宅建業法 実戦篇
監督処分の過去問アーカイブス 平成12年・問43
宅地建物取引業者A (甲県知事免許) に対する監督処分に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,誤っているものはどれか。(平成12年・問30) |
1.「Aが,乙県の区域内におけるAの業務に関し乙県知事から受けた業務停止の処分に違反した場合,乙県知事は,Aの免許を取り消すことができる。」 |
2.「国土交通大臣は,Aに対し宅地建物取引業の適正な運営を確保し,又は健全な発達を図るため必要な指導,助言及び勧告をすることはあっても,Aの免許を取り消すことはできない。」 |
3.「Aの取引主任者が,乙県の区域内におけるAの業務を行う場合に,取引主任者としての事務に関し著しく不当な行為をして乙県知事から指示の処分を受けたとき,乙県知事は,Aに対しても指示の処分をすることがある。」 |
4.「乙県知事は,乙県の区域内におけるAの業務に関しAに対し指示の処分をした場合は,遅滞なく,その旨を甲県知事に通知しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
1.「Aが,乙県の区域内におけるAの業務に関し乙県知事から受けた業務停止の処分に違反した場合,乙県知事は,Aの免許を取り消すことができる。」 |
【正解:×】 ◆免許権者以外は,免許の取消をすることはできない 都道府県知事は,当該都道府県の区域内において,国土交通大臣又は他の都道府県知事の免許を受けた宅建業者が行った一定の行為について,指示処分や業務停止処分をすることができますが(宅建業法65条3項,4項),免許を取り消すことはできないので,本肢は誤りです。 |
2.「国土交通大臣は,Aに対し宅地建物取引業の適正な運営を確保し,又は健全な発達を図るため必要な指導,助言及び勧告をすることはあっても,Aの免許を取り消すことはできない。」 |
【正解:○】 ◆指導等 国土交通大臣はすべての宅建業者に対して,宅建業の適正な運営を確保し,又は宅建業の健全な発達を図るため必要な指導,助言及び勧告をすることができます(宅建業法71条)。 しかし,免許取消処分をすることができるのは, 国土交通大臣が免許を与えた宅建業者に対してのみです。 ▼都道府県知事も,当該都道府県の区域内で宅建業を営む宅建業者に対して,宅建業の適正な運営を確保し,又は宅建業の健全な発達を図るため必要な指導,助言及び勧告をすることができます(宅建業法71条)。 |
3.「Aの取引主任者が,乙県の区域内におけるAの業務を行う場合に,取引主任者としての事務に関し著しく不当な行為をして乙県知事から指示の処分を受けたとき,乙県知事は,Aに対しても指示の処分をすることがある。」 |
【正解:○】 ◆取引主任者が指示処分を受けたとき 取引主任者が指示処分,事務禁止処分,登録消除処分を受けた場合に,宅建業者の責めに帰すべき理由があるときは,その宅建業者に対して,指示処分・業務停止処分〔情状が特に重いときは,免許権者は免許取消処分を行わなければならない。〕をすることができます(宅建業法65条1項4号,2項1号の2,66条1項9号)。 ▼都道府県知事は,当該都道府県の区域内において,他の都道府県知事の登録を受けている取引主任者が行った一定の行為に対し,指示処分や事務禁止処分をすることができます(宅建業法68条3項4項)。 |
4.「乙県知事は,乙県の区域内におけるAの業務に関しAに対し指示の処分をした場合は,遅滞なく,その旨を甲県知事に通知しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆他の都道府県知事への通知 都道府県知事が,国土交通大臣免許業者,または,他の都道府県知事免許業者に対して,指示処分や業務停止処分をしたときは,遅滞なく,その旨を, 当該宅建業者が国土交通大臣の免許業者のときは国土交通大臣に報告し, 当該宅建業者が他の都道府県知事免許業者のときは当該他の都道府県知事に通知しなければなりません(宅建業法70条3項)。 ▼この通知または報告により,宅地建物取引業者名簿に,指示処分または業務停止処分があった年月日,その内容が登載されます(宅建業法8条2項8号,施行規則5条1号)。 |
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