法令上の制限 実戦篇
都市計画法の過去問アーカイブス 平成19年・問20 開発許可の要否
土地の区画形質の変更に関する次の記述のうち、都市計画法による開発許可を受ける必要のないものの組合せとして、正しいものはどれか。 (平成19年・問20) ア 市街化調整区域内における庭球場の建設の用に供する目的で行う5,000平方メートルの土地の区画形質の変更 イ 市街化調整区域内における図書館の建築の用に供する目的で行う3,000平方メートルの土地の区画形質の変更 ウ 市街化区域内における農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う1,500平方メートルの土地の区画形質の変更 |
1 ア、イ |
2 ア、ウ |
3 イ、ウ |
4 ア、イ、ウ |
<コメント> |
特定工作物の定義と許可の必要な開発行為の規模と混同しないようにしてください。
本問題は,開発許可の要否という頻出問題ですが,その割には正答率が低すぎます。その原因は,特定工作物の定義と許可の必要な開発行為の規模を混同している受験者がいたためと思われます。 イウは過去問頻出なのでその要否の判定を間違える方は少ないと思いますが,アについては,「開発許可が必要だ」と判断した方が多かったようです。 |
●出題論点● |
(ア) テニスコート場の規模が10,000平方メートル未満の場合は,第二種特定工作物で はなく,その建設目的の土地区画形質の変更は開発行為に該当しない。 ⇒ 昭和56年・問18・肢4 のソックリ問題 (イ) 図書館は<適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がない (ウ) 市街化区域内では,開発規模が1,000平方メートル以上であれば,農業を営む者 |
【正解】 1 〔開発許可が必要でないものはアとイ〕
ア | イ | ウ |
不要 | 不要 | 必要 |
正答率 | 64.7% |
ア 市街化調整区域内における庭球場の建設の用に供する目的で行う5,000平方メートルの土地の区画形質の変更 |
【正解:不要】昭和56年・問18・肢4, ◆第二種特定工作物ではないものの建設のための土地区画形質の変更は,開発行為に該当しない
5,000平方メートルの庭球場<1万平方メートル未満の庭球場>は,第二種特定工作物とはならないので(都市計画法4条11項,施行令1条2項1号),その建設のための土地の区画形質の変更は開発行為に該当せず,開発許可を受ける必要はありません。 |
イ 市街化調整区域内における図書館の建築の用に供する目的で行う3,000平方メートルの土地の区画形質の変更 |
【正解:不要】 ◆開発許可不要−図書館の建築のための区画形質の変更
図書館は,<適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がない公益上必要な建築物>であり,区域・規模を問わず,その建築のための開発行為には,知事の許可を受ける必要はありません。 |
ウ 市街化区域内における農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う1,500平方メートルの土地の区画形質の変更 |
【正解:必要】 ◆市街化区域内−開発規模が1,000平方メートル以上ならば,開発許可が必要 農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築目的の開発行為は,市街化区域以外の区域では,開発許可を要しないものとされています(都市計画法29条1項2号,同条2項1号)。 しかし,市街化区域内では,開発規模が1,000平方メートル以上であれば,農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築目的であっても,知事の許可を受けなければなりません(都市計画法29条1項1号,施行令19条1項。 |
●参考問題 「第一種特定工作物」 |
市街化区域内で,民間業者がコンクリートプラント等の特定工作物を建設する目的で行う開発行為で,その規模が1,500平方メートルのものは開発許可を受けなければならない。(昭和52年改) |
【正解:○】
コンクリートプラント等はその規模の大小を問わず,「第一種特定工作物」である(都市計画法4条11項,施行令1条1項)。 市街化区域内では,第一種特定工作物の建設を目的とした開発行為の規模が1,000平方メートル以上であれば,開発許可を受けなければならない。 |
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