宅建業法 実戦篇

重要事項説明の過去問アーカイブス 平成17年・問38 


宅地建物取引業者がマンションの一室の貸借の媒介を行う場合、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成17年・問38)

1.「当該マンションの管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名 (法人にあっては、その商号又は名称)、住所 (法人にあっては、その主たる事務所の所在地) 及び委託された業務の内容を説明しなければならない。」

2.「建築基準法に規定する容積率及び建ぺい率に関する制限があるときは、その制限内容を説明しなければならない。」

3.「建物の区分所有法等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならない。」

4.「敷金の授受の定めがあるときは、その敷金の額、契約終了時の敷金の精算に関する事項及び金銭の保管方法を説明しなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「当該マンションの管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名 (法人にあっては、その商号又は名称)、住所 (法人にあっては、その主たる事務所の所在地) 及び委託された業務の内容を説明しなければならない。」

【正解:×ヒッカケ問題

◆委託された管理の内容は義務付けられていない

 マンションの一室の貸借の媒介・代理を行う場合,当該マンションの管理が委託されているときは,その委託を受けている者の氏名 (法人の場合は,その商号又は名称),住所 (法人の場合は,その主たる事務所の所在地) を説明しなければならない(宅建業法35条1項6号,施行規則16条の2第8号)

 国土交通省の『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方』では,管理委託契約の主たる内容もあわせて説明することが望ましいとしているが,宅建業法では委託された業務の内容を説明することは義務づけられていないので,誤りである。

2.「建築基準法に規定する容積率及び建ぺい率に関する制限があるときは、その制限内容を説明しなければならない。」

【正解:×

◆法令に基づく制限で政令で定めるもの ⇒ 貸借の媒介・代理では少ない

 建物の貸借の契約以外の契約では,重要事項で説明すべき法令に基づく制限で政令で定めるものの中には建築基準法に規定する容積率及び建ぺい率の制限が規定されている(宅建業法35条1項2号,施行令3条1項2号)が,建物の貸借の契約の媒介・代理では説明すべきものとはされていない。

●建物の貸借の媒介代理−法令上の制限で政令で定めるもの
建物の貸借の媒介代理の重要事項として,施行令3条3項で定めている法令上の制限は,以下のものです。"見たことないなぁ"というものが並んでいます。余り気にすることはないでしょう。

3  法第35条第1項第2号 の法令に基づく制限で政令で定めるものは、建物の貸借の契約については、新住宅市街地開発法第32条第1項(造成宅地等に関する権利の処分の制限)新都市基盤整備法第51条第1項(開発誘導地区内の土地等に関する権利の処分の制限)流通業務市街地の整備に関する法律第38条第1項(造成敷地等に関する権利の処分の制限)及び農地法第73条第1項(売り渡した土地等の処分の制限) の規定に基づく制限で、当該建物に係るものとする。

3.「建物の区分所有法等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならない。」

【正解:

◆専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め

 区分所有法では,占有者 (専有部分の賃借人等) も建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならず(区分所有法6条3項),建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき,区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う(区分所有法46条2項)

 したがって,占有者にも規約や集会の決議について遵守する義務があり,専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは,その内容を説明しなければならない(宅建業法35条1項6号,施行規則16条の2第3号)

4.「敷金の授受の定めがあるときは、その敷金の額、契約終了時の敷金の精算に関する事項及び金銭の保管方法を説明しなければならない。」

【正解:×ヒッカケ問題

◆敷金 -契約終了時に精算する金銭-

 宅地又は建物の貸借の契約の媒介・代理では,契約終了時において精算することとされている金額の精算に関する事項を重要事項で説明しなければならないが(宅建業法35条1項,14号,施行規則16条の4の3第10号)その金銭の保管方法については重要事項で説明すべきものとはされていないので,誤り。


宅建業法の過去問アーカイブスに戻る  

1000本ノック・宅建業法編・本編のトップに戻る  Brush UP! 重要事項説明と37条書面に戻る

宅建過去問に戻る