宅建業法 実戦篇
監督処分の過去問アーカイブス 平成元年・問49
次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,誤っているものはどれか。(平成元年・問49) |
1.「宅地建物取引主任者資格試験 (以下「試験」という。) の受験者は,不正の手段によって試験を受け,合格の決定を取り消された場合,3年間試験の受験を禁止されることがある。」 |
2.「宅地建物取引主任者は,他人に自己の名義の使用を許し,当該他人がその名義を使用して宅地建物取引主任者である旨の表示をした場合,1年間宅地建物取引主任者としてすべき事務を行うことを禁止されることがある」 |
3.「宅地建物取引業者は,宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明を怠った場合,1年間の業務の停止を命ぜられることがある。」 |
4.「宅地建物取引業者の使用人は,正当な理由なくして,宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らした場合,10万円以下の過料に処せられることがある。」改 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
1.「宅地建物取引主任者資格試験 (以下「試験」という。) の受験者は,不正の手段によって試験を受け,合格の決定を取り消された場合,3年間試験の受験を禁止されることがある。」 |
【正解:○】 ◆合格の取消し 都道府県知事は,不正の手段によつて試験を受け,又は受けようとした者に対して,合格の決定を取り消し,又はその試験を受けることを禁止することができます(宅建業法17条1項)。 また,都道府県知事は,情状により,3年以内の期間を定めて受験を禁止することができます(宅建業法17条2項)。
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●条文確認 |
(合格の取消し等) 第17条 都道府県知事は、不正の手段によつて試験を受け、又は受けようとした者に対しては、合格の決定を取り消し、又はその試験を受けることを禁止することができる。 2 指定試験機関は、前項に規定する委任都道府県知事の職権を行うことができる。 3 都道府県知事は、前二項の規定による処分を受けた者に対し、情状により、3年以内の期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。 |
2.「宅地建物取引主任者は,他人に自己の名義の使用を許し,当該他人がその名義を使用して宅地建物取引主任者である旨の表示をした場合,1年間宅地建物取引主任者としてすべき事務を行うことを禁止されることがある」 |
【正解:○】 ◆名義貸しの禁止 取引主任者が,他人に自己の名義の使用を許し,当該他人がその名義を使用して宅地建物取引主任者である旨の表示をした場合〔名義貸し〕,都道府県知事は,必要な指示をすることができます(宅建業法68条1項2号)。 また,都道府県知事は,名義貸しに該当する場合は,1年以内の期間を定めて宅地建物取引主任者としてすべき事務を行うことを禁止することもできます(宅建業法68条2項)。情状が特に重いときは登録が消除されます(宅建業法68条の2第1項4号)。
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3.「宅地建物取引業者は,宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明を怠った場合,1年間の業務の停止を命ぜられることがある。」 |
【正解:○】 ◆重要事項の説明を怠る−業務停止処分・免許取消処分 国土交通大臣または都道府県知事は,その免許を受けた宅建業者が重要事項の説明を怠った場合,1年以内の期間を定めて,その業務の間の全部または一部の停止を命ずることができます(宅建業法65条2項2号)。 また,情状が特に重いときは免許を取り消さなければならないことになっています(宅建業法66条1項9号)。
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4.「宅地建物取引業者の使用人は,正当な理由なくして,宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らした場合,10万円以下の過料に処せられることがある。」改 |
【正解:×】 ◆使用人等の秘密を守る義務 宅建業者の使用人その他の従業者は,正当な理由がある場合でなければ,宅建業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはいけません。宅建業者の使用人その他の従業者でなくなつた後であつても同じです(宅建業法75条の2)。 これに違反すると, 50万円以下の罰金に処せられます(宅建業法83条3項)。 ▼10万円以下の過料というのは,取引主任者証の返納・事務禁止のときの提出,35条の重要事項説明時の提示義務,宅建協会及び宅建協会連合会でない者がその名称を使用することの禁止に違反した場合です(宅建業法86条)。 ▼宅建業者にも,業務上知りえたことについて守秘義務があり,宅建業者でなくなった後も同じです。違反すると,この場合も 50万円以下の罰金に処せられます(宅建業法83条3項)。
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