宅建業法 実戦篇
宅建業者の過去問アーカイブス 平成16年・問31 免許基準−欠格要件−
宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成16年・問31) |
1.「A社の政令で定める使用人は,刑法第247条(背任)の罪を犯し,罰金の刑に処せられたが,その執行を終えてから3年を経過しているので,A社は免許を受けることができる。」 |
2.「B社の取締役が,刑法第204条(傷害)の罪で懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ,猶予期間を満了したが,その満了の日から5年を経過していないので,B社は免許を受けることができない。」 |
3.「個人Cは,かつて免許を受けていたとき,自己の名義をもって他人に宅地建物取引業を営ませ,その情状が特に重いとして免許を取り消されたが,免許取消しの日から5年を経過していないので,Cは免許を受けることができない。」 |
4.「個人Dについて,かつて破産手続開始の決定があり,現在は復権を得ているが,復権を得た日から5年を経過していないので,Dは免許を受けることができない。」改 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「A社の政令で定める使用人は,刑法第247条(背任)の罪を犯し,罰金の刑に処せられたが,その執行を終えてから3年を経過しているので,A社は免許を受けることができる。」 |
【正解:×】 ◆背任罪による罰金刑 ⇒ 免許の欠格要件 法人の役員又は政令で定める使用人のうちに,傷害,現場助勢,暴行,凶器準備集合及び結集,脅迫,背任の罪による罰金刑に処せられた者がいる場合,免許の欠格要件に該当し,その刑の執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないと,免許を受けることはできません(宅建業法5条1項7号,3号の2)。 したがって,本肢は誤りです。 |
●罰金刑で欠格要件になるもの | |
免許を申請する法人の<役員や政令で定める使用人>の中に,
がいる場合, その法人は欠格要件に該当し,国土交通大臣又は都道府県知事はその法人に免許をしてはいけません。(宅建業法・5条1項3号の2,7号) |
2.「B社の取締役が,刑法第204条(傷害)の罪で懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ,猶予期間を満了したが,その満了の日から5年を経過していないので,B社は免許を受けることができない。」 |
【正解:×】 ◆執行猶予期間の満了 法人の役員又は政令で定める使用人のうちに,欠格要件に該当する刑罰(禁錮刑以上の刑,一定の罰金刑)に処せられて,執行猶予が付された者がいる場合は,執行猶予期間中は免許を受けることができません(宅建業法・5条1項3号の2,7号)。 しかし,執行猶予期間が満了すれば,刑の言い渡しは効力を失うので(刑法27条),直ちに免許を受けることができます。 したがって,執行猶予期間が満了すれば,満了日から5年が経過していなくても,B社は免許を受けることができるので,本肢は誤りです。 |
3.「個人Cは,かつて免許を受けていたとき,自己の名義をもって他人に宅地建物取引業を営ませ,その情状が特に重いとして免許を取り消されたが,免許取消しの日から5年を経過していないので,Cは免許を受けることができない。」 |
【正解:○】 ◆66条1項9号により免許取消 「不正手段による免許を取得した」,「業務停止処分に該当し,情状が特に重い」,「業務停止処分に違反した」ことにより免許を取り消された者(宅建業法66条1項8号,9号)は,その取消しの日から5年が経過しないと,免許を受けることができません(宅建業法5条1項2号)。 自己の名義をもって他人に宅建業を営ませるのは業務停止処分に該当し,Cはその情状が特に重いとして免許を取り消され,免許取消しの日から5年を経過していないので,Cは免許を受けることができません(宅建業法66条1項9号,5条1項2号)。 |
4.「個人Dについて,かつて破産手続開始の決定があり,現在は復権を得ているが,復権を得た日から5年を経過していないので,Dは免許を受けることができない。」改 |
【正解:×】 ◆破産手続開始の決定−復権を得れば直ちに免許を受けることができる 破産者で復権を得ない者は免許の欠格要件に該当し,免許を受けることはできません(宅建業法5条1項1号)。 しかし,復権を得れば直ちに免許を受けることができるので,本肢は誤りです。 |