宅建業法 実戦篇

報酬・事務所等の過去問アーカイブス 昭和55年・問38 

報酬の限度額・不当に高額な報酬の要求の禁止・報酬の額の掲示


宅地建物取引業者が受け取ることができる報酬に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和55年・問38)

1.「代理や媒介の報酬の額に関する規定は,宅地建物取引業者間の取引には適用されない。」

2.「宅地の使用貸借の媒介には,報酬の額に関する規定は適用されない。」

3.「不当に高額の報酬を受領することは禁止されているが,要求するだけでは宅地建物取引業法違反にはならない。」

4.「宅地建物取引業者は,その事務所ごとに,公衆の見やすい場所に,国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「代理や媒介の報酬の額に関する規定は,宅地建物取引業者間の取引には適用されない。」

【正解:×

◆業者間取引でも,報酬額の制限は適用される

 宅建業者は,宅地建物の売買,交換,貸借の代理又は媒介に関して受け取ることができる報酬の額は国土交通大臣によって定められており,この額を超えて報酬を受けることは禁止されています。この規定は業者間の取引<媒介・代理>にも適用されます。(宅建業法・46条1項,2項)

 KEY 

 国土交通大臣の定めた額を超えて,報酬を受けてはならない。
              ↓
 罰則 100万円以下の罰金 

 両罰規定 行為者を罰するほか,宅建業者である法人・個人にも
        罰金刑を科する。

 監督処分 1年以内の業務停止処分(全部又は一部)

        情状が特に重いときや業務停止処分に違反したときは
        免許取消処分

報酬の限度額を超える部分は無効です。(判例)
     ⇒ <報酬の全てが無効ではないことに注意。>

2.「宅地の使用貸借の媒介には,報酬の額に関する規定は適用されない。」

【正解:×

◆使用貸借の媒介・代理にも,報酬の額の制限は適用される

 宅地建物の賃貸借だけでなく,宅地建物の使用貸借の媒介・代理でも,報酬の額の制限が適用されます。(国土交通省告示第四,第五・平成16年2月18日改正)

3.「不当に高額の報酬を受領することは禁止されているが,要求するだけでは宅地建物取引業法違反にはならない。」

【正解:×

◆不当に高額な報酬を要求する行為も禁止

 国土交通大臣によって定められた限度額を超えて報酬を受領することが禁じられているだけでなく,不当に高額な報酬を要求する行為も禁止されています。(宅建業法・47条2号)

 KEY 

 不当に高額な報酬の禁止
              ↓
 罰則 1年以下の懲役 もしくは 100万円以下の罰金 または 併科 

 両罰規定 行為者を罰するほか,宅建業者である法人・個人にも
        罰金刑を科する。

 監督処分 1年以内の業務停止処分(全部又は一部)

        情状が特に重いときや業務停止処分に違反したときは
        免許取消処分

4.「宅地建物取引業者は,その事務所ごとに,公衆の見やすい場所に,国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。」

【正解:

◆報酬の額の掲示

 宅建業者は,その事務所ごとに,公衆の見やすい場所に,国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければなりません。(宅建業法・46条4項)

 KEY 

 国土交通大臣の定めた報酬の額の掲示
              ↓
 罰則 50万円以下の罰金 

 両罰規定 行為者を罰するほか,宅建業者である法人・個人にも
        罰金刑を科する。

 監督処分 指示処分

報酬の限度額の掲示は事務所のみで,契約行為等を行うか行わないかに関係なく,案内所等では掲示する必要はない。<標識は,事務所・案内所等とも掲示しなければいけません。(宅建業法・50条1項)


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