宅建業法 実戦篇
クーリングオフの過去問アーカイブス 平成13年・問44
宅地建物取引業者でないAは,宅地建物取引業者Bに対し,Bが売主である宅地建物について,Aの自宅付近の喫茶店で,その買受けの申込みをした。この場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。(平成13年・問44) |
1.「Bは,申込みの撤回ができる旨及び撤回の方法の告知は書面で行う必要があるが,口頭で告知した2日後に書面を交付した場合,申込みの撤回が可能な期間の起算日は,口頭での告知のあった日である。」 |
2.「Aは,申込みの撤回を書面により行う必要があり,その効力は,Aが申込みの撤回を行う旨の書面を発した時に生ずる。」 |
3.「買受けの申込みに際して申込証拠金がAから支払われている場合で,Aが申込みの撤回を行ったとき,Bは,遅滞なくその全額をAに返還しなければならないが,申込みの撤回に伴う損害があった場合は,別途これをAに請求できる。」 |
4.「申込みの撤回を行う前にAが売買代金の一部を支払い,かつ,引渡し日を決定した場合は,Aは申込みの撤回はできない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「Bは,申込みの撤回ができる旨及び撤回の方法の告知は書面で行う必要があるが,口頭で告知した2日後に書面を交付した場合,申込みの撤回が可能な期間の起算日は,口頭での告知のあった日である。」 |
【正解:×】 ◆申込みの撤回可能な期間の起算日 ⇒ 書面を交付して告げられた日 申込みの撤回(クーリングオフによる解除)ができる期間は,申込みの撤回ができる旨及び撤回の方法を,書面〔国土交通省令で定められている一定の記載事項・様式〕を交付して,告知された日から起算して8日間なので,「口頭での告知のあった日」とする本肢は誤りです(宅建業法37条の2第1項第1号,施行規則16条の6)。 |
2.「Aは,申込みの撤回を書面により行う必要があり,その効力は,Aが申込みの撤回を行う旨の書面を発した時に生ずる。」 |
【正解:○】 ◆申込みの撤回の効力の発生時 申込者等は,申込みの撤回等をしようとするときは,申込みの撤回等を書面〔特に様式は定められていない〕で行わなければなりません(宅建業法37条の2第1項本文)。 申込みの撤回等は,申込者等が書面を発したときに,その効力を生じるとされています(宅建業法37条の2第2項)。 |
3.「買受けの申込みに際して申込証拠金がAから支払われている場合で,Aが申込みの撤回を行ったとき,Bは,遅滞なくその全額をAに返還しなければならないが,申込みの撤回に伴う損害があった場合は,別途これをAに請求できる。」 |
【正解:×】 ◆申込みの撤回等に伴う損害賠償または違約金を請求することはできない 申込みの撤回等が行われた場合,宅建業者は,申込者等に対し,速やかに,買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければなならないので,前半は正しいのですが(宅建業法37条の2第3項), 宅建業者は,申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することはできない(宅建業法37条の2第1項本文後段)上に,この規定に反する特約で申込者等に不利なものは無効なので(宅建業法37条の2第4項),後半の「申込みの撤回に伴う損害があった場合は,別途請求できる」は誤りです。 |
4.「申込みの撤回を行う前にAが売買代金の一部を支払い,かつ,引渡し日を決定した場合は,Aは申込みの撤回はできない。」 |
【正解:×】 ◆クーリングオフできないとき−引渡しを受け,かつ,全額を支払ったとき 申込者等が,当該宅地又は建物の引渡しを受け,かつ,その代金の全部を支払ったときは,申込みの撤回等をすることができませんが(宅建業法37条の2第1項第2号), 本肢では「代金の一部の支払い」,「引渡し日が決定」に過ぎないので,Aは申込みの撤回をすることができます。このため,本肢は誤りです。 |
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