宅建業法 実戦篇
営業保証金の過去問アーカイブス 平成7年・問36
宅地建物取引業者Aは,甲県に本店 a と支店 b を設けて,額面金額1,000万円の国債証券と500万円の金銭を供託して営業している。この場合,宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。なお,本店a と支店b とは,もよりの供託所を異にするものとする。(平成7年・問36) |
1.「Aは,額面金額1,000万円の国債証券を取り戻すため,額面金額が同額である地方債証券及び100万円の金銭を新たに供託したときは,遅滞なく,甲県知事に営業保証金の変換の届出をしなければならない。」 |
2.「Aは,b を本店とし,a を支店としたときは,a のもよりの供託所に費用を予納して,b のもよりの供託所への営業保証金の保管替えを請求することができる。」 |
3.「Aは,営業保証金が還付されたため甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けたときは,その日から14日以内に不足額を供託しなければならない。」 |
4.「Aは,宅地建物取引業保証協会の社員となったときは,還付請求権者に対する公告をせず,直ちに営業保証金を取り戻すことができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「Aは,額面金額1,000万円の国債証券を取り戻すため,額面金額が同額である地方債証券及び100万円の金銭を新たに供託したときは,遅滞なく,甲県知事に営業保証金の変換の届出をしなければならない。」 |
【正解:○】平成20年・問34・肢3, ◆営業保証金の変換
宅建業者は,営業保証金の変換のために新たに供託したときは,遅滞なく,その旨を,供託金正本の写しを添付して,免許権者に届け出なければいけません(宅建業法施行規則15条の4の2)。 国債証券は額面金額そのものを評価されますが,地方債証券では額面の90%に評価されるので,本肢では,国債証券1,000万円に代わるものとして,地方債証券(額面1,000万円)とともに,100万円の金銭を供託しています。 ●本肢での営業保証金の変換
◆有価証券の額面の評価額
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2.「Aは,b を本店とし,a を支店としたときは,a のもよりの供託所に費用を予納して,b のもよりの供託所への営業保証金の保管替えを請求することができる。」 |
【正解:×】 ◆保管替えと二重供託
営業保証金は主たる事務所の最寄の供託所に供託しなければなりません(宅建業法25条1項)。a とb とは,もよりの供託所を異にするので,主たる事務所がbになったときは,営業保証金を供託する供託所はbの最寄の供託所に変更になります。 主たる事務所を移転したために最寄の供託所が変更した場合に,金銭のみで営業保証金を供託しているときは,費用を予納して,営業保証金を供託している供託所に対し,移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求できます(保管替え,宅建業法29条1項)。 しかし,供託方法が,有価証券のみ,又は有価証券+金銭の場合は,この保管替えの請求をすることはできません。 この場合は,遅滞なく,営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければいけません。(一時的に,移転前に供託していた営業保証金と二重供託になります。) ▼移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金を供託した後は,移転前に供託していた営業保証金は公告をしなくても取り戻しをすることができます(宅建業法30条2項)。 |
●営業保証金の保管替え等 |
(営業保証金の保管替え等) 第29条 宅地建物取引業者は、その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもつて営業保証金を供託しているときは、法務省令・国土交通省令の定めるところにより、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求し、その他のときは、遅滞なく、営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。 2 第25条第2項及び第3項の規定は、前項の規定により供託する場合に準用する。 (営業保証金の供託等) 3 第一項の営業保証金は、国土交通省令の定めるところにより、国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券(社債等の振替に関する法律 (平成13年法律第75号)第百29条第1項 に規定する振替社債等を含む。)をもつて、これに充てることができる。 |
3.「Aは,営業保証金が還付されたため甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けたときは,その日から14日以内に不足額を供託しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆営業保証金の不足額の供託 営業保証金が還付されたため免許権者から通知書の送付を受けたときは,その日から2週間以内 (14日以内) に不足額を供託しなければなりません(宅建業法28条1項)。
▼不足額を供託した後は,2週間以内に,その旨を免許権者に届け出なければなりません(宅建業法28条2項)。 |
4.「Aは,宅地建物取引業保証協会の社員となったときは,還付請求権者に対する公告をせず,直ちに営業保証金を取り戻すことができる。」 |
【正解:○】 ◆公告をしないで取戻しができるとき 保証協会の社員となったときは,還付請求権者に対する公告をせず,直ちに営業保証金を取り戻すことができます(宅建業法64条の14)。
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