宅建業法 実戦篇
クーリングオフの過去問アーカイブス 平成16年・問42
売主を宅地建物取引業者であるA,買主を宅地建物取引業者でないBとの宅地の売買契約において,宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づく売買契約の解除に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成16年・問42) |
1.「Bが契約の解除ができる期間は,売買契約の解除ができる旨及びその方法について告げられた日から起算して8日間とされるが,特約で当該期間を10日間に延長したり,7日間に短縮した場合,これらの特約は有効である。」 |
2.「AがBに対し,売買契約の解除ができる旨及びその方法について口頭でのみ説明を行った場合,当該宅地の引渡しを受けていなければ,当該告知から何日を経過していても,Bは契約の解除が可能である。」 |
3.「Bが当該売買契約の解除を行う場合は,Aに対して国土交通大臣が定める書式の書面をもってその意思表示を行わなければならない。」 |
4.「Aが他の宅地建物取引業者Cに当該宅地の売却の媒介を依頼している場合,Cの事務所において当該売買契約の申込みを行った場合であっても,Bは当該契約の解除を行うことができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「Bが契約の解除ができる期間は,売買契約の解除ができる旨及びその方法について告げられた日から起算して8日間とされるが,特約で当該期間を10日間に延長したり,7日間に短縮した場合,これらの特約は有効である。」 |
【正解:×】 ◆クーリングオフできる期間 申込みの撤回等をすることができるのは,申込みの撤回等を行うことができる旨及びその方法について書面を交付して告げられた日から起算して8日間で,これより申込者等に不利な特約は無効です(宅建業法37条の2第1項1号)。 したがって,この期間を延長する特約は有効ですが,短縮する特約は申込者等に不利なものとして無効になります。 |
2.「AがBに対し,売買契約の解除ができる旨及びその方法について口頭でのみ説明を行った場合,当該宅地の引渡しを受けていなければ,当該告知から何日を経過していても,Bは契約の解除が可能である。」 |
【正解:○】 ◆クーリングオフできる旨の説明が書面を交付してのものではないとき 申込みの撤回等を行うことができる旨及びその方法について説明を受けても,書面を交付してのものでないときは,クーリングオフできる期間の起算日が確定しないため,引渡しを受けていなければ,当該告知から何日を経過していても,契約の解除が可能です告げられた日から起算して8日間で,これより申込者等に不利な特約は無効です(宅建業法37条の2第1項1号)。 |
●申込みの撤回等ができなくなる場合 |
1) 一定の事項を記載した書面を交付して申込みの撤回等を行うことができる旨及びその方法について告げられた日から起算して8日を経過したとき。
2) 申込者等が,当該宅地又は建物の引渡しを受け,かつ,その代金の全部を支払ったとき。 |
3.「Bが当該売買契約の解除を行う場合は,Aに対して国土交通大臣が定める書式の書面をもってその意思表示を行わなければならない。」 |
【正解:×】 ◆申込みの撤回等の書面の書式は特に定められてはいない 申込みの撤回等〔買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除〕は,申込者等が書面で行わなければなりませんが,その書式については特に定められていないので,本肢は誤りです。 申込みの撤回等は,その旨の書面を発した時に,その効力を生じます(宅建業法37条の2第2項)。 |
4.「Aが他の宅地建物取引業者Cに当該宅地の売却の媒介を依頼している場合,Cの事務所において当該売買契約の申込みを行った場合であっても,Bは当該契約の解除を行うことができる。」 |
【正解:×】 ◆媒介の宅建業者の事務所での買受けの申込みはクーリングオフできない 媒介を行う宅建業者の事務所は,クーリングオフが適用されない「事務所等」なので,媒介の宅建業者の事務所で買受けの申込みが行われた場合は,申込者等はクーリングオフの規定による契約の解除をすることはできません(宅建業法37条の2第1項,施行規則16条の5第1号ハ) 。 |