宅建業法 実戦篇
報酬の限度額の過去問アーカイブス 平成４年・問50
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宅地建物取引業者Ａが単独で又は宅地建物取引業者Ｂと共同して，甲乙間に契約を成立させて報酬を受領した場合に関する次の記述のうち，宅地建物取引業法に違反しないものは，どれか。ただし，Ａ・Ｂともに，消費税の免税業者であるものとし，免税業者のみなし仕入れ率 (媒介又は代理業務の仕入れに係る消費税及び地方消費税相当額) については考慮しないものとする。(平成４年・問50) |
| １．「甲所有の宅地 （３，０００万円） の売買について，甲から代理の依頼を受けたＡと，買主乙から媒介の依頼を受けたＢとが共同して，売買契約を成立させ，Ａが甲から１９２万円，Ｂが乙から９６万円を受領した。」 |
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２．「甲所有の宅地 （１，８００万円） と乙所有の宅地 （２，０００万円） の交換について，甲から媒介の依頼を受けたＡと，乙から媒介の依頼を受けたＢとが共同して，交換契約を成立させ，Ａが甲から６６万円，Ｂが乙から６６万円を受領した。」 |
| ３．「甲所有の店舗用建物の賃貸借について，甲から媒介の依頼を受けたＡが，甲と借主乙との間に，賃貸借契約 （借賃月額４０万円。保証金１，５００万円，ただし，この保証金は，乙の退去時に乙に返還するものとする。） を成立させ，甲から５１万円を受領した。」 |
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４．「甲所有の居住用建物の賃貸借について，甲から媒介の依頼を受けたＡと，借主乙から媒介の依頼を受けたＢとが共同して，甲と乙との間に，賃貸借契約 （借賃月額４０万円） を成立させ，Ａが甲から１０万円，Ｂが乙から３０万円を受領した。ただし，媒介の依頼を受けるに当たり，報酬額について別段の定めはないものとする。」 |
【正解】
| １ | ２ | ３ | ４ |
| 違反する | 違反しない | 違反する | 違反する |
| １．「甲所有の宅地 （３，０００万円） の売買について，甲から代理の依頼を受けたＡと，買主乙から媒介の依頼を受けたＢとが共同して，売買契約を成立させ，Ａが甲から１９２万円，Ｂが乙から９６万円を受領した。」 |
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【正解：違反する】 ◆売主に代理業者，買主に媒介業者 甲 (売主) ―――――― 乙 (買主)
1) 業者全体で受領できる報酬の限度額 速算式で求められる媒介の基準報酬額は，3,000万円×３％＋６万円＝９６万円なので，関与した宅建業者(代理Ａ，媒介Ｂ)全体で受領できる報酬の合計は１９２万円。 2) 個々の業者が受領できる報酬の限度額 個々の宅建業者で見ると，代理Ａは１９２万円まで受領できる。〔甲のみから代理の依頼を受けていた場合，また甲・乙の双方から依頼を受けていた場合も同じ。〕 媒介Ｂは，乙からのみの依頼によるので９６万円まで受領できる。 3) 本肢の正誤の判断 上の1)より，Ａ・Ｂの合計で１９２万円を超えて報酬を受領することはできないので，Ａが甲から１９２万円を受領すると，Ｂは乙から報酬を受領することはできない。 したがって，本肢は宅建業法に違反する。 |
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２．「甲所有の宅地 （１，８００万円） と乙所有の宅地 （２，０００万円） の交換について，甲から媒介の依頼を受けたＡと，乙から媒介の依頼を受けたＢとが共同して，交換契約を成立させ，Ａが甲から６６万円，Ｂが乙から６６万円を受領した。」 |
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【正解：違反しない】 ◆交換 甲 ――――――――― 乙
1) 業者全体で受領できる報酬の限度額 速算式で求められる媒介の基準報酬額は，2,000万円×３％＋６万円＝６６万円なので，関与した宅建業者(媒介Ａ，媒介Ｂ)全体で受領できる報酬の合計は１３２万円。 2) 個々の業者が受領できる報酬の限度額 個々の宅建業者で見ると，Ａ，Ｂは，それぞれ６６万円まで受領できる。 3) 本肢の正誤の判断…正しい。 |
| ３．「甲所有の店舗用建物の賃貸借について，甲から媒介の依頼を受けたＡが，甲と借主乙との間に，賃貸借契約 （借賃月額４０万円。保証金１，５００万円，ただし，この保証金は，乙の退去時に乙に返還するものとする。） を成立させ，甲から５１万円を受領した。」 |
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【正解：違反する】 ◆非居住用建物の賃貸借の媒介 甲 (貸主) ―――――― 乙 (借主)
本肢の保証金は，退去時に返還されるので，(エ)の権利金を売買代金とみなして売買の媒介に準じて報酬の額を計算することはできない。
本肢では，借賃が４０万円であり，Ａは非課税業者なので，Ａが受領できる報酬の限度額は４０万円となる。 ●本肢の正誤の判断 本肢の５１万円は，権利金の授受がある場合で計算しているので，宅建業法に違反する。 権利金の授受がある場合1,500万円×３％＋６万円＝４５万円＋６万円＝５１万円 |
●消費税課税業者の貸借の報酬
| − | 居住用建物 | 非居住用建物 | 宅地 |
| (i) 依頼者の双方から受け取ることができる報酬 は，当該物件の借賃の１月分の１．０５倍以内 (また，居住用建物の貸借の場合， |
○ | 権利金の授受があるときは (i)，(ii)の選択 |
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| (ii) 権利金の授受がある場合，当該権利金の額を 売買に係る代金の額とみなして，売買に関する 報酬の規定を適用できる。 |
× | ||
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４．「甲所有の居住用建物の賃貸借について，甲から媒介の依頼を受けたＡと，借主乙から媒介の依頼を受けたＢとが共同して，甲と乙との間に，賃貸借契約 （借賃月額４０万円） を成立させ，Ａが甲から１０万円，Ｂが乙から３０万円を受領した。ただし，媒介の依頼を受けるに当たり，報酬額について別段の定めはないものとする。」 |
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【正解：違反する】 ◆依頼者の一方から受け取れる報酬は，承諾がなければ，借賃の０.５倍以内 甲 (貸主) ―――――― 乙 (借主)
Ａ，Ｂが受け取る報酬の合計は４０万円以内でなければならず，また，依頼者の承諾がなければ，Ａ，Ｂともそれぞれ２０万円までしか報酬を受領することはできない。 本肢の場合，Ｂは２０万円を超える報酬を受領しているので，宅建業法に違反する。(報酬額について別段の定めはないのであるから，依頼者の承諾はない。) |