宅建業法 実戦篇
クーリングオフの過去問アーカイブス 平成12年・問41
売主を宅地建物取引業者であるA,買主を宅地建物取引業者でないBとする宅地の売買契約について,Bが,宅地建物取引業法第37条の2 (事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等) の規定に基づき売買契約の解除を行う場合に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成12年・問41) |
1.「Aが,売買契約を締結した際に,売買契約の解除ができる旨及びその方法について口頭のみで告知した場合は,その告知した日から起算して10日後で,かつ,代金の一部を支払った後であっても,Bは,当該売買契約を解除することができる。」 |
2.「Aが,電話によりBの勤務先で売買契約に関する説明をする旨を申し出て,Bの勤務先を訪問し,そこで売買契約を締結した場合は,Bは,当該売買契約を解除することができない。」 |
3.「Aが,一団の宅地の分譲について宣伝のみを行う現地案内所でBに契約に関する説明を行い,翌日Aの事務所等の近くのホテルのロビーで売買契約を締結した場合は,Bは,当該売買契約を解除することができる。」 |
4.「Bが,売買契約を締結した後,Aから宅地の引渡しを受け,かつ,その代金の全部を支払った場合は,売買契約の解除ができる旨及びその方法について告知を受けていないときでも,Bは,当該売買契約を解除することができない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「Aが,売買契約を締結した際に,売買契約の解除ができる旨及びその方法について口頭のみで告知した場合は,その告知した日から起算して10日後で,かつ,代金の一部を支払った後であっても,Bは,当該売買契約を解除することができる。」 |
【正解:○】 ◆書面で告げられた日から起算する 契約の解除ができる旨及びその方法について,書面で告げられた日から起算して8日を経過すると,クーリングオフはできなくなります(宅建業法37条の2第1項第1号)。 しかし,口頭のみで告げられた場合は,起算日が定まっていないため,いつでもクーリングオフの規定による解除をすることができます。 ▼宅地又は建物の引渡しを受け,かつ,代金全額を支払うと,クーリングオフの規定による解除をすることはできなくなります(宅建業法37条の2第1項第2号)。しかし,本肢では代金の一部を支払ったに過ぎないので,クーリングオフによる解除をすることができるわけです。 |
2.「Aが,電話によりBの勤務先で売買契約に関する説明をする旨を申し出て,Bの勤務先を訪問し,そこで売買契約を締結した場合は,Bは,当該売買契約を解除することができない。」 |
【正解:×】 ◆買主の勤務先 宅建業者でない買主の申出により,その自宅又は勤務する場所で売買契約が締結された場合,その相手方の自宅又は勤務する場所は「事務所等」に該当し,クーリングオフの規定による解除することはできません(宅建業法37条の2第1項,施行規則16条の5第2号)。 しかし,本肢の場合,売主Aの宅建業者からの申出により,買主Bの勤務先で,契約を締結しているため,「事務所等」(クーリングオフの規定による解除ができない)には該当しません。 したがって,買主Bはクーリングオフの規定による解除をすることができるので,本肢は誤りです。
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3.「Aが,一団の宅地の分譲について宣伝のみを行う現地案内所でBに契約に関する説明を行い,翌日Aの事務所等の近くのホテルのロビーで売買契約を締結した場合は,Bは,当該売買契約を解除することができる。」 |
【正解:○】 ◆ホテルのロビー ホテルのロビーは,クーリングオフの規定の適用がある『事務所等以外』に該当します。 ホテルのロビーで売買契約を締結した場合,宅建業者ではない買主Bは,クーリングオフの規定による解除をすることができます。 |
4.「Bが,売買契約を締結した後,Aから宅地の引渡しを受け,かつ,その代金の全部を支払った場合は,売買契約の解除ができる旨及びその方法について告知を受けていないときでも,Bは,当該売買契約を解除することができない。」 |
【正解:○】 ◆クーリングオフできない場合−引渡しを受け,かつ,代金全額を支払ったとき 宅地又は建物の引渡しを受け,かつ,代金全額を支払うと,クーリングオフの規定が適用される場所で契約が締結されたとしても,クーリングオフの規定による解除をすることはできなくなります(宅建業法37条の2第1項第2号)。 |
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