建築基準法の過去問アーカイブス 平成20年・問21 補充知識
肢1 大規模集客施設,
肢4 卸売市場等の用途に供する特殊建築物の位置
1 店舗の用途に供する建築物で当該用途に供する部分の床面積の合計が20,000平方メートルであるものは、準工業地域においては建築することができるが、工業地域においては建築することができない。 |
【正解:○】法改正による初出題 ◆大規模集客施設 〔特定大規模建築物〕 大規模集客施設〔店舗・劇場・飲食店等の用途に供する床面積の合計が1万平方メートル超。都市計画法での特定大規模建築物〕は,近隣商業地域,商業地域,準工業地域以外の区域では,原則として,建築できません(建築基準法48条6項,7項,11項,13項,別表第二(へ)項6号,(と)項6号,(る)項7号,(ち),(り),(ぬ)の各項)。 したがって,本肢の<準工業地域では建築できるが,工業地域では建築できない。>とする記述は正しいことになります。 |
●48条各項の例外 | ||
開発整備促進区以外で,48条各項本文の例外に該当するものを以下にまとめます。 ・市町村の条例に基づく制限 (地区計画等の区域内での条例による制限)
・特別用途地区(都市計画法9条13項)
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4 第一種中高層住居専用地域において、火葬場を新築しようとする場合には、都市計画により敷地の位置が決定されていれば新築することができる。 |
【正解:×】火葬場の出題・平成6年・問23・肢2, ◆卸売市場等の用途に供する特殊建築物の位置(51条)と用途規制(48条) 都市計画区域内の火葬場の建築については,48条(用途地域)と51条(卸売市場等の用途に供する特殊建築物の位置)の双方の規定に適合していなければなりません。 1) まず,48条の用途規制の面から検討します。 卸売市場等の特殊建築物〔卸売市場,火葬場,またはと畜場,汚物処理場,ごみ焼却場その他政令で定める処理施設〕については,第一種・第二種低層住居専用地域,第一種中高層住居専用地域では,特定行政庁の許可がなければ,建築できない(註)と解されています。 つまり,これだけで肢4が誤りだと判断できます。
2) 卸売市場等の特殊建築物 (51条) ※ また,卸売市場等の特殊建築物は,都市計画区域内では,原則として,都市計画で敷地の位置が決定しているもの〔原則として都市計画の施設として決定する〕でなければ,新築や増築〔用途変更も〕をすることはできません。(⇒ 例外については,参考知識を参照) ※51条の特殊建築物は,同条本文またはただし書により新築,増築できる場合でも,その建築物が48条各項本文に抵触するときは,48条各項ただし書による特定行政庁の許可をも必要とする(建設省当時の回答)。 ▼準都市計画区域については都市施設に関する都市計画は決定されないとされているために,準都市計画区域内については建築基準法51条は適用されません。 |
●補足 |
■例規
・建築基準法第51条の規定に係る特殊建築物には、その存在自体都市にとつて必要不可欠なものであつて、都市全体又は都市内の一定の区域において最適の位置を都市計画的視点から定める必要のあるものが該当すると考えるべきである(例規・昭和48年住街発第867号)。
■卸売市場、ごみ焼却場等の都市供給処理施設に関する建築基準法第54条[改正法第51条]の規定の取扱について(昭和35年建設計発第29号) 昭和35年1月25日 このたび建築基準法の一部が改正され、昭和34年12月23日より施行の運びとなり、同法第54条〔現51条〕に規定する卸売市場、と畜場、火葬場、汚物処理場及びごみ焼却場の取扱が改正になつたが、これらの各施設は都市の総合的土地利用計画及び開発計画等に基づき各種都市施設整備の一環として計画されるべきものであるから、その取扱に当たつては既定の都市計画との関連はもちろん、全般の総合的計画等を慎重に検討の上、下記事項に留意して実施されたい。 記 1 標記各施設は、次項の場合を除き原則として都市計画の施設として決定するものとし、その場合の手続きは従前の例によること。技術的な計画標準は別途定める。 2 標記各施設のうち同法同条ただし書の規定により特定行政庁が取扱うべき範囲は、おおむね次の各号に掲げる場合とするが、その実施に当たつてはあらかじめ関係部局と協議しておくこと。 (1) 市街化の傾向のない場所に位置し、若しくは比較的小規模である等周囲に及ぼす影響の少ない場合 (2) 将来の情勢の推移によつて移転すること等が予想される暫定的なものである場合 (3) 設置しようとする都市に、用途地域、街路網、公園等の既定都市計画がない場合又はそれらの計画の構想が確定していない場合 (4) その他関係部局が公益上やむを得ないと認める場合 3 建築基準法第54条〔現51条〕ただし書による取扱に関する都市計画審議会の審議については、昭和29年建設省告示第1071号を改正してその付議権を知事に委任し、その事務は昭和29年建設省発計第19号によつておおむね常務委員会で処理されることとしたので、いまだ都市計画審議会は常務委員会を設けていない府県にあつては、早急に常務委員会を設け、その運用に遺憾のないよう配慮すること。(昭和35年1月25日) ■法第54条[改正法第51条]ただし書による許可と法第49条[改正法第48条]各項ただし書による許可との関係 (昭和39年住指発第160号) 昭和39年9月2日 建築基準法第54条〔現51条〕に規定する特殊建築物で、その敷地の位置が都市計画の施設として決定されていないものの新築にあたってその一部に法第49条〔現48条〕各項本文に抵触する部分がある場合は、法第54条ただし書による許可のみならず法第49条〔現48条〕各項ただし書による許可をも必要とするか、また、法第54条〔現51条〕ただし書の政令で定める範囲内の規定で新築または増築する場合はどうか。 (回答) 建築基準法第54条〔現51条〕列記の建築物は、同条本文又はただし書により新築、増築できる場合でも、その建築物が法第49条〔現48条〕各項本文に抵触するときは、同条各項ただし書による許可をも必要とする。 したがつて、貴質疑に係る場合はいずれも法第49条〔現48条〕各項ただし書による許可が必要と解する。(昭和39年9月2日) |