宅建業法 実戦篇
重要事項説明・媒介契約の過去問アーカイブス 平成15年・問45
重要事項説明(35条),媒介契約書面
宅地建物取引業者Aの業務に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法(以下この問において「法」という 。 )の規定に違反しないものはどれか。(平成15年・問45) |
1.「Aは,マンションの一室の賃貸借を媒介するに当たり,建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途について,管理規約で「ぺット飼育禁止」の制限があったが,借主に対し,そのことに関して法第35条の重要事項の説明を行わなかった。 」 |
2.「Aは,自ら売主となり,土地付建物の売買契約を締結したが,買主Bが当該建物の隣に住んでいるので,都市ガスが供給されることを知っているとして,Eに対し,ガスの供給に関して法第35条の重要事項の説明を行わなかった。 」 |
3.「Aは,オフイスビルの所有者Cから賃貸借の媒介を依頼されたが,過去数次にわたってCの物件について賃貸借の媒介をしていたことから,当該依頼に係る媒介契約を締結したとき,Cに対し,書面の作成及び交付を行わなかった。 」 |
4.「Aは,売主Dと買主Eとの間における中古マンションの売買を媒介するに当たり,管理規約に定めのある修繕積立金をDが滞納していたが,Eに対し,そのことに関して法第35条の重要事項の説明を行わなかった。 」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
違反する | 違反する | 違反しない | 違反する |
1.「Aは,マンションの一室の賃貸借を媒介するに当たり,建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途について,管理規約で「ぺット飼育禁止」の制限があったが,借主に対し,そのことに関して法第35条の重要事項の説明を行わなかった。 」 |
【正解:違反する】 ◆専有部分の用途の制限 マンションの専有部分の貸借の媒介・代理でも,<専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは,その内容>を重要事項として説明しなければなりません(宅建業法35条1項6号,施行規則16条の2第3号)。 管理規約で「ぺット飼育禁止」の制限があった場合,ペットを飼おうと思っている借主にとっては賃貸借契約を締結するかどうかの判断材料になるので,説明をしないことは宅建業法に違反します。 |
2.「Aは,自ら売主となり,土地付建物の売買契約を締結したが,買主Bが当該建物の隣に住んでいるので,都市ガスが供給されることを知っているとして,Eに対し,ガスの供給に関して法第35条の重要事項の説明を行わなかった。 」 |
【正解:違反する】 ◆ガスの供給施設の整備の状況 <飲用水,電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況>は,買主になろうとする者が知っていたとしても,重要事項として説明しなければなりません(宅建業法35条1項4号)。 本肢は,宅建業法に違反します。 ▼飲用水・電気・ガスの供給・排水のための施設が整備されていない場合でも,その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項について説明しなければなりません。 生活するにはこれらの施設は必要なものである上に,もし整備に過大な費用がかかるのであれば,買わないことも考えられるからです。 |
3.「Aは,オフイスビルの所有者Cから賃貸借の媒介を依頼されたが,過去数次にわたってCの物件について賃貸借の媒介をしていたことから,当該依頼に係る媒介契約を締結したとき,Cに対し,書面の作成及び交付を行わなかった。 」 |
【正解:違反しない】 ◆貸借の媒介代理では,宅建業法34条の2そのものが適用されない 賃貸借の媒介・代理では,媒介契約に関する34条の2の規定は適用されないので,賃貸借の媒介契約を締結したときに,「34条の2第1項で規定されている書面を作成しなかった」,また「交付しなかった」としても,宅建業法には違反しません。 |
4.「Aは,売主Dと買主Eとの間における中古マンションの売買を媒介するに当たり,管理規約に定めのある修繕積立金をDが滞納していたが,Eに対し,そのことに関して法第35条の重要事項の説明を行わなかった。 」 |
【正解:違反する】 ◆修繕積立金の滞納額 マンションの専有部分の売買の媒介代理では,<当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは,その内容及び既に積み立てられている額>を説明しなければなりません(宅建業法35条1項6号,施行規則16条の2第6号)。 また,宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(国土交通省)では,修繕積立金等や管理費用についての滞納があるときはその額を告げることとされています。 したがって,本肢は,宅建業法に違反します。→ 施行規則16条の2 |