宅建業法 実戦篇
宅建業者の過去問アーカイブス 平成5年・問35 免許の要否
宅地建物取引業法の免許に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成5年・問35) |
1.「Aがマンションの分譲を反復継続して行う場合,Aは宅地建物取引業の免許を要するが,Aの経営が悪化したのでBが売残りのマンション1棟を買い取り,販売の代理を他の宅地建物取引業者に依頼して不特定多数に売却する場合,Bは宅地建物取引業の免許を要しない。」 |
2.「Cが都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域において山林を山林として反復継続して売却する場合,Cは宅地建物取引業の免許を要しないが,Dが原野を10区画に区画割して宅地として分譲する場合,Dは宅地建物取引業の免許を要する。」 |
3.「Eが土地を10区画に区画割して駐車場として賃貸する場合,Eは宅地建物取引業の免許を要しないが,Fが駐車場ビル10棟を建設し,Gが媒介して1棟ずつ売却する場合,F及びGは宅地建物取引業の免許を要する。」 |
4.「Hが競売物件である宅地を自己用として購入する場合,Hは宅地建物取引業の免許を要しないが,I が営利を目的として競売物件である宅地を購入し,宅地建物取引業者を介して反復継続して売却する場合,I は宅地建物取引業の免許を要する。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
▼宅地・・・(1)建物の敷地に供せられる土地。〔建物を建てる目的で取引される場合も含む。〕登記簿上の地目や現況の用途は関係ない。 (2)用途地域内で『政令で定める公共の用に供する施設〔道路・河川・水路・公園・広場〕の用に供せられている土地』以外の土地。登記簿上の地目は関係ない。政令で定める公共施設が計画されている予定地も宅地になる。 |
売買 or 交換 | 賃貸 | |
自ら当事者 | 免許が必要 | 免許は要らない |
媒介or 代理 | 免許が必要 | 免許が必要 |
1.「Aがマンションの分譲を反復継続して行う場合,Aは宅地建物取引業の免許を要するが,Aの経営が悪化したのでBが売残りのマンション1棟を買い取り,販売の代理を他の宅地建物取引業者に依頼して不特定多数に売却する場合,Bは宅地建物取引業の免許を要しない。」 |
【正解:×】 ◆販売の代理を依頼しても,不特定多数に売買するのであれば免許が必要 販売の代理を他の宅地建物取引業者に依頼して不特定多数に売却するのであっても,B名義で売買が不特定多数に行われるので,Bは宅建業に該当し,宅建業の免許が必要です。
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2.「Cが都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域において山林を山林として反復継続して売却する場合,Cは宅地建物取引業の免許を要しないが,Dが原野を10区画に区画割して宅地として分譲する場合,Dは宅地建物取引業の免許を要する。」 |
【正解:○】 ◆用途地域外で山林として売買する場合は宅地に該当しない Cが売却する土地は,都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域〔用途地域ではない〕にあるので,建物の敷地に供する目的で取引される場合には宅地になりますが,山林を山林として取引する場合には宅地にはなりません。 したがって,Cが,都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域において山林を山林として反復継続して売却する場合,宅建業には該当せず,宅建業の免許を要しません。 しかし,Dは宅地建物取引業の免許を必要とします。用途地域外の原野であっても宅地として不特定多数に分譲する場合には宅建業に該当するので,宅建業の免許を必要とします。
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3.「Eが土地を10区画に区画割して駐車場として賃貸する場合,Eは宅地建物取引業の免許を要しないが,Fが駐車場ビル10棟を建設し,Gが媒介して1棟ずつ売却する場合,F及びGは宅地建物取引業の免許を要する。」 |
【正解:○】 ◆駐車場ビルも建物に該当する Fが駐車場ビル10棟を建設して1棟ずつ売却する場合,Gに媒介を依頼してのものであっても,建物を不特定多数に反覆継続して売却することになるので,宅建業に該当し宅建業の免許を必要とします。〔駐車場ビルであっても建物に該当します。〕 Gは建物の売買の媒介を行うので,宅建業に該当し宅建業の免許を必要とします。
▼建物の一部を建物にカウントするのは,分譲マンションの専有部分の売買やアパートの一室の賃貸も含めるためです。 |
4.「Hが競売物件である宅地を自己用として購入する場合,Hは宅地建物取引業の免許を要しないが,I が営利を目的として競売物件である宅地を購入し,宅地建物取引業者を介して反復継続して売却する場合,I は宅地建物取引業の免許を要する。」 |
【正解:○】 ◆競売で購入した物件を反復継続して売却 宅地を競売で購入するのは宅建業には該当しないので,宅建業の免許は要りません。しかし,競売で購入した物件を反復継続して売却する場合には,宅建業に該当し,宅建業の免許を必要とします()。宅建業者に媒介を依頼したとしてもこのことに変わりはありません。
▼関連するものとして,<競売物件を競落する行為は,宅建業法上の「売買」にあたる>とした判例(刑事事件)があります(最高裁・平成16.12.10)。 |
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