宅建業法 実戦篇

重要事項の説明の過去問アーカイブス 平成3年・問45


次の事項のうち,宅地建物取引業法第35条の規定による重要事項の説明を義務付けられているものは,どれか。(平成3年・問45)

1.「当該取引の対象となる宅地又は建物に関し50万円の預り金を受領しようとする場合において,宅地建物取引業法第64条の3第2項の規定による保証の措置等を講ずるかどうか」

2.「当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任についての定めがある場合において,その内容」

3.「移転登記の申請の時期」

4.「天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがある場合において,その内容」

【正解】

義務づけられている 義務づけられていない 義務づけられていない 義務づけられていない

1.「当該取引の対象となる宅地又は建物に関し50万円の預り金を受領しようとする場合において,宅地建物取引業法第64条の3第2項の規定による保証の措置等を講ずるかどうか」

【正解:義務づけられている

◆支払金または預り金についての保証の措置−保証協会の一般保証業務

 「支払金または預り金で国土交通省令で定めるものを受領する場合に,保証協会による保証の措置または国土交通省令で定める保全措置を講じるかどうか」,及び「講じる場合のその措置の概要」は,35条1項に定める重要事項として説明しなければなりません(宅建業法35条1項11号,施行規則16条の3,施行規則16条の4,)。 ⇒ 講じない場合は,<講じない旨>を説明することに注意

 「宅建業法第64条の3第2項の規定による保証の措置」・・・保証協会による連帯保証〔一般保証業務〕のことを意味します。

支払金または預り金で国土交通省令で定めるもの」・・・以下のものは該当しない。

・受領する額が50万円未満のもの

・保全措置が講じられている手付金等

・「売主」または「交換の当事者」である宅建業者が登記以後に受領するもの

・報酬

保証協会は,社員である宅建業者が受領した支払金又は預り金の返還債務その他宅建業に関する債務を連帯して保証する業務〔一般保証業務〕及び手付金等保管事業を行うことができます(宅建業法・第64条の3第2項)

●紛らわしいものの整理 ⇒ 37条書面の記載事項には三つとも入っていない
 供託所等に関する説明 35条の2  (契約が成立するまでに説明)

 ⇒ 35条の重要事項の中には入っていないが
    説明義務がある

 支払金または預かり金
 の保全措置
35条1項11号  ・講じるか,講じないかの別
 ・講じる場合はその措置の概要

 (重要事項として,契約が成立するまでに説明)

 手付金等保全措置の概要 35条1項10号  (重要事項として,契約が成立するまでに説明)

2.「当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任についての定めがある場合において,その内容」

3.「移転登記の申請の時期」

4.「天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがある場合において,その内容」

【正解:義務づけられていない

◆37条書面の記載事項

 肢2〜肢4は,契約締結後に遅滞なく交付する37条書面の記載事項であり,35条の重要事項には該当しないため,重要事項としての説明は義務づけられていません。

 KEY 

瑕疵担保責任についての定めがある場合の,その内容

天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがある場合の,その内容

移転登記の申請の時期 

37条書面の記載事項

●法改正による35条の追加
 平成18年の改正により,35条の重要事項に,以下が追加されました。

 ・宅地建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関して、保証保険契約の締結などの措置を講じるかどうか、講じる場合はその措置の概要

 ・造成宅地防災区域内にある旨

 ・石綿の使用の有無の調査結果が記録されているときは,その内容

 ・耐震診断を受けたものであるときは,その内容

    宅地  建物
宅地建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に
関して、保証保険契約の締結などの措置を
講じるかどうか、講じる場合はその措置の概要
売買・交換,

売買・交換の媒介・代理,

貸借の媒介代理

造成宅地防災区域内にある旨 売買・交換,

売買・交換の媒介・代理,

貸借の媒介代理

石綿の使用の有無の調査結果が記録されて
いるときは,その内容
 なし 売買・交換,

売買・交換の媒介・代理,

貸借の媒介代理

耐震診断を受けたものであるときは,その内容

 


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