宅建業法 実戦篇
監督処分の過去問アーカイブス 平成10年・問32 誇大広告等の禁止
宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が,その業務に関して広告をし,宅地建物取引業法第32条 (誇大広告等の禁止)の規定に違反し,又は違反している疑いがある場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成10年・問32) |
1.「Aが同条の規定に違反した場合,甲県知事は,Aに対して業務の停止を命ずるとともに,実際に広告に関する事務を行った取引主任者に対して必要な指示をすることができる。」 |
2.「乙県知事は,Aが乙県の区域内における業務に関し同条の規定に違反している疑いがある場合,2週間以内にその旨を甲県知事に通知しなければならない。」 |
3.「Aが同条の規定に違反した場合,甲県知事は,Aに対し,行政手続法の規定による意見陳述のための手続の区分に従い,弁明の機会を付与して,業務の停止を命ずることができる。」 |
4.「Aが乙県の区域内における業務に関し同条の規定に違反し,乙県知事から業務停止処分を受けた場合で,Aがその処分に違反したとき,甲県知事は,Aの免許を取り消さなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「Aが同条の規定に違反した場合,甲県知事は,Aに対して業務の停止を命ずるとともに,実際に広告に関する事務を行った取引主任者に対して必要な指示をすることができる。」 |
【正解:×】 ◆取引主任者に対する指示処分は,取引主任者の事務に関するもののみ 国土交通大臣または都道府県知事は,宅建業者が誇大広告等の禁止に違反した場合は,監督処分として業務停止処分〔国土交通大臣はその免許を受けた宅建業者に対してのみ〕をすることができます(宅建業法65条2項2号)。 しかし,広告に関する事務を行ったからといって取引主任者に対する指示をすることはできないので,本肢は誤りです。 都道府県知事が指示処分をすることができるのは,取引主任者の名義貸しや取引主任者として行う事務に関して不正または著しく不当な行為をしたとき等です(宅建業法68条1項)。 |
2.「乙県知事は,Aが乙県の区域内における業務に関し同条の規定に違反している疑いがある場合,2週間以内にその旨を甲県知事に通知しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆他の都道府県知事免許業者が違反したとき 都道府県知事は,その都道府県内で,国土交通大臣免許業者や他の都道府県知事免許業者が宅建業法に違反する行為を行ったときは,指示処分や業務停止処分をすることができます(宅建業法65条3項,4項)。 しかし,免許権者に通知しなければならないという規定はないので,本肢は誤りです。 |
3.「Aが同条の規定に違反した場合,甲県知事は,Aに対し,行政手続法の規定による意見陳述のための手続の区分に従い,弁明の機会を付与して,業務の停止を命ずることができる。」 |
【正解:×】 ◆聴聞 行政手続法では,行政庁が不利益処分を行う場合は,意見陳述の手続きの区分によって,弁明の機会の付与と聴聞のどちらかをすることになっています(行政手続法13条1項)。 しかし,宅建業法では,宅建業者への指示処分・業務停止処分,取引主任者への指示処分・業務停止処分も,処分の前に,弁明の機会の付与ではなく,聴聞を行わなければならないとしています(宅建業法69条1項)。 したがって,「弁明の機会を付与して,業務の停止を命ずることができる」とする本肢は誤りです。
▼所在不確知の場合の免許取消では,行政手続法の規定は適用されないので,聴聞を行わずに免許が取り消されます(宅建業法67条1項)。 |
4.「Aが乙県の区域内における業務に関し同条の規定に違反し,乙県知事から業務停止処分を受けた場合で,Aがその処分に違反したとき,甲県知事は,Aの免許を取り消さなければならない。」 |
【正解:○】 ◆業務停止処分に従わなかったときは免許取消 宅建業者が業務停止処分を受けたのに従わない場合,免許取消処分になります。 都道府県知事は,その免許を受けている宅建業者が,他の都道府県知事から受けた業務停止処分に違反したときは,その免許を取り消さなければなりません(宅建業法66条1項9号)。
▼国土交通大臣も,その免許を受けている宅建業者が,都道府県知事から受けた業務停止処分に従わなかった場合,その免許を取り消さなければなりません(宅建業法66条1項9号)。 |
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