税法その他 基礎編

所得税・贈与税―譲渡所得・贈与に関する税・住宅借入金の特別控除

●譲渡所得に関する税 3 居住用財産の買換えの特例(特定・相続) 

正解・解説


【正解】

× × × × ×

●特定の居住用財産の買い換え特例での税率  所有期間10年以上
 5年超  長期譲渡所得  15パーセント
 5年超  優良住宅地の造成の軽減税率  15パーセント(2,000万円超)

 10パーセント(2,000万円以下)

次のそれぞれの記述は、所得税法、租税特別措置法の規定によれば○か、×か。

1.「父又は母から相続により取得した居住用家屋で居住期間が30年以上のものを

譲渡した場合には、その家屋の所有期間が10年以下であっても、居住用財産の

買換えの場合の課税の特例の適用が受けられる。」 H1-29-1

【正解:×

◆居住期間と所有期間―買換えでは両方とも必要

 「居住期間が10年以上」で、かつ、「所有期間が10年超

 × 3,000万円特別控除

 × 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率

相続等により取得した居住用財産の買換え・交換の長期譲渡所得の課税の特例(租税特別措置法・旧36条の2)は改正により廃止され,平成19年4月1日以降の譲渡については適用されません。

<KEY WORDS>

 買い換え特例の意味

  買換え資産の価額 ≧ 譲渡価額  ・・・譲渡所得には課税されない

  買換え資産の価額 < 譲渡価額  ・・・その差額に、長期譲渡所得として課税

 しかし、これは課税の繰り延べであり、非課税ということではありません。譲渡益が

 あったとしても、譲渡した年に全て課税されないだけで、買い換え資産を将来、

 譲渡した場合には、その譲渡益と合わせて課税されるわけであり、課税の一時的な

 猶予と考えていい制度です。

 これは、「収用に伴う代替資産の取得のときの課税の繰り延べ」でも、同じです。

2.「居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を受ける場

合において、その譲渡資産の譲渡による収入金額がその買換え資産の取得価額を

超えるときは、その超える金額に相当する部分については、居住用財産を譲渡した

場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。」

H3-29-2、【類題】H8-28-4, H12-26-3

【正解:×

◆居住用財産の軽減税率は、ダメ。

 × 優良住宅地の造成の軽減税率の特例

 × 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

【類題】H8-28-4

 居住用財産を譲渡した場合に、特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を受けるときには、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることはできない。 【正解:

3.「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例

において、譲渡資産とされる家屋については、その譲渡をした年の1月1日におけ

る所有期間が10年を超えるものであり、かつ、その居住の用に供していた期間が

10年以上であることが、適用要件とされている。」H5-28-1

【正解:

◆所有期間10年超、居住期間10年以上

 所有期間   特例の内容
 居住用財産3,000万円  制限ナシ   特別控除   
 収用などの5,000万円  特別控除
 収用事業対象に伴って

 代替資産を取得

 課税の繰り延べ
 特定居住用財産買換え  所有10年超 

 居住10年以上

 課税の繰り延べ
 居住用財産を譲渡した場合  10年超  軽減税率

 10パーセント(6,000万円以下)

 15パーセント(6,000万円超)

 優良住宅地の造成  5年超  軽減税率

 10パーセント(2,000万円以下)

 15パーセント(2,000万円超)

 長期譲渡所得  5年超  15パーセント
 短期譲渡所得  5年以内  30パーセント

 

4.「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例

において、譲渡資産の譲渡に係る対価の額及び買換資産の取得に係る対価の額

については、それぞれ1億5千万円以下であることが、適用要件とされている。」H5-28-2

【正解:×

◆要件に、対価の額はない

 譲渡資産の価格については1億5千万円以下という要件はありますが、買換資産の対価の額は要件にはありません。

5.「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例

において、買換資産とされる家屋については、その床面積が50平方メートル以上

280平方メートル以下のものであること、また、買換資産とされる土地については、

その面積が50平方メートル以上500 平方メートル以下のものであることが、適用要件

とされている。」 H5-28-3

【正解:×

◆買い換え資産の要件

家屋(区分所有以外)の居住用床面積 50平方メートル以上 (上限はない)

かつ

家屋の敷地面積 500平方メートル以下 (下限はない)

(租税特別措置法・施行令・24条の2第3項1号イ,2号)

※区分所有の場合は,居住用部分は,50平方メートル以上280平方メートル以下。(租税特別措置法施行令24条の2第3項1号ロ)

◆買換資産である家屋が耐火建築物である既存住宅の場合は,取得の日以前25年前に建築されたものであるか,一定の耐震基準に適合したものに限ることに注意。

●重畳適用

×住宅借入金特別控除(新住宅ローン減税)

×3,000万円特別控除

×居住用財産を譲渡した場合の軽減税率

6.「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例

において、買換資産については、譲渡資産の譲渡をした年に取得をし、かつ、

その年中に居住の用に供することが、適用要件とされている。」H5-28-4

【正解:×

◆居住開始日

譲渡した年又はその前年に取得した買い換え資産は譲渡年の翌年末までに、

譲渡年の翌年中に取得したものは、取得年の翌年末までに居住

●この買換え特例(特定・相続)が適用できないとき

前々年からの3年間のうちに

 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率・10年超保有

 居住用財産の譲渡所得の3000万円控除

 居住用財産の買い換え特例(特定)

 譲渡損失の繰越控除

などの適用を受けると、この買い換え特例は適用できない。

居住用財産の買い換え特例(特定・相続) 重畳適用一覧
長期譲渡所得・5年超  ○ 
居住用財産を譲渡した場合の軽減税率・10年超保有  ×
優良住宅地の造成の軽減税率  ×
居住用財産の譲渡所得の3000万円控除  or
収用交換等の場合の5,000万円控除  ×
居住用財産の買い換え特例(特定)  ―
収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例  ×

●最近の所得税・贈与税の出題  
    9年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年
住宅借入金特別控除                   
譲渡所得                  
譲渡損失の繰越控除      **                
贈与税                   

平成11年肢2は、譲渡損失の繰越控除と住宅借入金控除が重畳適用可能か問う問題。

譲渡所得の問題4(5,000万円特別控除)を解く

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