときは必ず実質利率を付記するようにとの通達が出されたとがあります(建設省通達,昭和46.12.1)

表示に関する公正競争規約

(その他の不当表示)
第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

〔融資等の条件〕

(58) 割賦販売又は不動産ローンの条件について、実際のものよりも有利であると誤認されるおそれのある表示

(59) ローン提携販売を行うものではないのに、ローン提携販売と誤認されるおそれのある表示

(60) 住宅金融公庫その他の公的機関の融資に係る条件について、実際のものよりも有利であると誤認されるおそれのある表示

●不動産の表示に関する公正競争規約・施行規則11条
 (物件の内容・取引条件等に係る表示基準)
第11条 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。

〔住宅ローン等〕
(44) 住宅ローン(銀行その他の金融機関が行う物件の購入資金及びこれらの購入に付帯して必要とされる費用に係る金銭の貸借)については、次に掲げる事項を明示して表示すること。

ア 金融機関の名称若しくは商号又は都市銀行、地方銀行、信用金庫等の種類
イ 提携ローン又は紹介ローンの別
ウ 融資限度額
エ 借入金の利率及び利息を徴する方式(固定金利型、固定金利指定型、変動金利型、上限金利付変動金利型等の種別)又は返済例

(45) 割賦販売(代金の全部又は一部について、不動産の引渡後1年以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。以下同じ。)については、次に掲げる事項を明示して表示すること。

ア 割賦販売である旨
イ 割賦限度額
ウ 利息の料率(実質年率)
エ 支払期間及び回数
オ 割賦販売に係る信用調査費その他の費用を必要とするときは、その旨及びその額

(46) 住宅ローンの返済例を表示する場合において、ボーナス併用払のときは、1か月当たりの返済額の表示に続けて、ボーナス時に加算される返済額を明示すること。


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