宅建業法 実戦篇
監督処分の過去問アーカイブス 昭和55年・問39 免許取消事由
次のうち,宅地建物取引業の免許を受けた個人について,その免許の取消し事由とならないのはどれか。(昭和55年・問39) |
1.「専任の取引主任者の設置を偽って免許を不正に取得したとき。」 |
2.「免許を受けてから1年を経過しても事業を開始しないとき。」 |
3.「業務の停止の処分に違反して営業をしたとき。」 |
4.「道路交通法に違反し,罰金の刑に処せられたとき。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
なる | なる | なる | ならない |
1.「専任の取引主任者の設置を偽って免許を不正に取得したとき。」 |
【正解:なる】 ◆不正手段による免許の取得 ⇒ 免許の取消処分 免許権者は,宅建業者が,不正手段によって免許を取得<申請書に虚偽の記載,贈賄で免許を受けたなど>したときは,免許を取り消さなければなりません。(宅建業法・66条1項8号) |
2.「免許を受けてから1年を経過しても事業を開始しないとき。」 |
【正解:なる】 ◆免許を受けて1年経過しても事業を開始しない ⇒ 免許の取消処分 免許権者は,宅建業者が,免許を受けて1年経過しても事業を開始しない,又は引き続いて1年以上事業を休止したときは,免許を取り消さなければなりません。(宅建業法・66条1項6号) 免許を受けても休眠状態というのでは,放置しておけば名義貸し等の温床にもなりかねず,免許制度本来の趣旨にふさわしくないため,このようになっています。 ただし,免許の不正取得や業務停止処分の違反で免許を取り消された場合と異なり,取消後5年を経過しなくても,再度免許を取得することができます。(宅建業法・66条1項2号) |
3.「業務の停止の処分に違反して営業をしたとき。」 |
【正解:なる】 ◆業務停止処分に違反して営業 ⇒ 免許の取消処分 免許権者は,宅建業者が,業務停止処分に違反して営業をしたときは,免許を取り消さなければなりません。(宅建業法・66条1項9号) |
4.「道路交通法に違反し,罰金の刑に処せられたとき。」 |
【正解:ならない】 ◆道路交通法違反による罰金刑は取消処分にはならない 罰金の刑に処せられて免許取消処分になるものは限られており,道路交通法で罰金刑に処せられても,免許取消処分にはなりません。 免許権者は,宅建業者が,宅建業法,暴力団による不当な行為の防止等に関する法律,刑法<傷害罪・傷害助勢罪・暴行罪・凶器準備集合罪・脅迫罪・背任罪>,暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより罰金刑務停止処分に違反して営業をしたに処せられたときは,免許を取り消さなければなりません。(宅建業法・66条1項1号,5条1項3号の2)
※禁錮以上の刑に処せられたときは,罪名に関係なく,免許取消処分になります。(宅建業法・66条1項1号,5条1項3号) |
●免許を取り消すことができるとき |
免許権者は,免許に付した条件に違反した場合には,当該免許を取り消すことができます。(宅建業法・66条2項)
つまり,条件に違反したときに,取り消すかどうかは,免許権者次第ということです。 このほかに,任意的取消事由になるのは, ・免許後に供託した旨の届出をせず,催告したにもかかわらず,供託しないとき(25条7項) ・宅建業者の事務所の所在地を確定できないとき (宅建業者-法人は役員-の所在を確知できないとき) で,公告後30日を経過してもその業者からの申出がないとき(67条) があります。 |