宅建業法 実戦篇

クーリングオフの過去問アーカイブス 平成元年・問38 


宅地建物取引業法第37条の2に規定する宅地又は建物の買い受けの申込みの撤回又は売買契約の解除に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成元年・問38)

1.「買い受けの申込みをした者が,申込みの撤回を行うことができる旨及びその申込みの撤回を行う場合の方法について,所定の事項を記載した書面を交付して告げられた場合において,その告げられた日から起算して8日を経過したときは,申込みの撤回を行うことができない。」

2.「買受けの申込みの撤回は,申込みをした者が当該申込みの撤回を行う旨の書面を発した時に,その効力を生ずる。」

3.「宅地建物取引業者の媒介により成立した宅地建物取引業者でない者の間の宅地の売買契約には,宅地建物取引業法第37条の2の規定の適用はないが,宅地建物取引業者でない者が売主で宅地建物取引業者が買主である売買契約には,同条の規定の適用がある。」

4.「買い受けの申込みの撤回が行われた場合,宅地建物取引業者は,申込みを行った者に対し,速やかに,申込みに際し受領した金銭を返還しなければならない。」

【正解】

×

1.「買い受けの申込みをした者が,申込みの撤回を行うことができる旨及びその申込みの撤回を行う場合の方法について,所定の事項を記載した書面を交付して告げられた場合において,その告げられた日から起算して8日を経過したときは,申込みの撤回を行うことができない。」

【正解:

クーリングオフができるのは,告げられた日から起算して8日間

 買主は宅建業者よりその申込みの撤回ができる旨及び申込みの撤回の方法について書面を交付して告げられた日から起算して8日間は申込みの撤回ができる(宅建業法37条の2第1項第1号)ので,本肢は正しい記述です。

 KEY 

 クーリングオフできるのは

宅建業者より書面を交付して告げられた日から起算して8日間

2.「買受けの申込みの撤回は,申込みをした者が当該申込みの撤回を行う旨の書面を発した時に,その効力を生ずる。」

【正解:

書面を発信したときに,申込の撤回等の効力が生じる

 買受の申込の撤回や契約の解除〔申込の撤回等〕は,口頭ではダメで,書面〔様式は特に定められていない。〕によりしなければなりません(宅建業法・37条の2・第1項)

 申込の撤回等は,書面を発したときにその効力が生じます(宅建業法・37条の2・第2項)

 KEY 

 クーリングオフは,書面を発したときに効力が生じる

自ら売主の宅建業者がクーリングオフできる旨及びクーリングオフの方法について書面を交付して告げるときの書面は一定の事項を記載したものでなければいけませんが(宅建業法・37条の2・第1項第1号,施行規則16条の6),買主がクーリングオフするときの書面については特に様式は定められていません。

3.「宅地建物取引業者の媒介により成立した宅地建物取引業者でない者の間の宅地の売買契約には,宅地建物取引業法第37条の2の規定の適用はないが,宅地建物取引業者でない者が売主で宅地建物取引業者が買主である売買契約には,同条の規定の適用がある。」

【正解:×

◆クーリングオフできない契約

 クーリングオフの規定は,宅建業者が自ら売主として,宅建業者でない者との売買契約の締結について適用されるものであり(宅建業法・37条の2・第1項),<宅建業者の媒介によって成立した宅建業者でない者の間の売買契約>や<宅建業者でない者が売主で,宅建業者が買主である売買契約>には適用されません。

 したがって,『<宅建業者の媒介によって成立した宅建業者でない者の間の売買契約>には適用されないが,<宅建業者でない者が売主で,宅建業者が買主である売買契約>には適用される。』とする本肢は誤りです。

 KEY 

<宅建業者の媒介によって成立した宅建業者でない者の間の売買契約> 
<宅建業者でない者が売主で,宅建業者が買主である売買契約>

クーリングオフの規定は適用されない

4.「買い受けの申込みの撤回が行われた場合,宅地建物取引業者は,申込みを行った者に対し,速やかに,申込みに際し受領した金銭を返還しなければならない。」

【正解:

◆契約締結に際して受領した金銭はすみやかに返還する

 申込みの撤回等が行われた場合,宅建業者は,申込者等に対し,買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を速やかに返還しなければなりません(宅建業法・37条の2・第3項)

 これに反する特約をした場合,その特約は無効になります。

 KEY 

 クーリングオフされたとき

宅建業者は,手付金等を速やかに返還する。

宅建業者は,損害賠償・違約金の支払を請求できない。


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