宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 平成12年・問31
宅地建物取引主任者 (以下「取引主任者」という。) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成12年・問31) |
1.「宅地建物取引業者が,宅地建物取引業法第35条の規定に基づき重要事項の説明をさせる場合の取引主任者は,必ずしも成年者である専任の取引主任者である必要はない。」 |
2.「宅地建物取引業者が,自ら売主として建物を販売した場合に,その相手方が宅地建物取引業者であれば,宅地建物取引業法第37条の規定に基づき交付すべき書面には,取引主任者をして記名押印させる必要はない。」 |
3.「宅地建物取引業者の従業者である取引主任者は,正当な理由がある場合又はその従業者でなくなった場合を除き,宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」 |
4.「宅地建物取引業者は,その事務所に備える従業者名簿に,従業者が取引主任者であるか否かの別を記載しなかった場合,業務停止の処分を受けることがあるが,罰金の刑に処せられることはない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
1.「宅地建物取引業者が,宅地建物取引業法第35条の規定に基づき重要事項の説明をさせる場合の取引主任者は,必ずしも成年者である専任の取引主任者である必要はない。」 |
【正解:○】 ◆重要事項の説明−成年者かつ専任の取引主任者でなくてもよい 宅建業者は,取引主任者をして,重要事項を書面を交付して説明させなければなりませんが,成年者で専任の取引主任者にさせなければならないという規定はありません(宅建業法35条1項)。 35条書面の記名押印,37条書面の記名押印も,取引主任者にさせればよいので,成年者で専任の取引主任者にさせなければならないという規定はありません。 したがって,35条書面の記名押印・交付,重要事項の説明,37条書面の記名押印の全てについて,パートやアルバイトの取引主任者にさせてもよいことになります。 ▼宅建業法では,「事務所」及び「契約行為等を行う案内所・展示会場・出張所等」に,成年者の専任の取引主任者を設置する義務がありますが, 取引主任者の行う事務については,「成年者で専任」の取引主任者がしなければならないということではありません。 |
2.「宅地建物取引業者が,自ら売主として建物を販売した場合に,その相手方が宅地建物取引業者であれば,宅地建物取引業法第37条の規定に基づき交付すべき書面には,取引主任者をして記名押印させる必要はない。」 |
【正解:×】 ◆37条書面の記名押印 取引の相手方が宅建業者であっても,取引主任者に37条書面に記名押印させなければなりません(宅建業法37条1項)。 宅建業者相互間の取引で宅建業法が適用されないのは,自ら売主の8種制限のみだからです(宅建業法78条2項)。 |
3.「宅地建物取引業者の従業者である取引主任者は,正当な理由がある場合又はその従業者でなくなった場合を除き,宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」 |
【正解:×】 ◆秘密を守る義務 宅建業者の使用人その他の従業者は,正当な理由がある場合でなければ,宅建業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはいけません(宅建業法75条の2)。 宅建者の使用人その他の従業者でなくなった後であつても,漏らしてはいけないので,本肢は誤りです。 ●秘密を守る義務に違反した場合
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●秘密を守る義務 |
(秘密を守る義務) 第45条 宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。宅地建物取引業を営まなくなつた後であつても、また同様とする。 (宅地建物取引業者の使用人等の秘密を守る義務) 第75条の2 宅地建物取引業者の使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。宅地建物取引業者の使用人その他の従業者でなくなつた後であつても、また同様とする。 |
4.「宅地建物取引業者は,その事務所に備える従業者名簿に,従業者が取引主任者であるか否かの別を記載しなかった場合,業務停止の処分を受けることがあるが,罰金の刑に処せられることはない。 」 |
【正解:×】 ◆従業者名簿 従業者が取引主任者であるか否かの別は,従業者名簿に必ず記載しなければならない事項です。 宅建業者が,従業者名簿に記載しなければならない事項を記載しなかった場合は,監督処分〔業務停止処分〕の対象になるとともに,罰則の適用〔50万円以下の罰金〕も受けるので,本肢は誤りです(宅建業法65条1項2号,)。
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