宅建業法 実戦篇
重要事項説明の過去問アーカイブス 平成15年・問36 重要事項説明
宅地建物取引業者Aが,宅地建物取引業法第35条の規定に基づき重要事項の説明を行う場合に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成15年・問36) |
1.「対象物件が,建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的である場合,Aは,同条第4項に規定する共用部分に関する規約の定めがあるときはその内容を説明する必要があるが,当該規約が未だ案であるときはその内容を説明する必要はない。 」 |
2.「売買契約の対象となる宅地が,建築基準法に基づき,地方公共団体が条例で指定した災害危険区域内にある場合,Aは,条例で定められている制限に関する事項の概要を説明しなければならない。 」 |
3.「賃貸借契約の対象となる建物について,高齢者の居住の安定確保に関する法律第56条で定める終身建物賃貸借の媒介をしようとする場合,Aは,その旨を説明しなければならない。 」 |
4.「売買契約の対象となる宅地が,土壌汚染対策法で規定する形質変更時要届出区域内にある場合,Aは,当該宅地の形質の変更を行おうとするときは,原則として,都道府県知事への届出が必要である旨を説明しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
1.「対象物件が,建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的である場合,Aは,同条第4項に規定する共用部分に関する規約の定めがあるときはその内容を説明する必要があるが,当該規約が未だ案であるときはその内容を説明する必要はない。 」 |
【正解:×】 ◆共用部分に関する規約の定め 対象物件が区分所有法に規定する区分所有権の目的である区分建物の場合,貸借の契約以外の契約では, 共用部分に関する規約の定め(その案を含む。)があるときは,その内容 を重要事項として説明しなければなりません(宅建業法35条1項6号,施行規則16条の2第2号)。 規約が案であっても説明しなければならないので,本肢は誤りです。 |
2.「売買契約の対象となる宅地が,建築基準法に基づき,地方公共団体が条例で指定した災害危険区域内にある場合,Aは,条例で定められている制限に関する事項の概要を説明しなければならない。 」 |
【正解:○】 ◆災害危険区域 建物の貸借の媒介・代理以外【売買・交換(媒介・代理も含む),宅地の貸借の媒介・代理】では,重要事項(法令上の制限)として,建築基準法39条2項の災害危険区域内において条例で定められている制限に関する事項の概要を,説明しなければなりません(宅建業法35条1項2号,施行令3条1項2号,同2項)。 |
3.「賃貸借契約の対象となる建物について,高齢者の居住の安定確保に関する法律第56条で定める終身建物賃貸借の媒介をしようとする場合,Aは,その旨を説明しなければならない。 」 |
【正解:○】 ◆終身建物賃貸借 建物の賃貸借で, 建物の賃貸借で定期建物賃貸借(借地借家法38条第1項),又は,終身建物賃貸借(高齢者の居住の安定確保に関する法律第56条) の規定の適用を受けるものについて媒介・代理をしようとするときは,その旨を,重要事項〔相手方等の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して国土交通省令で定める事項〕として,説明しなければなりません(宅建業法35条第1項第14号,施行規則16条の4の3第8号)。 |
4.「売買契約の対象となる宅地が,土壌汚染対策法で規定する形質変更時要届出区域内にある場合,Aは,当該宅地の形質の変更を行おうとするときは,原則として,都道府県知事への届出が必要である旨を説明しなければならない。」 |
【正解:○】平成16年・問25・肢2 に関連問題が出題。 ◆土壌汚染対策法の指定区域 建物の貸借の媒介・代理以外【売買・交換(媒介・代理も含む),宅地の貸借の媒介・代理】では,重要事項(法令上の制限)として,形質変更時要届出区域内では土壌汚染対策法の届出が必要であることを,説明しなければなりません(宅建業法35条1項2号,施行令3条1項32号,同2項)。 |
●土壌汚染対策法 |
(形質変更時要届出区域内における土地の形質の変更の届出及び計画変更命令) 第12条 形質変更時要届出区域内において土地の形質の変更をしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の十四日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。 一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの 二 形質変更時要届出区域が指定された際既に着手していた行為 三 非常災害のために必要な応急措置として行う行為 |