宅建業法 実戦篇
重要事項の説明 (35条) の過去問アーカイブス 平成8年・問35
マンションの専有部分の貸借の媒介・代理
マンション (区分所有建物) の貸借の媒介をする場合に,宅地建物取引業法第35条の規定に基づき重要事項として必ず説明しなければならない事項は,次のうちどれか。(平成8年・問35) |
1.「用途地域内における建築物の用途制限に関する事項の概要」 |
2.「私道に関する負担に関する事項」 |
3.「敷金その他契約終了時に精算することとされている金銭の精算に関する事項」 |
4.「マンションの敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定めの内容」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
説明義務はない | 説明義務はない | 説明義務がある | 説明義務はない |
●マンションの貸借特有の重要事項 | ||
マンションの専有部分の貸借の媒介・代理では,一般の建物の媒介・代理での重要事項に加えて,以下の2つを重要事項として説明しなければなりません。
・区分所有法第2条第3項 に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容 (宅建業法施行規則16条の2第3号)。
・当該一棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあつては、その商号又は名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事務所の所在地) (宅建業法施行規則16条の2第8号)。
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1.「用途地域内における建築物の用途制限に関する事項の概要」 |
【正解:説明義務はない】 ◆用途地域内の用途制限 専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは,その内容を重要事項として説明する義務がありますが (宅建業法35条1項6号,施行規則16条の2第3号),そのマンションの属する用途地域内の建物の用途制限について説明する義務はありません。 宅地の貸借の媒介・代理では,当該宅地の属する用途地域内の建築物の用途制限によっては,借地上に予定している建築物が建てられなくなるので,説明する義務があります (宅建業法施行令3条2項)。しかし,建物の貸借の媒介・代理では重要事項として説明する義務はありません(宅建業法施行令3条3項)。 |
2.「私道に関する負担に関する事項」 |
【正解:説明義務はない】 ◆私道に関する負担 建物の貸借以外の契約【宅地建物の売買・交換,宅地の貸借】では,私道負担については重要事項として説明する義務があります(宅建業法35条1項3号)。 しかし,建物の貸借の媒介・代理では,私道負担については重要事項として説明する義務はありません。
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3.「敷金その他契約終了時に精算することとされている金銭の精算に関する事項」 |
【正解:説明義務がある】 ◆金銭の精算に関する事項 宅地・建物の貸借では,原状回復など退去時のトラブルが多く,<敷金その他契約終了時に精算することとされている金銭の精算に関する事項>も,重要事項として説明する義務があります。
▼37条書面でも,<借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的 >は記載義務があります(宅建業法37条2項3号)。しかし,金銭の精算に関する事項は,37条書面では記載義務はありません。 |
4.「マンションの敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定めの内容」 |
【正解:説明義務はない】 ◆特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定め・案 マンションの専有部分の売買・交換では,<当該一棟の建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定め(その案を含む。)があるときは,その内容 >は重要事項として説明する義務があります。 しかし,マンションの専有部分の貸借の媒介・代理では,重要事項として説明する義務はありません。 ▼マンションの法定共用部分である敷地や建物の一部を特定の者に使用させるのは,トラブルの原因になることがあるので,マンションの専有部分の売買・交換では重要事項として説明することになっています (施行規則16条の2第4号)。 |