宅建業法 実戦篇
報酬の限度額の過去問アーカイブス 平成6年・問48
宅地建物取引業者Aが甲の依頼を受け,宅地建物取引業者Bが乙の依頼を受けて,AB共同して甲乙間の契約を成立させ,報酬を受領した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。なお,Aは消費税の免税事業者,Bは消費税の課税事業者とし,消費税の免税事業者については,消費税及び地方消費税 (みなし仕入れ率) を考慮しないものとする。(平成6年・問48) |
1.「貸主甲の業務用建物を1月当たりの借賃100万円で乙が借りるとの賃貸借の媒介の場合,Aが甲より100万円,Bが乙より105万円受領した。」 |
2.「貸主甲の店舗用建物を権利金 (権利設定の対価として支払われる金銭で,返還されないものをいう。)500万円,1月当たりの借賃20万円で乙が借りるとの賃貸借の媒介の場合,Aが甲より21万円,Bが乙より20万6,000円受領した。」 |
3.「甲所有の宅地及び建物の代金をそれぞれ3,000万円及び2,000万円(消費税及び地方消費税込み)で乙が買うとの売買の媒介の場合,Aが甲より156万円,Bが乙より163万8,000円円受領した。」 |
4.「甲所有の宅地を代金4,000万円で乙が買うとの売買の媒介の場合,Aが甲より136万円,Bが乙より132万3,000円受領した。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
違反する | 違反しない | 違反する | 違反する |
1.「貸主甲の業務用建物を1月当たりの借賃100万円で乙が借りるとの賃貸借の媒介の場合,Aが甲より100万円,Bが乙より105万円受領した。」 |
【正解:違反する】 ◆権利金の授受のない事業用建物の賃貸借の媒介 賃貸借 権利金の授受のない業務用建物の貸借の媒介では,関係する宅建業者が受領する報酬の合計は借賃1ヵ月を超えることはできません(平成16.2.18 国土交通省告示第4)。 ⇒ 居住用の建物の貸借の媒介では,このほか,当事者の一方〔貸主又は借主〕から受領する報酬は承諾を得ている場合を除いて借賃の0.5ヵ月分を超えることはできないという規定が加わる。 したがって,A,Bが受領する報酬の合計は1月分の100万円を超えることはできないのですが,本肢ではA,Bの合計で200万円を受領しているので宅建業法に違反します。 ▼Bが受領した105万円には,消費税及び地方消費税相当額の5万円が含まれています。 |
2.「貸主甲の店舗用建物を権利金 (権利設定の対価として支払われる金銭で,返還されないものをいう。)500万円,1月当たりの借賃20万円で乙が借りるとの賃貸借の媒介の場合,Aが甲より21万円,Bが乙より20万6,000円受領した。」 |
【正解:違反しない】 ◆権利金の授受のある賃貸借の媒介 権利金の授受 非居住用建物又は宅地の貸借で,権利金の授受がある場合は,権利金を売買代金とみなして報酬を算出する方法を用いることができます(平成16.2.18 国土交通省告示第6)。 1) 報酬の限度額の基準を速算式で求める 速算法〔400万円超〕を使うと,報酬の限度額の基準は,500万円×3%+6万円=21万円 になります。 2) A(免税事業者),B(課税事業者)の報酬の限度額を求める A : 免税事業者なので,1) で求めた額21万円になる。 B : 課税事業者なので,消費税及び地方消費税相当額を加算する。 21万円+21万円×5%=21万円+1万500円=22万500円 本肢では,Aは21万円,Bは20万6千円を受領しているので,宅建業法に違反しません。
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3.「甲所有の宅地及び建物の代金をそれぞれ3,000万円及び2,000万円(消費税及び地方消費税込み)で乙が買うとの売買の媒介の場合,Aが甲より156万円,Bが乙より163万 8,000円受領した。」 |
【正解:違反する】 ◆宅地建物の売買の媒介 宅地建物の売買 1) 建物の価額を求める 土地に消費税はかかりませんが,建物の代金には消費税及び地方消費税が含まれているので,消費税及び地方消費税を控除した建物のみの価額を求めます。 建物のみの価額 2,000万円×100/105=1,904.7619・・・ 約1,905万円 したがって,建物+宅地の価額は 約4,905万円 になります。 2) 報酬の限度額の基準を速算式で求める 速算法〔400万円超〕を使うと,報酬の限度額の基準は, 4,905万円×3%+6万円=147万1,500円 3) A(免税事業者),B(課税事業者)の報酬の限度額を求める A : 免税事業者なので,1) で求めた額147万1,500円になる。 B : 課税事業者なので,消費税及び地方消費税相当額を加算する。 147万1,500円+147万1,500円×5%=147万1,500円+73,575円=154万5,075円 本肢では,Aが甲より156万円,Bが乙より163万8千円を受領しているので,宅建業法に違反します。 ▼上のようにコマカイ計算をしなくても,ここはグッと一睨みで, Aが甲より156万円・・・5,000万円×3%+6万円 であることから,建物の代金から消費税及び地方消費税を控除しないで,報酬の額を計算しているな,と気がつきます。 |
4.「甲所有の宅地を代金4,000万円で乙が買うとの売買の媒介の場合,Aが甲より136万円,Bが乙より132万3,000円受領した。」 |
【正解:違反する】 ◆宅建業法 宅地の売買 1) 報酬の限度額の基準を速算式で求める 4,000万円の3%+6万円=120万円+6万円=126万円 2) A(免税事業者),B(課税事業者)の報酬の限度額を求める A : 免税事業者なので,1) で求めた額126万円になる。 B : 課税事業者なので,消費税及び地方消費税相当額を加算する。 126万円+126万円×5%=126万円+6万3千円=132万3千円 本肢では,Aは136万円,Bは132万3千円を受領しているので,Aの136万円は宅建業法に違反する。 |
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