宅建業法 実戦篇

クーリングオフの過去問アーカイブス 昭和56年・問47 クーリングオフの効力発生


宅地建物取引業法第37条の2 (事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等) の規定に基づく宅地または建物の買受けの申込みの撤回または売買契約の解除に関する記述のうち,正しいものはどれか。(昭和56年・問47)

1.「申込みの撤回または契約の解除は,売主である宅地建物取引業者が申込者または買主から申込みを撤回し,または契約を解除する旨記された書面を受け取った時に,その効力を生じる。」

2.「申込みの撤回または契約の解除は,売主である宅地建物取引業者が契約の履行に着手した後においては,もはやすることはできない。」

3.「申込みの撤回または契約の解除は,申込者または買主が申込みをし,または契約を締結した日から7日を経過したときは,もはやすることはできない。」

4.「申込みの撤回または契約の解除は,書面によってしなければ,その効力を生じない。」

【正解】

× × ×

●クーリングオフ 〔事務所等以外の場所でした,申込の撤回又は契約の解除〕
 宅建業者が自ら売主の場合に,事務所等以外の場所で行われた買受の申込や契約については,正常な契約意思の形成が阻害されることがあるので,一定の条件のもとに無条件で解約できる。これをクーリングオフという。

 クーリングオフは,書面によって行使しなければならず,申込者又は買主がクーリングオフをする旨の書面を発したときにその効力が生じる。〔発信主義

 ただし,以下の場合はクーリングオフをすることはできない。

 ・申込者又は買主が,物件の引渡しを受け,かつ,代金を全額支払ったとき(宅建業法・37条の2・第1項第2号)

 ・業者が,撤回等を行うことができる旨及びその方法を,国土交通省令で定める事項を記載した書面を交付して,告げた日から起算して8日を経過したとき(宅建業法・37条の2・第1項第1号,施行規則・16条の6)

手付放棄による解除や,瑕疵担保責任による解除,契約不履行による解除などの民法上の解除事由による解除は,クーリングオフとは別個にすることができる。

宅建業者は,クーリングオフによる損害賠償や違約金の支払を要求することはできない。

1.「申込みの撤回または契約の解除は,売主である宅地建物取引業者が申込者または買主から申込みを撤回し,または契約を解除する旨記された書面を受け取った時に,その効力を生じる。」

【正解:×

◆クーリングオフをする旨の書面を発したときに効力が生じる

 クーリングオフは,申込者又は買主がクーリングオフをする旨の書面を発したときにその効力が生じます。〔発信主義(宅建業法・37条の2・第2項)

2.「申込みの撤回または契約の解除は,売主である宅地建物取引業者が契約の履行に着手した後においては,もはやすることはできない。」

【正解:×

◆書面を交付してクーリングオフの方法等の説明を受けた日から起算して8日以内ならば,クーリングオフをすることができる 

 ⇒ 売主の業者が契約の履行に着手していても期間内ならばクーリングオフをすることができる

 売主である宅地建物取引業者が契約の履行に着手した後にすることはできないのは,手付放棄による契約解除であり(民法547条1項,宅建業法・39条2項)

 クーリングオフは,自ら売主である業者が撤回等を行うことができる旨及びその方法を国土交通省令で定める事項を記載した書面を交付して告げた日から起算して8日以内であれば,宅建業者が契約の履行に着手した後でも,行使することができます。(宅建業法・37条の2・第1項,施行規則16条の6)

3.「申込みの撤回または契約の解除は,申込者または買主が申込みをし,または契約を締結した日から7日を経過したときは,もはやすることはできない。」

【正解:×

◆書面を交付してクーリングオフの方法等の説明を受けた日から起算して8日以内ならば,クーリングオフをすることができる

 クーリングオフできる期間について,基点と日数の2つマチガイがあります。

      
申込者または買主が申込みをし,

または契約を締結した日から

 ⇒ 業者が,撤回等を行うことができる旨及びその方法
を,国土交通省令で定める事項を記載した書面
を交付して,告げた日から
7日を経過したとき  ⇒ 告げられた日から起算して8日を経過したとき

4.「申込みの撤回または契約の解除は,書面によってしなければ,その効力を生じない。」

【正解:

◆クーリングオフは書面によって行使しなけば,効力は生じない

 クーリングオフは,口頭ではダメで,書面によって行使しなければならず,その効力を生じません。口頭や電話では,<クーリングオフする旨を言った,言わない>,<クーリングオフする意思表示がいつあったのか,宅建業法で定められた期間内であるかどうか>など後日紛争の火種になることがあり,このようなトラブルを防止する意味で,クーリングオフする意思表示は書面をもってすることになっています。(宅建業法・37条の2・第1項)


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