宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち，正しいものはどれか。 (平成16年・問30)

２．「Ｃが，その所有地にマンションを建築したうえで，自ら賃借人を募集して賃貸し，その管理のみをＤに委託する場合，Ｃ及びＤは，免許を必要としない。」

４．「Ｆが，甲県からその所有する宅地の販売の代理を依頼され，不特定多数の者に対して売却する場合は，Ｆは，免許を必要としない。」

▼宅地・・・(1)建物の敷地に供せられる土地。〔建物を建てる目的で取引される場合も含む。〕登記簿上の地目や現況の用途は関係ない。

(2)用途地域内で『政令で定める公共の用に供する施設〔道路・河川・水路・公園・広場〕の用に供せられている土地』以外の土地。登記簿上の地目は関係ない。政令で定める公共施設が計画されている予定地も宅地になる。

【正解：×】

◆自ら当事者になって，不特定多数の者に売買

　Ａ　〔所有する農地を区画割りして宅地に転用〕
　｜　　Ｂに一括して売却を依頼
　↓
　Ｂ　〔宅地建物取引業者〕

　『一括して宅地建物取引業者に媒介を依頼』しても，免許が必要であることに変わりはないので，本肢は誤りです。　

▼一回の販売行為・・・一回の販売行為として行われるものであっても，区画割りして行う宅地の販売等複数の者に対して行われるものは反復継続的な取引に該当する。

(国土交通省・宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)

２．「Ｃが，その所有地にマンションを建築したうえで，自ら賃借人を募集して賃貸し，その管理のみをＤに委託する場合，Ｃ及びＤは，免許を必要としない。」

【正解：○】

◆自ら賃貸，賃貸不動産の管理　⇒　宅建業に該当しない

　Ｃ　〔マンションを建築，自ら賃借人を募集して賃貸〕
　｜　　Ｄに管理のみを依頼
　↓
　Ｄ　

　不動産を賃貸したり，賃貸不動産の管理を受託するのに，宅建業の免許は不要です。

【正解：×】

◆宅地を反復継続して売却

　Ｅ　〔用途地域内の農地を区画割り〕
　｜　　公益法人に反復継続して売却
　↓
　公益法人　

　たとえ公益法人に売却するのであっても，宅地を反復継続して売却するには，宅建業の免許が必要です。

４．「Ｆが，甲県からその所有する宅地の販売の代理を依頼され，不特定多数の者に対して売却する場合は，Ｆは，免許を必要としない。」

【正解：×】

◆県から代理を依頼されて販売

　甲県　
　｜　　Ｆに宅地の販売の代理を依頼
　↓
　Ｆ　不特定多数の者に対して売却

　宅建業法は国や地方公共団体には適用されないので(宅建業法78条１項)，県が宅地を不特定多数の者に売却するのに宅建業の免許は要りません。

　しかし，宅地・建物の売買を代理人として不特定多数の者に反復継続して行うには，たとえ県から依頼された場合であっても，宅建業の免許が必要なので，「県から『宅地の販売の代理を依頼され，不特定多数の者に対して売却する』Ｆは免許を必要としない」とする本肢は誤りです。

◆媒介と代理

　代理・・・本人に代わって意思表示をして，相手から意思表示を受けること。法律上の効果は本人に帰属する。

　媒介・・・他人と他人の間の法律行為が成立するように尽力すること。