宅建業法 実戦篇

報酬額の制限の過去問アーカイブス 平成15年・問44 

店舗用建物の媒介(非居住用建物の貸借の媒介)


宅地建物取引業者が,単独で又は宅地建物取引業者と共同して店舗用建物の賃貸借契約の代理又は媒介業務を行う際の報酬に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。なお,消費税及び地方消費税に関しては考慮しないものとする。。(平成15年・問44)

1.「 が,単独で貸主と借主双方から媒介を依頼され契約を成立させた場合,双方から受けることができる報酬額の合計は借賃の1ヵ月分以内である。」

2.「が,単独で貸主と借主双万から媒介を依頼され1ヵ月当たり借賃50万円,権利金1,000万円 (権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもの) の契約を成立させた場合,双方から受けることのできる報酬額の合計は50万円以内である。 」

3.「 が貸主から代理を依頼され,が借主から媒介を依頼され,共同して契約を成立させた場合,は貸主から,は借主からそれぞれ借賃の1ヵ月分の報酬額を受けることができる。 」

4.「が貸主から,が借主からそれぞれ媒介を依頼され,共同して契約を成立させた場合,は貸主から,は借主からそれぞれ借賃の1ヵ月分の報酬額を受けることができる。」

【正解】

× × ×

1.「 が,単独で貸主と借主双方から媒介を依頼され契約を成立させた場合,双方から受けることができる報酬額の合計は借賃の1ヵ月分以内である。」

【正解:

◆貸主・借主の双方から受け取ることができるのは,借賃の1ヵ月分以内

 肢1では,権利金の授受については問題文に書いていないため,権利金の授受はないものとして考えます

 が,単独で貸主と借主双方から宅地又は建物の貸借の媒介を依頼されて,契約を成立させた場合(ただし,権利金の授受がない場合),双方から受領できる報酬額の合計は借賃の1ヵ月分以内です(告示第4,平成16年2月18日,国土交通省告示第100号)

注意

 宅地や非居住用の建物の貸借の媒介では,依頼者のそれぞれ一方から受ける報酬の額,割合等については特に制限はありません。

居住用の建物の貸借では,依頼者の承諾を得ている場合を除いて,依頼者の一方から受ける報酬の額は借賃の0.5倍に相当する金額以内〔消費税課税業者では,0.525倍に相当する金額以内〕でなければなりません。

●重要●居住の用に供する建物の定義
「居住の用に供する建物」とは、専ら居住の用に供する建物を指すものであり、居住の用に供する建物で事務所、店舗その他居住以外の用途を兼ねるものは含まれない(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方・第46条第1項関係・1 告示の運用について)

2.「が,単独で貸主と借主双万から媒介を依頼され1ヵ月当たり借賃50万円,権利金1,000万円 (権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもの) の契約を成立させた場合,双方から受けることのできる報酬額の合計は50万円以内である。 」

【正解:×

◆権利金の授受がある場合の特例

 権利金の授受がある場合は,権利金を売買代金とみなして,報酬を計算できます(告示第6)

1) まず,400万円超の速算式を用いて,基準となる一方から受領できる報酬の限度額を求めると,1,000万円×3%+6万円=36万円 になります。

2) 本肢では,貸主と借主双万から媒介を依頼されているので,双方から報酬を受領できます。このため,36万円×2=72万円が双方から受領できる報酬の合計の限度額になります。

 本肢では,「双方から受けることのできる報酬額の合計は50万円以内」としているので,誤りです。

3.「 が貸主から代理を依頼され,が借主から媒介を依頼され,共同して契約を成立させた場合,は貸主から,は借主からそれぞれ借賃の1ヵ月分の報酬額を受けることができる。 」

【正解:×

◆複数の宅建業者が関与した場合・1 媒介と代理

 Aが貸主から代理を依頼され,が借主から媒介を依頼され,共同して契約を成立させた場合,が貸主から受領する報酬と,が借主から受領する報酬の合計は借賃の1ヵ月分〔課税事業者では1.05倍に相当する金額〕を超えることはできないので,本肢は誤りです(告示第5,宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)

複数の宅建業者が関与して代理行為とあわせて媒介的行為が行われる場合,代理の依頼者から受ける報酬の額と,貸借の相手方から受ける報酬の額の合計額は,借賃の1月分〔課税事業者では,1.05倍に相当する金額〕を超えてはならないことになっています(告示第5,宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)

4.「が貸主から,が借主からそれぞれ媒介を依頼され,共同して契約を成立させた場合,は貸主から,は借主からそれぞれ借賃の1ヵ月分の報酬額を受けることができる。」

【正解:×

◆複数の宅建業者が関与した場合・2 ともに媒介

  が貸主から媒介を依頼され,が借主から媒介を依頼され,共同して契約を成立させた場合,が貸主から受領する報酬と,が借主から受領する報酬の合計は借賃の1ヵ月分〔課税事業者では1.05倍に相当する金額〕を超えることはできないので,本肢は誤りです(告示第4,宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)


宅建業法の過去問アーカイブスに戻る  

1000本ノック・宅建業法編・本編のトップに戻る  Brush Up! 報酬の制限規定に戻る

宅建過去問に戻る