宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 平成8年・問43
主任者の補充・主任者証の書換え交付・専任主任者の変更・未成年の専任主任者
宅地建物取引業者である法人A (甲県知事免許) の事務所において,専任の取引主任者で成年者であるもの (以下この問において 「専任主任者」 という。) に1名の不足が生じた場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成8年・問43) |
1.「Aは,取引主任者Bを新たに専任主任者とした場合は,30日以内に,Bの氏名及び住所を甲県知事に届け出なければならない。」 |
2.「Aが,甲県知事から宅地建物取引主任者証の交付を受けているCを専任主任者とした場合,Cは,同知事にその書換え交付を申請しなければならない。」 |
3.「Aの役員であり,かつ,当該事務所で宅地建物取引業以外の業務に従事していた取引主任者Dを主として宅地建物取引業の業務に従事させることとした場合,Aは,専任主任者の変更について甲県知事に届出をする必要はない。」 |
4.「宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する20歳未満の者 (婚姻はしていない。) である取引主任者Eは,Aの役員であるときを除き,専任主任者となることができない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「Aは,取引主任者Bを新たに専任主任者とした場合は,30日以内に,Bの氏名及び住所を甲県知事に届け出なければならない。」 |
【正解:×】 ◆変更の届出 専任の取引主任者の住所は,宅建業者名簿の登載事項ではないので,新たな専任の取引主任者については氏名だけを届け出ればよいことになります(宅建業法9条,8条2項6号)。 したがって,本肢は誤りです。
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2.「Aが,甲県知事から宅地建物取引主任者証の交付を受けているCを専任主任者とした場合,Cは,同知事にその書換え交付を申請しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆取引主任者証の書換え交付 取引主任者証の記載事項である住所や氏名が変更になったときは,変更の登録を申請すると同時に,取引主任者証の書換え交付も申請しなければなりません(宅建業法20条,施行規則14条の13第1項)。 しかし,従事している宅建業者の名称・勤務場所・専任かどうかは,取引主任者証の記載事項ではないので,書換え交付を申請する必要はなく※,Aの専任主任者になったからと言って,Cは,書換え交付を申請する必要はありません。 ※勤務場所の変更や専任になった場合は変更の登録を申請する必要はありません。しかし,宅建業者の名称が変更になったときは変更の登録は申請しなければなりません。
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3.「Aの役員であり,かつ,当該事務所で宅地建物取引業以外の業務に従事していた取引主任者Dを主として宅地建物取引業の業務に従事させることとした場合,Aは,専任主任者の変更について甲県知事に届出をする必要はない。」 |
【正解:×】 ◆取引主任者の変更 専任の取引主任者に変更があったときは,30日以内に免許権者に届け出なければいけないので(宅建業法9条,8条2項6号),本肢は誤りです。 ▼宅建業に従事していなかった役員が宅建業に従事することになると,その者が自ら主として業務に従事する事務所等については,その者は,その事務所等に置かれる成年者である専任の取引主任者とみなされます(宅建業法15条2項)。 |
4.「宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する20歳未満の者 (婚姻はしていない。) である取引主任者Eは,Aの役員であるときを除き,専任主任者となることができない。」 |
【正解:○】対比 : 平成5年・問37・肢1, ◆未成年者が専任の取引主任者になるとき 未成年者であっても,宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有していれば,登録を受けることができます。したがって,宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有していれば取引主任者になることはできます。 しかし,宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有していても,原則として,専任の取引主任者になることはできないと解されています(宅建業法15条1項)。 この例外に当たるのが次のケースです。 宅建業者が取引主任者であるとき,または,宅建業者である法人の役員であるときは,自ら主として業務に従事する事務所等では,その者がその事務所等に置かれる成年の専任の取引主任者であるとみなされます(宅建業法15条2項)。
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●専任の取引主任者 | ||||||||||||||
未成年者のうち,民法6条1項の規定により成年者と同一の行為能力を有する者は,個人業者であるとき,または宅建業者である法人の役員のときは,専任の取引主任者とみなされます。 ⇒ 註
註 個人の宅建業者本人が取引主任者であるとき,又は,宅建業者が法人で,その役員(業務を執行する社員,取締役又はこれらに準ずる者)が取引主任者であるときは,その者が自ら主として業務に従事する事務所等については,その者は,その事務所等に置かれる成年者である専任の取引主任者とみなされる(宅建業法15条2項)。 |
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