宅建業法 実戦篇
重要事項の説明の過去問アーカイブス 昭和57年・問43
宅地建物取引業者が,宅地建物取引業法第35条第1項の規定により,宅地又は建物の売買の契約が成立するまでの間に相手方等に対し宅地建物取引主任者をして説明させなければならない重要事項に当たらないものは,次のうちどれか。(昭和57年・問43) |
1.「排水のための施設が整備されていない場合においては,その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項」 |
2.「区分所有建物※については,当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額」 |
3.「宅地又は建物の引渡しの時期」 |
4.「宅地の造成の工事が完了前であるときは,その完了時における形状,構造等」 |
※区分所有建物=建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的である建物をいう。 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
1.「排水のための施設が整備されていない場合においては,その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項」
2.「区分所有建物については,当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額」 4.「宅地の造成の工事が完了前であるときは,その完了時における形状,構造等」 |
【正解:○】 肢1・肢2・肢4は,宅建業法及び同法施行規則で,少なくとも,書面を交付して説明する事項として指定されている。
▼肢1が重要事項になっているのは,飲用水,電気及びガスの供給や排水のための施設が整備されていない場合,整備するには多大な経費がかかることがあり,このことを契約成立前に告知して,後日紛争がないように知らしめるという趣旨である。 |
3.「宅地又は建物の引渡しの時期」 |
【正解:×】 ◆引渡しの時期は,重要事項説明ではなく,37条書面 <宅地又は建物の引渡しの時期>は,35条の重要事項ではなく,37条書面に記載するべき事項である。(宅建業法・37条1項4号) ▼引渡しの時期は,契約成立前では確定していないので,契約締結後の37条書面に記載することになっている。 |
●条文確認 |
(書面の交付)
第37条 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。 一 当事者の氏名(法人にあつては、その名称)及び住所 二 当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示 三 代金又は交換差金の額並びにその支払の時期及び方法 四 宅地又は建物の引渡しの時期 五 移転登記の申請の時期 六 代金及び交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的 七 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容 八 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容 九 代金又は交換差金についての金銭の貸借のあつせんに関する定めがある場合においては、当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置 十 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容 十一 当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、その内容 十二 当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容 2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の貸借に関し、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。 一 前項第一号、第二号、第四号、第七号、第八号及び第十号に掲げる事項 二 借賃の額並びにその支払の時期及び方法 三 借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的 3 宅地建物取引業者は、前二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、取引主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。 |