宅建業法 実戦篇
重要事項の説明の過去問アーカイブス 平成元年・問47
宅地建物取引業者が自ら売主となって工事完了前のマンションの売買契約を締結する場合,宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成元年・問47) |
1.「手付金等の保全措置について,保証委託契約によって保全措置を講ずることとし,その措置の概要は説明したが,保証保険契約については説明しなかった。」 |
2.「当該マンションの完成時の建物の説明として,建築確認通知書により,敷地面積,建築面積,延べ面積及び工事完成予定日を説明し,他の説明は省略した。」 |
3.「融資のあっせんについて,当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しない場合の措置は説明したが,融資機関が複数あったため,融資条件の説明はしなかった。」 |
4.「損害賠償の予定額または違約金については,契約締結時に宅地建物取引業法第37条に規定する書面において説明することとし,説明を省略した。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
1.「手付金等の保全措置について,保証委託契約によって保全措置を講ずることとし,その措置の概要は説明したが,保証保険契約については説明しなかった。」 |
【正解:○】 ◆手付金等の保全措置の概要 宅建業者は,手付金等の保全措置の概要について,35条の重要事項として説明しなければいけません(宅建業法35条1項10号)。 手付金等の保全措置の概要は,保証委託契約か保険保証契約によるのかの別,保全措置を行う機関の種類,名称等を説明することとされています(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方・第35条第1項第10号関係)。 本肢では,保証委託契約によって保全措置を講じるので,保全措置として用いない保証保険契約について説明する必要はありません。 |
●宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(国土交通省)−手付金等の保全措置について |
法第41条第1項第1号に掲げる措置(保証委託契約)か同条同項第2号に掲げる措置(保証保険契約)かの別、第1号に掲げる措置にあっては保証を行う機関の種類(銀行、信用金庫、農林中央金庫、指定保証機関等の別)及び保証又は保証保険を行う機関の名称又は商号を説明することとする。 |
2.「当該マンションの完成時の建物の説明として,建築確認通知書により,敷地面積,建築面積,延べ面積及び工事完成予定日を説明し,他の説明は省略した。」 |
【正解:×】 ◆完了時における形状,構造 工事完了前の建物では,その完了時における形状,構造〔当該建物の主要構造部,内装及び外装の構造,仕上げ,設備の設置及び構造〕についても,図面を必要とするときは図面も交付して,35条の重要事項で説明しなければならない(宅建業法35条1項5号)ので,本肢は誤りです。
▼<他の説明>というのはアバウトな表現ですが,おおむね上記のことを示していると考えられます。 |
3.「融資のあっせんについて,当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しない場合の措置は説明したが,融資機関が複数あったため,融資条件の説明はしなかった。」 |
【正解:×】 ◆金銭の貸借のあっせんの内容,金銭の貸借が成立しないときの措置 宅建業者は,35条の重要事項として,<代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置 >について説明しなければなりません(宅建業法35条1項12号)。 宅地や建物はローンで買うことが多く,返済条件などがはっきりしていなければ,買主にとっても購入するかどうかの判断がつかないからです。 あっせんする金融機関が複数あっても,融資条件を説明しないというのでは,<あっせんの内容>を説明したとはいえないので,本肢は誤りです。 |
●宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(国土交通省) |
第35条第1項第11号関係 1 提携ローン等に係る金利について 宅地建物取引業者が提携ローン等に係る金利をアド・オン方式により表示する場合には、実質金利を付記するものとし、かつ、実質金利の表示は、年利建てにより行うこととする。 2 ローン不成立等の場合について 金融機関との金銭消費貸借に関する保証委託契約が成立しないとき又は金融機関の融資が認められないときは売主又は買主は売買契約を解除することができる旨、及び解除権の行使が認められる期限を設定する場合にはその旨を説明する。 また、売買契約を解除したときは、売主は手付又は代金の一部として受領した金銭を無利息で買主に返還することとする。 |
4.「損害賠償の予定額または違約金については,契約締結時に宅地建物取引業法第37条に規定する書面において説明することとし,説明を省略した。」 |
【正解:×】 ◆損害賠償の予定額・違約金 損害賠償の予定額または違約金については,その定めの有無も含めて,重要事項として必ず説明しなければならない(宅建業法35条1項9号)ので,省略したとする本肢は誤りです。 37条書面では,<損害賠償の予定額または違約金に関する定めがあるときはその内容>を記載することになっています。
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