宅建業法 実戦篇
自ら売主の制限の過去問アーカイブス 平成4年・問37 工事完了前の物件の売買
広告開始時期の制限・契約締結時期の制限・重要事項の説明・
自己の所有に属しない宅地建物の売買契約の制限
宅地建物取引業者Aは,建売住宅の分譲を行うこととし,平成16年10月1日開発許可を受けて,同年12月1日宅地造成工事を完了し,平成17年2月1日建築確認を受けたが,同年4月1日現在工事は完了していない。この場合において,次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成4年・問37) |
1.「Aが,宅地建物取引業者Bの強い希望に基づき,開発許可が下りた後の平成16年11月1日,建築確認の取得を条件として土地付住宅の売買契約をBと締結した場合,宅地建物取引業法に違反する。」 |
2.「Aが,平成17年1月1日,「宅地造成完了,建築確認申請済」 と表示した広告を出して,その広告を見た宅地建物取引業者でないCと,建築確認後の同年3月1日土地付住宅の売買契約を締結した場合,宅地建物取引業法に違反しない。」 |
3.「Aが,平成17年2月15日 「建物の形状・構造については,工事が完了した後に説明する」 と重要事項説明を行って,同年3月1日土地付住宅の売買契約を宅地建物取引業者でないDと締結した場合,宅地建物取引業法に違反する。」 |
4.「その土地がEの所有地であったので,Aが,Eと平成16年9月1日停止条件付き売買契約を結び,条件未成就のまま平成17年3月1日土地付住宅の売買契約を宅地建物取引業者Fと締結した場合,宅地建物取引業法に違反しない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「Aが,宅地建物取引業者Bの強い希望に基づき,開発許可が下りた後の平成16年11月1日,建築確認の取得を条件として土地付住宅の売買契約をBと締結した場合,宅地建物取引業法に違反する。」 |
【正解:○】 ◆契約締結時期の制限 10/1 11/1 開発許可 建築確認の取得を条件に 建物の建築工事完了前は,建築確認・開発許可や法令で定める許可等の処分で政令で定めるものがすべてあった後でなければ売買契約を締結することはできません(宅建業法36条)。 本肢では,開発許可は下りていても,建築確認の前なので,売買契約を締結することは宅建業法に違反します。
|
2.「Aが,平成17年1月1日,「宅地造成完了,建築確認申請済」 と表示した広告を出して,その広告を見た宅地建物取引業者でないCと,建築確認後の同年3月1日土地付住宅の売買契約を締結した場合,宅地建物取引業法に違反しない。」 |
【正解:×】 ◆広告開始時期の制限 1/1 2/1 3/1 広告 建築確認 売買契約締結<工事完了前> 建築工事完了前の建物の場合,建築確認や法令で定める許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ,当該建物について広告をすることはできません(宅建業法33条)。 広告に『建築確認申請済』と表示しても,広告時点では建築確認の前ですから,宅建業法違反になります。 ▼問題文の後半部の<建築確認後に売買契約締結した>のは,宅建業法での契約締結時期の制限には違反しませんが(宅建業法36条),買主が宅建業者でないときには手付金等保全措置をしなければならない場合があります(宅建業法33条の2第2項)。
●整理●契約締結時期の制限,自己の所有に属さない宅地又は建物の売買契約締結時期の制限
※手付金等の合計が代金の5%以下,かつ,1,000万円以下であるとき,買主が所有権の登記をしたとき(保存登記),買主への所有権移転登記がされたときは保全措置は不要。 |
3.「Aが,平成17年2月15日 「建物の形状・構造については,工事が完了した後に説明する」 と重要事項説明を行って,同年3月1日土地付住宅の売買契約を宅地建物取引業者でないDと締結した場合,宅地建物取引業法に違反する。」 |
【正解:○】 ◆工事完了時における形状・構造等−重要事項説明 2/1 2/15 3/1 建築確認 重要事項説明 売買契約締結<工事完了前> 売買契約締結前に行う宅建業法35条の重要事項説明では,工事完了前のときは,完了時における形状,構造その他国土交通省令で定める事項について説明しなければいけません(宅建業法35条1項5号)。⇒ 図面が必要なときは図面も交付します。 「建物の形状・構造については,工事が完了した後に説明する」 としたのでは,説明義務を果たしたとはいえないので,宅建業法に違反します。 |
4.「その土地がEの所有地であったので,Aが,Eと平成16年9月1日停止条件付き売買契約を結び,条件未成就のまま平成17年3月1日土地付住宅の売買契約を宅地建物取引業者Fと締結した場合,宅地建物取引業法に違反しない。」 |
【正解:○】 ◆自ら売主の制限は宅建業者間の取引には適用されない 16.9.1 17.3.1 停止条件付 売買契約締結 宅建業者は,自己の所有に属さない宅地や建物について,当該宅地や建物を条件付で取得する契約を締結しているときは,自ら売主として宅建業者でない者と売買契約を締結することはできません(宅建業法33条の2第1号)。 しかし,自ら売主の8種制限は,買主が宅建業者のときには適用されないので(宅建業法78条2項),本肢は宅建業法には違反しません。
|
1000本ノック・宅建業法編・本編のトップに戻る Brush Up! 業務上の規制に戻る