宅建業法 実戦篇
宅建業者と取引主任者の過去問アーカイブス 平成6年・問49
主任者証の有効期間・登録の消除・免許の更新・免許の取消し等に伴う取引の結了
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。(平成6年・問49) |
1.「取引主任者Aが,取引主任者証の有効期間満了前に都道府県知事の指定する講習を受けることができなくて,取引主任者証の有効期間を更新することができなかった場合,Aは,その受講できなかったことに特別の事情があるとしても,当該有効期間満了後は,取引主任者の業務を行うことはできない。」 |
2.「取引主任者Bが不正の手段により宅地建物取引主任者資格試験を受験したとして,その合格を取り消され,登録を消除されたときは,Bは,その翌日重要事項説明をする約束があっても,その業務を行うことはできない。」 |
3.「宅地建物取引業者Cの免許の有効期間が満了した場合,Cが当該有効期間満了前に所定の免許の更新の申請をしていても,その申請についての処分がなされるまでの間,Cは,宅地建物取引業の業務を行うことはできない。」 |
4.「宅地建物取引業者Dが不正の手段により免許を取得したとして,その免許を取り消された場合でも,Dがその取消し前に締結した宅地の売買契約に基づき行う債務の履行については,宅地建物取引業法第12条の無免許事業の禁止規定に違反しない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
1.「取引主任者Aが,取引主任者証の有効期間満了前に都道府県知事の指定する講習を受けることができなくて,取引主任者証の有効期間を更新することができなかった場合,Aは,その受講できなかったことに特別の事情があるとしても,当該有効期間満了後は,取引主任者の業務を行うことはできない。」 |
【正解:○】 ◆取引主任者証の更新 取引主任者証の交付を受けていない者や取引主任者証の更新をしていない者は,単に登録者であるにとどまり,取引主任者ではない(宅建業法・15条1項本文)ので,取引主任者の事務〔35条書面の記名押印・交付,重要事項の説明,37条書面の記名押印〕を行うことはできません。 本肢では,更新前に必ず受講しなければならない法定講習を受講していないので,取引主任者証の更新を受けることはできません(宅建業法・22条の2第2項)。 このため,Aは,有効期間満了後は,取引主任者の事務を行うことはできません。 ▼取引主任者証が効力を失ったときは,速やかに,その交付を受けた都道府県知事に返納しなければなりません(宅建業法・22条の2第6項)。 |
2.「取引主任者Bが不正の手段により宅地建物取引主任者資格試験を受験したとして,その合格を取り消され,登録を消除されたときは,Bは,その翌日重要事項説明をする約束があっても,その業務を行うことはできない。」 |
【正解:○】 ◆合格の取消等 都道府県知事は,不正の手段により宅地建物取引主任者資格試験を受験した者に対して,その合格を取り消し,又はその試験を受けることを禁止することができます。〔情状により3年以内の期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。〕(宅建業法・17条1項,3項) また,都道府県知事は,不正の手段により登録を受けた者や取引主任者証の交付を受けた者の登録を消除しなければなりません(宅建業法・68条の2第1項2号,3号)。 登録を消除されたときは,その翌日に重要事項説明をする約束があっても,取引主任者の事務を行うことはできません。 |
3.「宅地建物取引業者Cの免許の有効期間が満了した場合,Cが当該有効期間満了前に所定の免許の更新の申請をしていても,その申請についての処分がなされるまでの間,Cは,宅地建物取引業の業務を行うことはできない。」 |
【正解:×】 ◆更新の申請後,有効期間の満了日までに処分がなされないときの免許の効力 有効期間満了前に免許の更新の申請をしていれば,有効期間が満了した場合であっても,その申請についての処分がなされるまでの間,宅建業の業務を行うことができる(宅建業法3条4項)ので,本肢は誤りです。 ▼この規定は,免許の更新の申請をしたにもかかわらず,有効期間満了日までに更新の処分がなされなかった場合の救済措置です。 |
4.「宅地建物取引業者Dが不正の手段により免許を取得したとして,その免許を取り消された場合でも,Dがその取消し前に締結した宅地の売買契約に基づき行う債務の履行については,宅地建物取引業法第12条の無免許事業の禁止規定に違反しない。」 |
【正解:○】 ◆免許の取消等に伴う取引の結了 <有効期間が満了したとき>,<破産手続き開始の決定・解散・廃業の届出により免許が効力を失ったとき>,<宅建業者の死亡,合併による法人の消滅>,<営業保証金を供託した旨の届出をしなかったことや不正手段による免許取得等で,免許取消処分を受けたとき>は,宅建業者であった者やその一般承継人は,すでに締結していた契約に基づく取引を結了する目的の範囲内では,なお宅建業者とみなされます(宅建業法・76条)。 したがって,本肢のように免許取消前に締結した契約の履行について,無免許事業の禁止規定に違反することはありません。 |
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