宅建業法 実戦篇
業務上の規制+自ら売主制限+37条書面の過去問アーカイブス 平成18年・問41
宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。(平成18年・問41) |
1 Aは、自ら売主として売買契約を締結したが、履行の着手前に買主から手付放棄による契約解除の申出を受けた際、違約金の支払を要求した。 |
2 Aは、建物の貸借の媒介において、契約の申込時に預り金を受領していたが、契約の成立前に申込みの撤回がなされたときに、既に貸主に預り金を手渡していることから、返金を断った。 |
3 Aは、自ら売主として行う造成済みの宅地の売買において、買主である宅地建物取引業者と、「Aは瑕疵を担保する責任を一切負わない」 旨の特約を記載した売買契約を締結した。 |
4 Aは、自ら売主として工事完了前の土地付建物の売買契約を締結するとき、契約書の記載事項のうち、当該物件の引渡時期が確定していないので、その記載を省略した。 |
<コメント> |
●出題論点● |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
違反する | 違反する | 違反しない | 違反する |
正答率 | 81.8% |
1 Aは、自ら売主として売買契約を締結したが、履行の着手前に買主から手付放棄による契約解除の申出を受けた際、違約金の支払を要求した。 |
【正解:違反する】 ◆手付による解除での違約金支払の禁止 手付放棄による解除(解約手付)では,違約金や損害賠償の請求をすることはできません。これに反する特約は禁止されています(宅建業法39条2項,3項)。 したがって,<買主から手付放棄による契約解除の申出を受けた際,違約金の支払を要求>することは,宅建業法に違反します。 |
2 Aは、建物の貸借の媒介において、契約の申込時に預り金を受領していたが、契約の成立前に申込みの撤回がなされたときに、既に貸主に預り金を手渡していることから、返金を断った。 |
【正解:違反する】平成12年・問35・肢3,平成18年・問41・肢2, ◆解除などに関して,預り金の返還を拒むことの禁止 宅建業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し,宅建業者が既に受領した預り金を返還することを拒むことは,<申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為であって,宅建業者の相手方等の保護に欠けるものとして> 禁止されています(宅建業法47条の2第3項,施行規則16条の12第2号)。 |
3 Aは、自ら売主として行う造成済みの宅地の売買において、買主である宅地建物取引業者と、「Aは瑕疵を担保する責任を一切負わない」 旨の特約を記載した売買契約を締結した。 |
【正解:違反しない】平成元年・問44・肢1,18年・問38・肢4,18年・問41・肢3, ◆瑕疵担保責任を負わない特約 宅建業者でない者と自ら売主として売買契約を締結する際に,瑕疵担保責任を負わない旨の特約をしても無効ですが,宅建業者間の取引には適用されないので(宅建業法40条2項,78条2項),本肢は宅建業法に違反しません。 ▼問38・肢4と全く同一テーマの問題。問38 (建物の売買) と問41 (宅地の売買) の出題者が異なっていたのではないかという疑惑を生じさせる問題です。 |
4 Aは、自ら売主として工事完了前の土地付建物の売買契約を締結するとき、契約書の記載事項のうち、当該物件の引渡時期が確定していないので、その記載を省略した。 |
【正解:違反する】平成2年・問49・肢1,平成10年・問43・肢2,平成18年・問41・肢4, ◆37条書面の記載事項 ここでいう契約書とは,いわゆる37条書面のことをいっていると思われます。なぜならば,宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の中に,次のような一節があるからです。
引渡し時期は,37条書面の記載事項なので,その記載を省略することは,宅建業法に違反します(宅建業法37条1項4号)。 |