宅建業法 実戦篇
37条書面の過去問アーカイブス 平成10年・問43 定期借地権付建物
宅地建物取引業者Aが,宅地の所有者Bから定期借地権 (借地借家法第22条)の設定を受けてその宅地に建物を建築し,Bの承諾を得て定期借地権付きで建物をCに売却する契約を締結した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。なお,この問において,「37条書面 」とは,同法第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面をいうものとする。(平成10年・問43) |
1.「Aは,Cに対し,取引主任者をして,建物の敷地に関する権利が定期借地権である旨を記載した37条書面を交付して説明をさせなければならない。」 |
2.「Aは,当該契約を締結する時に建物の完成時期が確定していない場合でCの了解を得たとき,37条書面に建物の引渡しの時期を記載する必要はない。」 |
3.「Aは,37条書面に,定期借地権の存続期間終了時における建物の取壊しに関する事項の内容を記載しなければならない。」 |
4.「Aは,取引主任者をして37条書面に記名押印させなければならず,これに違反したときは,指示処分を受けるほか,罰金に処せられることがある。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「Aは,Cに対し,取引主任者をして,建物の敷地に関する権利が定期借地権である旨を記載した37条書面を交付して説明をさせなければならない。」 |
【正解:×】 ◆37条書面 宅建業法では,37条書面は宅建業者が取引主任者に記名押印させ,宅建業者は遅滞なく交付することが義務付けられていますが,説明することまでは義務付けられていません。 また,取引主任者に交付・説明させるという規定もないので,本肢は誤りです。 ▼借地権付建物の売買〔媒介・代理も〕では,35条の重要事項として,定期借地権である旨を説明する義務があるものと考えられますが(解釈・運用の考え方),37条書面の記載事項としては宅建業法では明記されていません。 |
●宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 (国土交通省) |
第35条第1項関係 (1) 宅地建物取引業者が、借地権付建物の売買等を行う場合においては、建物と敷地の権利関係の重要性にかんがみ、当該借地権の内容について説明することとする。 |
2.「Aは,当該契約を締結する時に建物の完成時期が確定していない場合でCの了解を得たとき,37条書面に建物の引渡しの時期を記載する必要はない。」 |
【正解:×】 ◆引渡しの時期 引渡しの時期は,37条書面に必ず記載しなければならない事項です(宅建業法37条1項4号)。 建物の完成時期が確定していない場合で,買主の了解を得ていたとしても,引渡しの時期が確定していない旨を記載しなければならないので,本肢は誤りです。 |
3.「Aは,37条書面に,定期借地権の存続期間終了時における建物の取壊しに関する事項の内容を記載しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆建物の取壊しに関する事項は37条書面の記載事項ではない 35条では,宅地の貸借の媒介・代理の重要事項として,<契約終了時における当該宅地の上の建物の取壊しに関する事項を定めようとするときは、その内容>を説明しなければなりません(宅建業法35条1項14号,施行規則16条の4の3第12号)。 しかし,37条書面では,記載事項ではないので,本肢は誤りです。 |
4.「Aは,取引主任者をして37条書面に記名押印させなければならず,これに違反したときは,指示処分を受けるほか,罰金に処せられることがある。」 |
【正解:○】 ◆37条書面の記名押印を取引主任者にさせなかったとき 宅建業者は,37条書面を作成したときは,取引主任者をして,記名押印させなければなりません(宅建業法37条3項)。 これに違反したときは,監督処分としては指示処分を受けるほか(宅建業法65条1項),罰則としては50万円以下の罰金に処せられます(宅建業法83条1項2号)。 |
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